ニュースピードフレームとウレタン・マイクロスフィアで打感が向上
AIによるフェース設計を細部まで反映させることで、フェース面上で弾道を補正するコントロールポイントの数が大幅に増えた「Ai 10xFACE」。ELYTEブランドの全てに採用されたこの新機軸はアイアンでも威力を発揮。3つのモデルそれぞれに高いレベルで最適化されたフェースが装着されている。加えて、ヘッド内部のトゥ側にはタングステンウェイトを搭載。慣性モーメントを高めることでAi 10xFACEとの相乗効果がアップし打点のブレにめっぽう強くなった。
フェース素材は高いボールスピードを生む17-4ステンレススチール。インパクトの衝撃とフェースのたわみを受け止めるべく、ヘッド内部には支柱の役割を果たすニュースピードフレームが搭載された。これはPARADYMシリーズでお目見えした構造だが、今作ではスピードフレームが貫通するエリアの形状をブラッシュアップ。トップブレードの厚みを抑えつつヘッドの耐久性を上げた。その結果、見た目がシャープで構えやすいだけでなく、ヘッドの振動も低減。ボールがフェースに食いつくような打感になった。独自のウレタン・マイクロスフィアも打感の向上に一役買っている。従来以上に増量することでフェースのたわみを阻害せずに中空構造独特の振動を抑制している。
ソールにはX FORGEDアイアンなどで好評のトライレベル・ソールデザインを導入している。これはリーディングエッジとトレーリングエッジに独自の面取りを施して抜けをよくしたもの。ヘッドスピードを損わずに振り抜けて、飛距離の再現性を高める。もちろんミスの影響を軽減させるバンス本来の効果をなくさないよう作られている。
これらが3つのモデルに共通する機能。その前提でELYTEアイアンは、ある程度の範囲に打点が集まるプレーヤーに、ELYTE Xアイアンは打点のバラつきが大きめでサポートが必要なプレーヤーに向いた設定。ELYTE MAX FASTアイアンは、より飛距離が必要なプレーヤーへ向けたモデルとなっている。
では、石井にそれぞれの試打感を語ってもらおう。
【ELYTE(エリート)アイアン】飛距離ロスのない高弾道の球が出て距離のマネジメントが楽そう
『誤解を恐れずに言えば、ELYTEアイアンは“キャロウェイのシリーズもののアイアン”の顔つきではありません。それくらいシャープで、フォージドアイアンです”と言われてもわからないくらい。中空構造ということも、微塵も感じさせませんね。これまでと違うヘッドシェイプは、とても良い反響があるのではないでしょうか。
打ってみると、いい意味で見た目と違ってやさしい。ちょうどいい感じでボールがつかまるところは、キャロウェイの言うとおり、多少打点にバラつきがあるアマチュアに合っていると思います。
シャフトのせいもあるかもしれませんが、7番アイアンでもかなり高い球が打てます。でも番手なりの距離はしっかり出ていますから安心してグリーンを狙えますね。ボールを上から落とせるぶんスピンに気を使わなくてもよくなるので距離のマネジメントが楽そうです。打感は竹を打った時ように乾いた感じ。でも手応えはしっかりあります。フェアウェイウッドも乾いて吸い付く感じの打感でしたが似て非なるところがあります』(石井)
ELYTEアイアン3モデルの中でスタンダードモデルな位置づけのELYTEアイアンはヘッドスピードが標準か、それ以上で、ある程度の範囲内に打点が集まる中・上級者プレーヤーがターゲット。想定範囲内でインパクトした際にスピン量や打ち出し角が一定になるよう設計されている。アイアンショットに不可欠な再現性と正確性の高い弾道を目指したフェースだ。
番手設定は、#5~9、PW、AW、GW、SW。ロフト角は7番で29度のセミストロング。ブレード長、オフセットともオーソドックスで程良い設計だ。中空構造ながらバックフェースはキャビティバックを感じさせるデザインで、ターゲット層のゴルファーの所有感を高めてくれる。
【ELYTE X アイアン】キャロウェイのやさしさと安心感が欲しい人にどハマり
『ELYTE Xはスタンダードモデルと比べると、ヘッドの後ろ側がちょっとボテッとしてユーティリティのような丸みがあります。トップラインも厚めですが、違和感を感じるほどではありません。ネックには若干グースが入っていてソールが広め。昔のキャロウェイのテイストが入っているように見えるのは僕だけではないでしょう。グースの入ったネックは長いですが構えると短く見える。この点でもグースが気になる感じはありませんね。ヘッドの形状から打感はどうかな? と思いましたが、手に伝わってくる感触がすごくよくてびっくり。スタンダードモデルと大差がありません。
でも、やさしさの点ではELYTE Xが断然上です。ソールが広いので抜けがよくダフりに強い印象です。また、スタンダードに近い打感なのに、こちらの方が球が上がる感じがしました。上下左右に打点がブレても思ったほど曲がらないし飛距離ロスも少ないですね。ELYTE Xは従来のキャロウェイのやさしさが欲しい人、ポテッとしたフォルムに安心感を覚える人にどハマりしそうです』(石井)
よりやさしさを求めたELYTE Xは、ヘッドスピードが標準かそれ以上で、打点のブレが大きめのプレーヤーがターゲット。フェースの広範囲でミスヒットをサポートするよう設計されている。どこに当たっても距離が出て、着弾地点がバラつかないフェース仕様となっている。
番手構成は、I#5~9、PW、AW、GW、SW でELYTEアイアンと同様。ロフトは全番手でELYTEアイアンより1度立っている(7番で28度)。また、ヘッドサイズはシリーズ中もっとも大きく安心感のある形状となっている。
【ELYTE MAX FAST アイアン】軽快ながらも軟らかく適度に食いつくアイアンらいしい打感
『PARADYME Ai SMOKEアイアンでもそうでしたが、MAX FASTは顔がシャープ。今作ではさらにそれが洗練され、バックフェースのデザインも変わったことでカッコよさに磨きがかかっています。若い時にシャープなアイアンを使っていたベテランプレーヤーが、その雰囲気を味わいながら打てる。そして、打つとやさしさの恩恵も受けられる。そんなモデルだと思います。打感については、3モデルの中では一番アイアンらしい打感で、軽快ながらも軟らかく適度に食いつく感じがあります。ウレタンが入っているのが明らかにわかる感じで、軟らかいのに弾いている、僕的には好きな打感です。ミスヒットしてどこに当たっても軟らかいのもいいですね。ロフトはちょっと立っていますが、その割にボールが上がります。軽くて振り心地がよく、打感も軟らかくてボールが上がる。すごく気に入りました。これにちょっと重めのスチールシャフトを入れて使いたい欲求に駆られました』(石井)
ELYTE MAX FASTのターゲットは標準的なヘッドスピードのプレーヤー。フェースのたわみで飛距離と弾道の高さが出る設計だ。たわみをより大きくするためにフェースの肉厚は薄めで、これがヘッドの軽量化にもつながっている。軽めのシャフトとのマッチングで、しっかり振り切れるモデルになった。
番手構成は、I#5~9、PW、AW、GW、SW。ロフト角はボールの上がりやすさを重視して5~7番を前作よりも寝かせている(7番で28度)。ブレードの長さはELYTEアイアンより長いが、すっきりとした見た目。トップブレードが薄くオフセットも少ないが、見た目にはしたやさしさに驚かされる。
ELYTE アイアン/試打後記
『PARADYMEからだんだんと顔が良くなっていると感じていましたが、ELYTEはガラッと変わってとてもシャープな見た目になりました。軟鉄鍛造の人気モデル、X FORGEDみたいな顔つきです。
ですが、そんな見た目とは裏腹に機能は“エリート”で、アベレージゴルファーにとってはお助け要素が満載ですが、見た目や打感は、これまでのお助けモデルとは一線を画しています。やさしいけどカッコいい。このデザインなら何年経っても古く見えないし、ずっと使い続けるゴルファーがいても不思議ではありません。特にMAX FASTは、かつてX FORGEDを使っていた人が使いたがりそうです。その感じはスタンダードモデルのELYTEにもあって、こちらもシャープで小ぶりです。
選び方としては、まずスタンダードモデルを打ってみる。それで、もう少しつかまって球が上がる方がよければELYTE X、軽さが欲しければMAX FASTというように、ドライバーと同じ流れで選べばいいでしょう』(石井)
試打解説:石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。




