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吉田優利に圧勝をもたらした超ローバウンスウェッジとアメリカ的マネジメント【Vポイント×SMBC】

2025/03/23 ゴルフトゥデイ 編集部

2日目に64を出した吉田優利が9打差で優勝!(写真は2025年Vポイント×SMBC レディス 撮影/Getty Images)

日本女子ツアー「Vポイント×SMBC レディス」最終日(23日)は吉田優利が9打差で約2年ぶりの通算4勝目を挙げた。2日目に64を出して独走態勢にした会心のプレーを支えたのは、昨シーズンから主戦場としているアメリカでの経験と対策だった。

2日目に自己ベストの64! 2度のチップインを生んだウェッジのバウンスは4度!!

今大会の吉田は2日目(22日)に8バーディ、ノーボギーと圧巻のゴルフで自己ベストの64をマークしました。

この日は全選手の平均スコアが74.0755だったので、渋野日向子が「(吉田は)ひとりだけ違うコースを回っていた」と表現したほど。いかに異次元のゴルフをしていたかがわかります。

2度あったチップインバーディで使った58度のウェッジは、2018年モデルの「TOUR B XW-B」(ブリヂストン)をベースにしたプロトタイプです。
そのバウンスはなんと4度相当! 「アメリカではボールが浮かないから、リーディングエッジをピタリと地面につけたい」との理由で元々は10度あったのを削りに削ったそうです。

地面にペタペタのウェッジはプロトタイプ(撮影/森伊知郎)

これはトーナメント会場のツアーバンでは対応できない作業で、クラブを作っている秩父工場で作業したほどでした。
元々はフェアウェイでもボールが少し沈むアメリカの洋芝対策としてオフに投入していました。それが3月ということで芝がまだ薄いこともある今大会の状況にピタリとはまったようです。

また昨シーズンから使っている「241CB」アイアンも、ソールのラウンドをかなり落としています。
これは削ってからメッキを施しているため、一見すると市販モデルと区別がつきませんが、ソールを横から見ると違いがわかります。
この「アメリカ仕様」のクラブが圧勝のスコアメークに繋がりました。

飛距離=キャリー! ランを含めての距離ではありません!

さらに2日目の64でアメリカでの経験が生かされたことを聞かれるとキャリーの計算が大事。いくつキャリーさせて、いくつランさせるかが今週一番大事なポイント」と話していました。

日本、特に一般アマチュアの「飛距離」はキャリーとランを足したトータルを意味することが多いです。それが欧米の選手が言う「飛距離」は、キャリーの距離のみのことが一般的です。
なので選手の「自己申告」の飛距離を見たり聞いたりすると「意外と飛ばない」と思いがち。
それが実際のラウンドではランが出て、トータルがとんでもない数字になります。

ツアーのスタッツはボールの止まった位置で計測するのでランも込み。そのため「自己申告」の数字とで乖離が生じることがあるのです。

こうした“環境”から、アメリカを主戦場にした経験のある選手は飛距離について「この番手でキャリーが何ヤードなのか」と考えるようになります。

以前にアメリカLPGAツアーに行った日本選手は「日本はラン込みで飛距離を考えるけど、こっちではキャリーで考えます。自分のキャリーの距離がわかっているからバンカーや池越えも狙っていけるんです。ラン込みで考えて狙ったら捕まってしまいますよね」と話していました。
吉田もこのアメリカ的思考になっている、ということ。
これは一般ゴルファーも真似したい考え方ですね。

今年からスポンサー契約したSMBCに最高の恩返し

吉田は妹でルーキーの鈴(りん)とともに今年からSMBCとスポンサー契約を結びました。
本来なら今週はアメリカツアーの試合があったため、優利は今大会には出られない見込みでしたが、SMBC側は「それでもいい」と契約。
アメリカツアーの試合が中止となったために出場が可能となり、さらに優勝という最高の形でスポンサーに恩返しすることができました。

気持ちはすでにアメリカへ

これだけの“大仕事”をやってのけたらホッと一息、と行きたいところですがすぐに渡米して27日からは「フォード選手権」に出場します。
「優勝したことが(アメリカツアーにも)つながってほしいと思います。気持ちはもう切り替えて、アメリカに向いています」と余韻に浸る様子もない姿からは、ポイントランキング102位でQシリーズに回った昨シーズンとは違った活躍をする期待感が漂います。

(取材・文/森伊知郎)

勝利を呼び込んだ14本のセッティング(撮影/森伊知郎)

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