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アイアンの“ひっかけ”の原因と対策方法を解説|内藤雄士のゴルフクリニック

2018/10/15 ゴルフトゥデイ 編集部

悩めるゴルファーにパーソナルな処方箋を提供する「内藤雄士のゴルフクリニック」のコーナー。今回は、アイアンが左にひっかかってしまいスコアメイクがまとまらないという神保さんの悩みを解決していきます。

【内藤雄士 プロコーチ】
1969年9月18日生まれ。東京都出身。米サンディエゴゴルフアカデミーやデイブ・ペルツショートゲームスクールなどで最新理論を習得して帰国。ラーニングゴルフクラブ(LGC)を設立し1998年からツアープロコーチとなる。現在は平塚哲二、矢野東らを指導。http://www.naitoyuji.com/

アイアンが左に引っかかり、スコアメイクできません。

「ヒッカけてしまうことが多くて悩んでいるんですけど、原因がわからない」と語る神保さん。

神保:私はシェフをしているのですが、お客様のお誘いで3年前にゴルフを始め、今は月に2回のラウンドと、週イチの練習でベスト更新を目指しています。

困っているのは、アイアンのヒッカケ。ドライバーでフェアウェイをとらえられたとしても、ミドルアイアンでの2打目でヒッカケが出てOBとなると、スコアがまとまらないんです。

内藤:まず、神保さんのスイングを拝見しましたが、いい意味で力感がないところがすばらしいですね。

それと、3年でベストスコア81ということですし、ご職業柄もあって手先がとても器用そうな印象です。

ただ、まだゴルフスイングの正しい動きをイメージできていない状態なのに、手先を器用に使ってなんとか処理しようとしている感じなので、それだとスコアもどこかで伸び悩んでしまうでしょうね。

神保:正しい動きをイメージできていないというのはそのとおりで、自分でも手でクラブ操作をしていることを理解していながら、どうすればいいのかわからないんです。

ヒッカケも出ますが、インパクトロフトも安定せず、6番と7番の飛距離があまり変わらないといった問題もあったりします。

内藤:それにはまず、右手主導で球をしゃくり上げるようにして打つのではなく、左リードと体の回転でスイングすることを覚えましょう。

現状では、アドレスですでに、グリップが右に寄り気味で、左腕とシャフトのラインが折れてしまっています。

これだと最初から左手が使えずに、右手でしゃくり上げてしまうような構えになってしまうので、まずは左腕とシャフトのラインが真っすぐになるように、少しハンドファースト気味に構えましょう。

そして、問題となっている右手でしゃくり上げる動きをなくし、左リードでアマチュアが憧れるハンドファーストインパクトを作り、インパクトロフトを安定させます。

さらに、体の回転で打てるようになれば、フェースがかぶってしまうこともなくなり、ヒッカケは激減するはずです。そのためには、先ほどの話にあった「手先の器用さ」を封印し、あえて右手を不器用に使ってほしいんです。

神保:右手を不器用に?仕事で鍋を振るときはほぼ右手でやってますが、その器用さがゴルフのスイングで問題になっているとは思ってもみませんでした。

内藤:器用なこと自体が悪いことではないのですが、正しい動きさえ覚えられれば、器用さもゴルフに活かせます。ただ現状では、右手主導を抑えたいので、2つのドリルを用意しました。

1つは左手1本で球を打つというもの。もう1つは右手の親指と人差し指の間にボールを挟んで球を打つというものです。

神保:どちらもやってみると、自分がどれだけ右手に頼ってスイングしていたかわかりますね。右手を使いすぎているからしゃくり上げる動きになっていたということが、このドリルでとてもよくわかりました。

内藤:このドリルをやってもらうと、シングルさんでも空振りしてしまう人がいます。きちんと球を飛ばせている神保さんは、やはり器用なんでしょうね。

右手でしゃくり上げていたときには、パワーも球にうまく伝えきれていませんでした。左リードと体の回転を覚えた今は、ヘッドを上手く押し出せていて、アイアンの飛距離も伸びていますよ。

<最初から左手が使えない構えと、右手主導でしゃくり上げるような動きが改善ポイント>

最初から左手が使えない状態であることと、テークバック時に体重が左足に残り過ぎてしまっているのがダメ。 また、写真6枚目のインパクト以降、右手主導でクラブをしゃくり上げるような動きも見て取れる。

アイアンが左に引っかかる原因と対策

<原因>
器用な手先で打ってしまうことによって、体の回転よりもクラブヘッドが先に走ってしまい、フェースが急激にターンしてヒッカケが出る。

<対策>
左手が使えないアドレスを修正し、左リードと体の回転によって打てるようにする。

<結果>
手打ちがなくなり、ヒッカケのミスが激減する!!

アイアンショットでヒッカケをなくしインパクトを安定させるための3ポイント処方!

アドレス:左腕とシャフトのラインを真っすぐに!ハンドファースト気味の構えにしよう。

(左図:内藤コーチ参考)左腕とシャフトのラインを一直線にすることで、左腕がしっかり使える構えになる。

神保さんの場合、アドレスでグリップがやや右寄りにあり、左腕とシャフトで構成されるラインが折れてしまっている。これでは球に力をしっかり伝達できるスイングにはならない。

ハンドファースト気味に構え、左腕とシャフトが一直線になるようにしたい。また、少し猫背になっていて、球をのぞきこむような姿勢も手上げの原因に。ボール位置を2個ぶん遠ざけることで改善しよう。

体からボール2個ぶん遠ざけたところにヘッドを置いて構えると猫背が改善された。

左リード:左手1本で小さく上げ球に当てたら止めてみる。左リードを覚えよう。

当てたら止める!

ミドルアイアンを左手だけで握る。そしてヘッドをヒザの高さくらいまで小さく上げたら、ポンと球に当てる。大切なのは、当てたらクラブを止めること。それによって左リードの感覚をマスターする。止めたときシャフトがグラグラしてしまう人は、左の写真のように短めに握ってもいい。

当てたら止めるのが難しければ、短めに握ってトライ。

体の回転:右手を使ってしゃくり上げてしまわずに手でしゃくり上げず、クラブは体の回転によって振ろう。

右手を使いすぎる傾向が強いゴルファーは、あえて右手の親指と人差し指にボールを挟むなどして右手の動きを制限してしまう(挟むのはゴムティやグローブでもいい)。

これによって手でクラブを操ることができなくなり、体の回転でスイングすることを覚えられる。手でしゃくり上げることで頻発していたヒッカケのミスは、体の回転で打てれば激減する。

右手に挟むのはゴムティでもいい。強制的に右手で操れない状態を作る。

背筋を伸ばして胸をしっかり回す感覚を身につけよう。

▼GOOD

「手で操作せず、体を回転することでクラブが自然とついてくる感覚ですね」

▼NG

「右手主導でしゃくり上げる動きによってヒッカケが頻発していたんですね」

▼BEFORE:「手打ちを自分では修正することができなかったのですが……」

▼AFTER:「アドレス、そして左リードと体の回転によって、ここまで変わって感激です!」

GOLF TODAY本誌 No.551 92〜95ページより