ゴルフ スイングレッスン|ショットが安定するフォロー&フィニッシュの作り方
ゴルフのスイングにおいて、フィニッシュがきれいに決まればナイスショットとよくいわれる。それは間違いないが、スイングで美しいフィニッシュを形作るには、フォローの出し方も大事。理想のフォロー&フィニッシュでショットを安定させ、常時スコア80台を目指そう。
【レッスン解説:北野正之】
1966年5月18日生まれ、茨城県出身。日本プロゴルフ協会ティーチングプロ。スイングの仕組みと心の仕組みの両方からアプローチするレッスンが好評。松原ゴルフアカデミー所属。
スコア90切れないゴルファーはスイングのフィニッシュ型を見直してみよう!
スコア90をなかなか切れず悩んでいるゴルファーは少なくないはず。そんなゴルファーの方は、スイングのフィニッシュ型を見直して!以下では、スイングで見直したい3つのフィニッシュ型を紹介。早速チェックしてみよう。
見直すべきスイング1:起き上がり型フィニッシュ
体が開いてフェースを戻せない
前傾角が維持できず、体が早いタイミングで起きています。そのため、フォローでクラブが立ってきて、クラブを担ぎ上げるようなフィニッシュになります。
見直すべきスイング2:腕振り先行型フィニッシュ
体の回転よりも腕振りが先
フェースを返す意識が強過ぎる人にありがち。遅れた体に対して、腕の動きが大きく、速度も速いので、フォローでクラブが低い位置を抜けていきます。体重が右足に残る中途半端なフィニッシュ。
見直すべきスイング3:左ヒジ引け型フィニッシュ
アマチュアゴルファーに一番多い!
体を回せていないため、インパクトからフォローで左ヒジを引かないと腕とクラブの通り道がない。腕だけで振ったように、スイングの力がボールに伝わらず、つかまえることもできていないフォロー&フィニッシュ。
ゴルフスイングのフォロー&フィニッシュ【基本編】
フォローは右腕を伸ばす!フィニッシュは左胸を開く!
フィニッシュをきれいに収めるためには、自分がどんなフィニッシュを取りたいか、そのために、どの方向にどうやってフォローを出して行くべきかを明確にイメージすることが大事だ。
基本のフォロー:右腕を伸ばせばパワーが伝わる
左手が右手に近づいていき、フォローでフェースが左を向くのが正解。
左ヒジ引け型
手首を使ってフェースを返し過ぎるとヒッカケやすい。(写真左)
左手が右手から逃げていくダメなフォロー。フェースを返せずプッシュアウトになりやすい。(写真右)
腕振り先行型
チーピン持ちやスライサーに多いフォロー
頭を残そうとし過ぎると手打ちになる。(写真左)
クラブが低く抜けていくダメなフォロー。よっこいしょとクラブを担ぎ上げるようなフィニッシュになる。アウトサイドから下ろす人に多い。(写真右)
筋肉ではなく「骨」でクラブを押す
最初は形をマネするだけでかまいません。イメージを持つことで美しいフォロー&フィニッシュに近付いていきます。
では、イメージすべきなのはどんなフォローでしょうか。 まず、体重を左足にしっかり乗せて、右腕がしっかり伸びたフォローです。そして、フェー スは左(背中側)を向いているのが理想です。
また、インパクトからフォローにかけては、体の力をボー ルに伝えたいので、できるだけ 「クラブを骨で押しているフォロー」を意識しましょう。筋肉だけでクラブの動きを支える フォローだと、力が十分に伝わりません。「骨で押すフォロー」 とは、簡単に言えば、ヒジが曲がらずに伸びているフォローのことです。
《体とクラブが引き合うのが理想》
「理想的なフォローは、体が右、腕とクラブは左に引っ張り合って拮抗した状態です」(北野)
基本のフィニッシュ:左の胸を動かして最後まで振り切る
左胸が開いて引っ張られた状態なら動きは足りている。
左ヒジ引け型
振り切れない人は、胸が開かずヒジも曲がっている。インパクトでボールをこすったり、打ち損じが多い。
起き上がり型
フォローやフィニッシュでクラブが立っている人は、だいたい強く握り過ぎている。(写真左)
フィニッシュでは、クラブと手のヒラの小指側に隙間ができてもOK。(写真右)
後方から見たときに右足が外側にねじれ、力を伝え切れていないスイング。フォローで腕が縮まって、クラブを担ぎ上げている。(写真左)
フォローで腕が伸びて、体もしっかり使って振れている人のフィニッシュは、右足が垂直に近く、内側に傾く。(写真右)
握りすぎると振り切れない
フィニッシュのポイントは、左サイドの使い方です。
左胸に引っ張られるような、テンションがかかっているフィニッシュが理想。そのためには、フォローの際に、目標方向へエネルギーを放出するように腕を伸ばすことができれば、上の写 真のように左胸がしっかりと開きます。
逆に、最後まで振り切れないのは、左サイドの運動量が足りないからです。振り切れない人 は、左胸を開くように意識して振ってみてください。また、フィ ニッシュではクラブをぎゅっと握ってはいけません。グリッププレッシャーが強すぎると、腕が縮こまりやすいからです。
《体とクラブが引き合うのが理想》
「フォローでエネルギーを向けるのは目標方向。そして、体をしっかり使って振り切るためには左胸が開くようにします」(北野)
ゴルフスイングのフォロー&フィニッシュ【応用編1】
フェード&ドローの球筋はフィニッシュの高さで打ち分ける!
コースなりの球筋が打てるようになれば安定して80 台を出せる。ポイントは、フォロー&フィニッシュをどの方向に出すか。それだけで、フェードやドローも簡単に打ち分けることができる。
フェード:クラブヘッドが高い位置から降りてフォローで低く抜ける
1カット目:スタンスは目標に対してオープン
2カット目:クラブをアップライトに上げる
4カット目:ボールの右側からヘッドを入れる
5カット目:フォローではボールよりも左側の低めにヘッドを出す
7カット目:フィニッシュでクラブが頭の後ろに収まる
ドロー:クラブヘッドが低い位置から入ってフォローで高く出る
1カット目:スタンスは目標よりもクローズ
2カット目:クラブをフラットに上げる
4カット目:ボールの左側からヘッドを入れる
5カット目:フォローでは目標方向にヘッドを出す
7カット目:フィニッシュでクラブが下向きに収まる
フェードはダウン。ドローはアッパー。
フェードボールを打つときの軌道はアウトサイド・イン、ドローボールはインサイド・アウトですが、両者の違いはそれだけではありません。
アウトサイド・イン軌道には上から下への動き、インサイド・アウト軌道には下から上への動きが入るからです。それが、結果としてフィニッシュの位置の違いになるのです。
逆にいえば、フォロー&フィニッシュをどこにどう出すかで球筋をコントロールできることになります。
ゴルフスイングのフォロー&フィニッシュ【応用編2】
前後の体重移動でフォロー&フィニッシュが安定
アウトサイド・インとインサイド・アウト。上から下と下から上。フェードとドローの軌道は正反対だが、ちょっとしたコツさえつかめば、どちらも簡単に打ち分けられるようになる。
足裏を使うと正しい軌道にのせやすい
フェードやドローを打つ場合も、一番大事なのはフォロー&フィニッシュの具体的なイメージを持つことです。その際、足裏を積極的に使うことで、イ メージ通りの軌道を作ることが できます。
アウトに上げて、インに低くフォローを出すフェードは、右足ツマ先から左足カカトへの体重移動。インに引いて、アウト に高くフォローを上げるドローは、右足カカトから左足つま先への体重移動を意識すると、フォロー&フィニッシュが正しい軌道を描き、正しい位置に収まりやすくなります。
フェード
テークバックでは右足のツマ先に乗せるとクラブがアップライトに上がる。ダウンスイングは左足カカトを踏めば、フォローがインの低い位置に出る。
ドロー
テークバックで右足カカトを踏むとクラブがインに上がりやすい。ダウンスイングでは右のカカトから左のつま先を踏めばフォローが高くなる。
《体重移動に一工夫で理想の軌道が描きやすい》
ドローを打つ場合、クラブをインから下ろそうとするとフェースが開いて、プッシュスライスになりやすい(写真左)。これを防ぐためには、手でシャフトを左に回せばよい(写真右)。
フック&スライスもフォロー&フィニッシュで直せる!
《BEFORE》フック
トップは高い位置に収まっているが、インパクトでヘッドが手を追い越して、フォローで上に逃げてしまっている。体の左サイドが十分に使えておらず、右に体重が残ってアッパー軌道になるため左のミスが出やすい打ち方。
フォロー&フィニッシュを改善
1. しっかり左足に乗る
前から押されてもバランスが崩れない程度に左に乗ることが大事。
2. 右足を引き寄せる
フィニッシュで右足の甲をターゲットの方に引き寄せるようにすればしっかり体重移動できる。
3. フィニッシュで左の胸を開く
右手とクラブを前に出そうとしてもなかなか左には振れない。左の胸を引く動作で右が前に出るようになります。
《AFTER》ストレート
きちんと左足に体重が乗ったフィニッシュ。インパクトがハンドファーストになり、真上に上がっていたフォローが、左側の低めに出るようになった。フックの度合いが減り、軽いフェードからストレートボールが出るように。
\ドローが打てる!@ワンポイント/
ボールよりも右側にヘッドを出して、ヘッドよりも左に球を出すイメージ。ドローの場合は、手を振りすぎないようにして、手が体の正面から外れないようにするのがポイントです。
フィニッシュでクラブを自分の頭よりも右に収める練習をするとインサイド・アウト軌道の高いフィニッシュが身につきます。ドローが打てるようになります。
GOLF TODAY本誌 No.556 54〜61ページより