徹底した感染防止策とともにアース・モンダミンカップが開幕
withコロナ時代・初の国内ツアー。「New Normal」は確立されるか?
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を受け、中止や延期が相次いだ国内ゴルフツアー。だが、本来の開幕戦から3ヶ月半を経て、ようやく今週のアース・モンダミンカップで開幕戦を迎えられることとなった。
“withコロナ時代・初の国内ツアー”となるアース・モンダミンカップの感染予防対策がどうなっているのか。6月23日(火)・24日(水)の指定練習日の様子を交えてレポートする。
なぜアース・モンダミンカップは開催に踏み切れたのか?
6月23日(火)のリモート記者会見でJLPGA小林浩美会長は「緊急事態宣言が解除となり、開催条件の基準、感染予防対策ができたので、その時のベストの判断」で開催を決めたと語った。
アース・モンダミンカップでは、開催に際して感染症専門の医師から助言を仰ぎ、「JLPGAトーナメント新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」および、プロゴルフトーナメント運営の指針となる「日本国内プロゴルフトーナメントにおける新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を基に、様々な感染予防対策を講じている。
さらに、安心・安全を期するため、大会独自の運営マニュアルを作成。会場入場時の検温チェックが済んでいることを証明するシールの貼付や、PCR検査の実施済みバッジ着用を義務付けるなど、感染予防策を徹底している。
特に会場への入場制限をかなり厳しく設定することで、感染のリスクを極力減らそうとしている。無観客試合でギャラリーを入れないのは当然として、大会関係者の入場者も大幅に制限しているのだ。
プロ、キャディは入場できるが、選手たちにとっては、ある意味欠かせないコーチ、トレーナー、マネージャー、家族、プロサービスも入場が制限されている。
我々報道陣(メディア)も原則入場禁止となっており、入場が許されているのは代表メディア数名のみ。ここまでの入場制限を設けた大会は、過去例がない。新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらした、新しい形である。
プロ・大会関係者など総勢821名がPCR検査を実施
もう一つ、大会に参加するプロ144名はもちろんのこと、大会に関わるJLPGAスタッフや運営スタッフなど総勢約821名全員がPCR検査を受けている。
この検査の実施は、大会会場における安全を担保するためであり、クラスター発生のリスクを少しでも減らすためである。また、全員が陰性判定を受けたと知れば、出場選手は安心してプレーに集中できるだろうし、大会関係者も業務に集中することができる。
ちなみに大会スタッフの一部は事前にPCR検査を受けており、検査結果が「陰性」となった関係者は首下げ式「PCR検査済バッジ」がぶら下がっている。
選手は6月23日(火)の来場時に全員がPCR検査を受けており、本日24日(水)の夜に検査結果が出る。選手が全員陰性で、大会がスムーズにスタートすることを願うばかりだ。
その他、大会2週間前からの検温結果、体調チェックを含む問診票の提出はもちろん、入場時の検温は毎日実施される。もちろん3密を避けるために、会場内では、全ての選手、関係者ともにマスクを着用することが義務付けられ(プレー中の選手は免除)、握手、ハグ及びハイタッチは禁止されている。
選手の公式会見はすべて“リモート会見”で実施
通常、大会会場には大会運営がプレスルームを用意してくれる。だが、今回はメディアの入場が原則禁止。そのため、この大会では「Zoomミーティング」を用いた“リモート式プレスルーム”が開設されている。
各メディア担当者は、会社や自宅からアクセスし、大会運営スタッフに質問をしたり、共有事項を知らせてもらったりしている。初の試みであるため、どうなることかと不安があったが、意外とスムーズに運営されているという印象だ。大会資料や写真は、随時更新されるようになっており、リモートとはいえ情報の入手も迅速かつ容易だ。随分と検討を重ねて準備を行ってきたことが伺える。大会運営スタッフには感謝したい。
そして、公式会見も“リモート会見”となっており、我々メディアはPCのディスプレイの向こうにいる選手に話を聞く形となっている。
6月23日(火)に行われた渋野日向子のリモート会見には、63名の記者がアクセスしていた。この会見で渋野は、PCR検査について「PCR検査は初めて受けたのですが、他の競技でもコロナになっていたりとか、米ツアーでも感染している方がいたので、この検査によって安心できるかできないかっていうのが大きいと思うので、今回やってもらえてよかったと思います」という感想を述べた。
大会会場の印象については「去年と比べたら人数は減っているなと思いました。自分もちゃんと距離を保ってしゃべったり、マスクをして、アルコール消毒をしっかりして、気を付けながらプレーできればと思います」と感染防止に対する意識は、かなり高い。
それにしても、選手や大会関係者、メディアも含めて、みんなが初めて尽くしの大会である。大会中継は、テレビ放送に代わってインターネットLIVE中継によって行われる。
全ホールをカバーできるように設置されたカメラは総数41台。渋野日向子を始め、畑岡奈紗、鈴木愛などのトップ選手のプレーを無料で見ることができる。
なにはともあれ、新しいゴルフトーナメントの在り方の、一つの試金石となる大会となるであろう。今大会の優勝争いがどうなるか、注目である。
取材/嶋崎平人
編集/ゴルフサプリ編集部
写真/Getty Images/JLPGA提供