1. TOP メニュー
  2. ゴルフギアにお悩み
  3. アベレージ向けのやさしさと、心地よい打感を兼ね備えた新構造・軟鉄鍛造アイアン「フォーティーン TB-5 FORGED」

アベレージ向けのやさしさと、心地よい打感を兼ね備えた新構造・軟鉄鍛造アイアン「フォーティーン TB-5 FORGED」

2020/11/06 ゴルフサプリ編集部

フォーティーンが11月6日に発売した「TB-5 FORGED」はシャープで骨太な見た目の第一印象とは裏腹に、アベレージにとってのやさしさを詰め込んだモデルだ。新たに開発したシアターブレード構造のセミラージヘッドは、軟鉄鍛造ならではの柔らかで心地よい打感をもたらし、ゴルファーが求めるフィーリングの良さを与えつつ、球を上げやすくミスヒットにも強い。どんなきっかけでこのクラブが誕生したのか、同社商品企画担当の中嶋 元(なかしま・げん)さんにお話を伺った。

やさしいアイアン=キャビティ構造という常識を疑うことからスタート

キャビティ構造がやさしさの象徴ということをまずは疑ったという企画担当の中嶋 元さん。

――このクラブが生まれたきっかけは? 

中嶋氏 フォーティーンの軟鉄鍛造アイアンで5シリーズと呼ばれるものは、アベレージプレーヤーにとってのやさしさを詰め込んだシリーズで、幅広い層が使えるモデルをラインアップし続けています。その新製品を作ろうと思ったときに、フォーティーンの創設者である故・竹林隆光が残した「常識を疑え」という言葉が、最初に頭に浮かんだのです。従来、やさしいと言われるアイアンは、キャビティ構造になっていますが、本当にそうなのだろうか? と…「やさしいアイアンはキャビティ」という常識を疑ったところからスタートしました。

――確かにやさしいとされるのは、マッスルバックではなく、キャビティバック構造というのは常識になっていますよね。 

中嶋氏 そうなんです。その常識にそって、今まで、キャビティバックの形状を変えたり、アンダーカットにして、低重心化、高慣性モーメント化を図るなど、いろいろトライしてきましたが、軟鉄の一体鍛造でこれ以上の低重心化は難しいと感じていたのは事実です。キャビティ構造に限界を感じていたんですね。そんな中、いろいろなゴルファーに話を聞くと、みなさんが軟鉄鍛造に求めているのは、打感や打ちごたえといったフィーリングの部分ということがわかってきたんです。それなら、そこを目標に作ってみることにしました。

カッコいいブレードは一見、難しそうに見えるのだが…。

――キャビティバック構造の良さはどういう部分だったんですか? 

中嶋氏 枠があって、バックフェース側が大きくえぐれているので、薄肉フェースエリアを広くして、反発性能を高められます。また、重量を周辺に配分できるので、慣性モーメントを大きくすることも可能でした。ただ、軟鉄一体鍛造でのこれ以上を目指すには限界を感じていたんです。

やさしさと心地よいフィーリングを両立させる新しいカタチ

マッスルバックのような柔らかで心地よい打感を実現させる新しい形状を考え出した。

――でも、今回のモデルは求めているものが異なるわけですね 

中嶋氏 そうなんです。今回はマッスルバックのような打感の柔らかさ、打ちごたえの良さといったフィーリング部分を追い求めたんです。だから、素材はS20Cというプロ向けのモデルで使っていたようなかなり柔らかいものを使っています。そして、形状はキャビティではなく、ある程度肉厚にする必要があったんです。キャビティにしないことで、薄肉エリアを広くできずに、初速感は失われますが、軟鉄鍛造で初速感を出したところで数値にすると1ヤードも変わらないので、そこはなくてもいいと考えました。ただし、やさしさはプラスできなければ、通常のマッスルバックと変わらないのでその部分は考えましたね。開発の最初にまずモックを作って、その後CADであれこれ工夫を考えました。

――だから、パッと見の印象はプロや上級者向けのモデルに感じられるんですね。でも、アベレージも使える5シリーズということですが、やさしさを感じさせる要素は? 

中嶋氏 マッスルバックの打感を求めたら、このカタチになりました。ただ、重心位置や慣性モーメントの大きさは保ったままで作って欲しいと、開発チームに依頼しました。シャープに見えますが、ヘッドサイズはやや大きめになっていますし、ソール部分もかなり厚くなっていて、低重心化を図っていますので、ボールを上げやすくなっています。また、ソールはウェッジのDJ-4と同じユニバーサルソールを採用しているので、あらゆるライに対応できます。慣性モーメントに関しては、内部で微妙に肉厚を分散させることで、従来と同等の数値を保たせています。この部分はかなり苦労した点です。初めての試みなので、今までのデータがないために、何度も修正を重ねて完成させました。われわれ企画担当者は開発チームへのムチャ振りをすることで、良いクラブが出来ると考えています。(笑)

初めての試みのため、何度も修正を重ね、理想的な重心位置と慣性モーメントを実現させた。

軟鉄鍛造ならの長所を活かし、ショットの安定につなげている

――他にも軟鉄鍛造ならではの良さがあるそうですね。 

中嶋氏 アイアンのやさしさは、自分の狙ったところに球を止められることが大事な要素なので、軟鉄鍛造の反発のなさが水に濡れた状態や、ラフでのフライヤーなどを極力抑えてくれます。打感の良さもありますし、こういった所も魅力だと思います。

――なぜシアターブレードというのですか? 

中嶋氏 段差のあるキャビティではなく、フェース厚をフローさせる形状が、劇場(シアター)のように見えることから名づけました。TBは「Theater Blade(シアター ブレード)」の頭文字をとったものです。

フェース厚をフローさせた形状が劇場のように見えることからネーミングを決めた。

――見た目だけだと、アベレージプレーヤーは躊躇してしまいそうですね。 

中嶋氏 そういった方にこそぜひ打ってみて欲しいんです。「TB-5 FORGED」のキャッチコピーは「狼の皮を被った羊」です。見た目は手強そうなのに、実際にはすごくやさしい。今までになかったモデルだと思うので、ぜひ一度、試してみてください。

今までにないアベレージ向けの形状は、打ってみたい衝動にかられる。

TB-5 FORGED
価格:FS-90i スチール 5本セット(#6~P)11万円+税 単品(#5)1本/2万2000円+税
FT-70i カーボン 5本セット(#6~P)11万5000円+税 単品(#5)1本/2万3000円+税

撮影/渡辺義孝
取材・文/下山江美