まずやるべきはボールライを見て打ちたい距離が打てるのかを判断すること

いきなりですが、質問です。ピンまで残り100ヤード、あなたは何番で打ちますか?

「ピッチングウェッジ、ロフト50度のウェッジ」などと即答できた人は合格! と言いたいところですが、回答としては不十分。「ボールのライによります」が正答です。

アマチュアゴルファーのほとんどは、ピンまでの距離や自分の打ちたい距離が番手を選択する際の優先事項になりますが、同じ距離でもボールのライによって使える番手はガラッと替わります。ピンポジションが手前か奥か、風や雨など気象条件で替わるのはもちろん、ディボットやラフ、傾斜のあるなしでも替わる。フェアウェイでさえ、当該距離を打つ番手を持つとは限りません。

みなさんに振り返っていただきたいのは、短絡的にクラブを選んでいないか。残り距離の把握も大事ですが、まずはボールのライを見て、打ちたい距離が打てるのかを判断するのが最優先で、使用クラブを決めるのはそのあとです。

例えばフェアウェイでは、地面が硬いか軟らかいかにはじまり、ベント、コーライ、野芝など芝の種類は何か、ボールが芝の上に浮いているのか沈んでいるかもチェックします。フェアウェイでもボールのライをわきまえて打たないとイメージ通りに飛んでくれないからです。

フェアウェイから打つ時はライが良好な時の打ち方が基準です。僕の場合、ライが悪い時には、ちょっとボールを右に置いてダウンブローをキツめにすることが多いです。ボールが浮いている場合、ボールを潰すように打つとクラブがボールの下に潜ってしまうので、ティアップしたボールを打つようにレベルに振ったり、アッパーに振って芝の抵抗を少なくすることもあります。

微妙に傾斜しているフェアウェイもありますが、その場合はヒザをクッションのように使って対処します。球筋が変わることもイメージしておく必要があります。ツマ先下がりはボールに当たりづらくてトップしやすいとか、ツマ先上がりはつかまりやすいとかダフりやすいといったこと。左足上がりでは打球が上がり、左足下がりでは上がりませんから、それらを踏まえたクラブ選択が求められます。

ライが良好でなければ100点満点のショットは目指さず、その状況でできる最善のことをやるように努めます。ライが悪い=やろうとしていることがしづらいわけですから、いかに起こるミスを想定するかがポイント。自分が一番望まない結果を設定して回避策を考えたり、保険をかけることです。

例えばグリーンの手前にバンカーがある状況で、バンカーに入れたくないのか、入ってもいいのか。それによって持つ番手は替わるはずです。また、グリーンの手前が池なら絶対入れたくないですから、グリーンをオーバーしてもいいクラブを持つ。うまく当たってグリーンをオーバーするかもしれないけれど、ミスしても池には入らず、うまくいけば乗るかもしれない、などと考えて番手を選ぶのです。もちろん池の手前に刻む選択肢もあります。

普通に近いスイングができる状況でライが悪い時は、ボール位置を変える、クラブを短く持つ、といったようにセットアップを変えることで対応することが多いと思います。そう考えると、ライが悪い時ほど弾道を低くするイメージをもっていることに気づきます。ボールを右に置くのもクラブを短く持つのもボールに対してソリッドに当てたいから。低い球を打つイメージをもつことでそれができる、というのが僕の経験則なんです。

逆にフェアウェイでもディボットに入っている時は、トップするぶんには前に飛びます。状況によっては転がってグリーンに乗る可能性もありますから、そのミスは排除しなくていい。一番ツラいのはダフって半分も飛ばないことなので、そうならないようにだけ気をつけるわけです。

ラフも対処が欠かせないライですが、これについては次週お話ししましょう。

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。