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本間ゴルフ ツアーワールド GSユーティリティ試打評価レビュー

試打のスペシャリスト・高橋良明の本気レビュー

2021/02/17 ゴルフサプリ編集部

「さらなるスピードの獲得(Gain Speed Technology)」をメインコンセプトとして開発された本間ゴルフの新シリーズ『ツアーワールド GS』。その一員である『ツアーワールド GSユーティリティ』には飛距離性能とユーティリティとしての使い勝手がどのように具現化されているのか。「試打のスペシャリスト」としても活躍するプロゴルファー高橋良明が掘り下げていきます。

[目次]

本間ゴルフ ツアーワールドGS ユーティリティ総合評価

本間ゴルフ ツアーワールドGS ユーティリティ

飛距離性能★★★★☆(4/5)
操作性★★★☆☆(3/5)
打球感★★★☆☆(3/5)
上がりやすさ★★★☆☆(3/5)
総合評価★★★☆☆(3/5)

本間ゴルフ ツアーワールド GS ユーティリティの特徴

『ツアーワールド GSユーティリティ』のネックからリーディングエッジ、クラウンへつながる曲線の美しさはホンマならでは。

ヘッド体積はアスリートモデルの『ツアーワールド TR21ユーティリティ』よりも二回りほど大きく、相当な重心の深さを感じさせてくれます。ステンレスボディに高強度のマレージングフェースを複合させた構造はフェアウェイウッドと同じ。弾き感と粘り感のある素材をフェースに使うことで飛距離性能と操作性の両立が可能となりました。

また、ソールにはドライバーにも採用されている「クランクスリット」を搭載。高い反発力による力強い飛びを実現しています。

特徴

  • 「クランクスリット」でフェースが小さくても初速が上がる
  • 深重心設計により真っ直ぐな高い球でねらえる
  • 当たり負けせず、速く振り抜ける専用シャフト

特徴1. 「クランクスリット」でフェースが小さくても初速が上がる

フェースの面積が小さいユーティリティはドライバーやフェアウェイウッドに比べてフェースがたわみにくくなっています。その弱点をカバーするのがソールのスリットです。

『ツアーワールド GSユーティリティ』の「クランクスリット」にはたわむ量を大きくすると同時にたわみ戻りを速くする効果があり、ボール初速と飛距離をアップさせます。

また、トゥやヒールに当たったときのギア効果が高いのも「クランクスリット」の特徴で、ヒールに当たったときにはスライス回転、トゥに当たったときにはフック回転がかかって、ねらった方向にボールが戻って来やすくなっています。

特徴2. 深重心設計により真っ直ぐな高い球でねらえる

後方にボリュームのあるウッドタイプのユーティリティはロングアイアンよりも重心深度が深いので、ミスヒットに強く打ち出し角が高くなるメリットがあります。

『ツアーワールド GSユーティリティ』はそのアドバンテージをもっと大きくするため、ヘッド形状を後方にストレッチすると同時にソールの後方に重量を集中配分

より深い重心により、オフセンターヒットでもヘッドがブレにくく、より高い打ち出し角を実現。ストレートな高い弾道でグリーンをねらえるようになっています。

特徴3. 当たり負けせず、速く振り抜ける専用シャフト

『ツアーワールド GSユーティリティ』のために設計されたシャフト「スピードチューンド48UT」はセンターから大きくしなり戻るので、自然とヘッドスピードが上がりやすくなっています。キックポイントは先中なので球のつかまりがよく、打ち出し角も上がります

また、先端部分の剛性は高くヘッドがブレにくいので、ボールを芯で捉えやすくミート率がアップ。ラフなどのライがよくない場所でも当たり負けしにくく、しっかりと振り抜けるので飛距離と方向性が安定します。

本間ゴルフ ツアーワールド GSユーティリティのスペック

番手は5番ウッドに相当する3番(18度)から5番アイアン相当の6番(27度)まで4種類。シャフトはドライバーやフェアウェイウッドと振り感や重量を統一した標準シャフトのほか、重量が重めの『VIZARD UT-H7』も用意されています。

メーカー本間ゴルフ
製品名ツアーワールド GS ユーティリティ
ヘッド素材ボディ:SUS630ステンレス鋳造
フェース:高強度カスタムスチール圧延
番手/ロフト角#3/18度
#4/21度
#5/24度
#6/27度
シャフトカーボン:SPEEDTUNED 48 UT(R、SR、S)、VIZARD UT-H7(UT)
長さ(#3)40.5インチ
重量/バランス(#3/S)335g/D1.5
価格30,000円+税
公式サイト本間ゴルフ公式サイト

本間ゴルフ ツアーワールド GS ユーティリティを試打レビュー

美しい形状にこだわりながら、飛距離や球の上がりやすさなどユーティリティに求められる機能を追求した『ツアーワールド GSユーティリティ』。高橋良明が芝の上からボールを打って実力と使い勝手を検証します。

試打レビュー

  • 顔にまったくクセがなく、アドレスで方向を取りやすい
  • 重心深度が深く、沈んだライからでもボールが上がりやすい
  • 「クランクスリット」の効果で薄い当たりでも飛距離が出る

顔にまったくクセがなく、アドレスで方向を取りやすい

『ツアーワールド GSユーティリティ』の一番の特色は顔です。けっこう顔がいいといわれるクラブでもふつうは一箇所くらい気になるところがあるものですが、『ツアーワールド GSユーティリティ』はどの角度からヘッドを眺めてもいびつなところが一つもなく惚れ惚れするような美しさです。

ユーティリティはフェースがかぶって見えるクラブがけっこうありますが、そんな感じもまったくなく、かまえてみるとすわりもよくて目標に対してフェースをすっと合わせることができます

フェアウェイウッドからの流れもよく考えられています。ユーティリティなのでフェアウェイウッドよりも面長ですが輪郭は似たような雰囲気だし、投影面積も大きめでフェアウェイウッドと極端な差がないのでかなり安心感があります。ここまで顔を作り込めるホンマの技術はすごいと改めて感じました。

重心深度が深く、沈んだライからでもボールが上がりやすい

『ツアーワールド GSユーティリティ』のヘッドは投影面積が大きくて奥行きがあります。見るからにボールが上がりやすそうですが、実際に打ってみると思った以上によく上がります。

適度にフェースプログレッションがあるのでボールを拾いやすく、重心も見た目以上に深くてインパクトロフトが大きくなるので打ち出し角も高くなります

また、標準シャフトは真ん中から先にかけて少し軟らかいので、少し沈み気味のボールもしっかりとつかまえながら浮かせてくれます。ロフト角18度の3番はさすがに球が強く出ますが、それよりも短い番手ならしっかり高さが出てグリーンに止まる球が打ちやすいと思います。

「クランクスリット」の効果で薄い当たりでも飛距離が出る

中間から大きくしなる『ツアーワールド GSユーティリティ』専用シャフトは目一杯振らなくてもインパクト付近でヘッドを加速させてくれます。

また、フェースの弾きもよくて、「クランクスリット」の効果なのかフェースの下の方に当たったときもボール初速がそれほど落ちません。ソールの抜けもよく、ラフやディボットなどから打って当たりが薄くなってもそれなりに飛んでくれるので実際のラウンドではかなり助けられるでしょう。

特に18度の3番は球が強くてよく飛びます。弾きがよくてレングスが長い分、ボールが右に出やすいけれど飛距離は出ます。基本的には直進性が高く、トゥやヒールに当たっても曲がりが少なく、その分ボールが前に飛んでくれます。飛距離のロスも少ない。

本間ゴルフ ツアーワールド GS ユーティリティがおすすめの人

まず一番に『ツアーワールド GSユーティリティ』をおすすめしたいのは、やさしいクラブが欲しいけれど、左に行きそうなユーティリティは怖くて使えないという人です。

『ツアーワールド GSユーティリティ』はフェースがストレートで形状的にも左に行くイメージがないので、フッカーでも不安なくかまえて振ることができます。ロングショットで距離や方向のバラつきが大きい人にもおすすめです。

びっくりするほど飛ぶわけでありませんが、ロングアイアンよりも上がりやすく楽に飛ばすことができ、ミスヒットしたときの飛距離ロスや左右の曲がりが小さいのでねらった目標に手堅く寄せることができます。

また、5番ウッドや7番ウッドで球が上がりすぎて風に対応できない人にもおすすめです。18度の3番なら風に負けない強い球が打てます。『ツアーワールド GSユーティリティ』は形状がフェアウェイウッドに近いので、アイアンよりもウッドが得意な人に向いています

本間ゴルフ ツアーワールド GS ユーティリティの評価

一言でいえば『ツアーワールド GSユーティリティ』は昔ながらの日本のユーティリティのよさを残したまま、よりやさしく真っ直ぐ飛ばせるようになったモデルです。

ホンマのプロモデルとも共通するオーソドックスな顔は上級者でも文句なしのかまえやすさ。また、振りやすさ、上がりやすさ、ミスヒットに対する強さなど初中級者にとってもかなりやさしいクラブといえます。

シャフトのスペックさえ選べばキャリアや腕前を問わず様々なタイプのゴルファーを幅広く受け入れてくれる懐の広さを感じます。


テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)

1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。