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JLPGA 2021日本女子ツアーは大盛り上がり!!|岡本綾子が2021シーズンを鋭く切る!!

2020-21女子ツアー 開幕特集

2021/04/10 ゴルフサプリ編集部

熾烈な戦いが今年もいよいよ始まる! 華やかで、そして力強いショット。絶妙にコントロールされたショートゲーム。笑顔とともにファンの心を揺さぶる勝負のパッティング。女子プロゴルフツアーの魅力は今はなんといってもフレッシュさ。黄金世代、さらにその下のミレニアム世代など、20歳前後のプレーヤーたちが多く優勝争いに絡んでくる。もちろんベテラン勢も負けていない。今シーズンも当初は無観客試合が多くなる気配だが、1日も早く多くのゴルフファンを迎えてのトーナメントが見られる日が待たれる。とはいえ見どころ満載のツアーを、まずは鋭い分析で定評のある岡本綾子に聞いてみた。(記事内容は一部を除いて開幕前の情報をもとにしています)

GOLF TODAY本誌 No.586 14〜19ページより

現在、賞金ランク2位に位置する笹生優花。昨年の勢いを今シーズンも継続できるか。
本来の攻めのゴルフが戻ってきつつある渋野日向子。
上田桃子を筆頭にベテラン勢にもおおいに期待したい。
昨年は無観客、そして握手もハグもできなかったが、今年は一部の試合で有観客開催される試合も。
ルーキーイヤーで3勝と力を発揮した古江彩佳。
2017、19年の賞金女王の意地にかけて巻き返したい鈴木愛。
地元の沖縄で2019年ダイキンオーキッドを制した比嘉真美子。
開幕戦は恒例となった沖縄、琉球ゴルフ倶楽部でスタート。
黄金世代でトップの獲得賞金2億円を突破している小祝さくら。開幕戦と3試合目で優勝し、現在賞金ランキングトップを走る。
2000年生まれのミレニアム世代では大活躍の西村優菜。
昨年はメジャー2勝、存在感を増した原英莉花。

前半戦は若手中心の展開となって、50%以上が新しい選手の優勝になるかな

2021女子ツアーを岡本綾子が大胆予想!

岡本綾子
(ダイワボウホールディングス)
1951年生まれ、1975年プロ入り。国内44勝、海外18勝、ツアー通算62勝の永久シード選手。1987年にはアメリカ人以外で史上初のLPGA賞金女王に。世界のトッププロと戦い、スイングを見てきた経験によるテレビ解説は人気が高い。世界ゴルフ殿堂入りプレーヤー。

2年にまたがる長いシーズンだからといって何も変わらない

2020年と2021年が統合されて1つのシーズンになると聞いて、みなさん「えっ?」と驚いたと思いますが、戦うプロたちにとっては2年が1シーズンになろうが、何の支障もないと思いますね。試合に出られる資格のある選手なら、戦い方も何も変わることはない。朝起きて、練習して、トレーニングして、というゴルフ漬けの毎日を送って、準備を重ねるだけ。基本的にはその24時間の繰り返しだから。ツアーのスケジュールが変則的になろうと、やることはいつもと同じなんですよ。

2020年の14試合で頑張れた、頑張れなかったで獲得賞金に1億円くらいの差があっても、2021年は春先からその2倍も3倍も試合があると思えば、いくらでも取り返せる。

このシーズンの間にできたオフを有効に使えるという捉え方もあるだろうし、たとえばトレーニングをやり切れなかったとか、苦手の克服とか、自分の中に目覚めたこと、いろいろあったりするんだろうから。確かにシーズンの途中にオフが入る、というのは異例だけど、それもあまり関係ないと思います。結果を計る区切りの線が変わっただけで、体力面でも50試合連続して行われるというわけじゃないですからね。

鋭いアイアンショットが持ち味といえる笹生優花。

2021年もとくに序盤戦は若手が活躍しそう

去年の第1戦になったアース・モンダミン杯の上位選手を見た時、あの低年齢化にはちょっと度肝を抜かされましたね。ここ数年の低年齢化ははっきりした傾向でしたけれど、20歳前後の子ばかりが目立ちましたから。

まず笹生優花選手。初日の映像でスイングを見て「ああ、こういう子が時代を変えて行くのだろうな」と感じました。その後の活躍で飛距離に注目が集まっていましたが、私はとくにアイアンショットの球筋に惹かれましたね。ドライバーショットならもっと飛ばす選手もいるけれど、同じパワーヒッターでも色が違う。別ものです。福嶋晃子が出てきた時を思い出しました。

アプローチのクラブヘッドの抜き方なんかも、男性的というか、女性にはなかなかできない技がある。立ち居振る舞いとかを見ても雰囲気があるし、時代を変えてくれる一番手じゃないかと、今年も期待しています。ただあのスイング、腰を痛めるのではないかと心配もありますね。古江彩佳選手は本当に小柄な体で頑張っていると思う。シーズンオフなしでツアーが続いていた方が、勢いに乗っていた彼女にとっては良かったかもしれないという気もしますが、しっかりやってくるでしょう。

2021年も、出だしは若い選手中心に行くんじゃないかなぁ。3月、4月は。本来は1試合でも各選手の体つきやスイングを見ないと予想することなんてできないんですが、なんとなく序盤戦では50パーセント以上が新しい選手の優勝になるようなイメージが沸いています。

安定感のあるスイングと勝負強さがある古江彩佳。

シーズン第2幕となるが賞金女王は日本選手の予感!?

新型コロナが終息しなければ、昨年同様に中止になるトーナメントも出てくるかもしれないですし、すでに第2戦、第3戦は無観客試合になることが発表されています。そういう変動的なスケジュールになると、ベテランほどやりにくいだろうと思います。毎年海外でオフ合宿していた選手は、この寒い日本で調整する1、2月は大変だったでしょうし。

鈴木愛選手が昨年の最終戦を終えてかなり落ち込んでいたようですが、確かに1人で悩んで心を痛めていたのが数字に出てしまってましたね。天才的なパッティングを持っていることが逆に、外からも自分の中からも本人を苦しめるのだろうと思います。

でも、彼女も本当のシーズンは今年の3月からだと考えているだろうし4月、5月になればお尻に火がついてくるのではないかな。誰もが通る苦しい時期が来ていただけだと思って見ています。

今シーズンは3億円大会まで誕生して、賞金女王争いもそういう高額大会の成績に影響を受けそうですが、なんとなく日本人選手から女王が生まれそうな予感がします。もちろん韓国勢をはじめ、外国人選手はきちんと活躍してくれると思いますが、なんとなく…です。

賞金ランクは3位ながらまだまだプレーに波がある原英莉花。

2021年の黄金世代、東京五輪開催可否の影響は…?

渋野日向子選手にはこのシーズンオフに何か大きな変化があったかもしれない。何かを変えようとしているのではないかと。昨年終盤のゴルフには、どこかその兆しのようなものが見えていました。厳しいようですが、アイアンショットについては、昨年までのフラットスイングでは狙ったところにボールは打ち出せないだろうし。彼女に携わる人に、そのあたりをわかってくれる人が現れたらいいなぁと思っています。

原英莉花選手はドライバーショットにまだ難点がありますね。飛距離は出るけれど、コントロール性が落ちるから、賞金女王を狙って行くのなら、そのあたりをオフに改善できているかどうかがカギになるでしょう。

小祝さくら選手は黄金世代の中でも私は一目置いているのですが…あとは自信をつけさせてくれるアドバイザーが必要かな。いいスイングしていますよ。

東京オリンピックが開催されるか否か、候補に入っている選手には同情しますが、それもほとんどの選手の動向には関係ないと思います。あればあった、なければなかったで通常のツアーでの戦いを当たり前に繰り返していくんだろうと思っています。もちろん開催されたら、応援しますよ。

一時的にプレーに精彩を欠いたが、復調してきている渋野日向子。
黄金世代の中でも最もプレーに安定感のある小祝さくら。

2021私たちの課題と目標

西村優菜(スターツ)
複数回優勝と賞金ランクTOP5に入ることです。そのために、ショートゲームのスキルアップが必要だと感じています。

原英莉花(日本通運)
今シーズンは常に冒険心を持って戦い抜くのが目標です。そして一喜一憂せずに冷静にプレーするのが課題です。この様な状況の中で戦える事に感謝し、皆様に少しでもいいプレーをお見せできる様ベストを尽くします。

渋野日向子(サントリー)
今の自分のことを知りつつ、作り上げている自分を完成に近づけたい。のびのびとプレーすることが目標です。

青木瀬令奈(マツシマホールディングス)
まずは優勝して、リコーカップに出場することが目標です。例年3、4月が苦手なので、まずは毎週しっかりと予選通過できるようにしたいと思っています。

安田祐香(NEC)
現時点では出場できる試合が限られているので、先ずはシードを目指して、一年間しっかりと戦いきりたいです。昨年はパーオン率が良くなかったのでショットの精度は課題です。グリーンを外した時にパーセーブ出来ていないのはショートゲームが原因だと思うので、リカバリーを上達させたいです。目標は賞金ランキングは30位以内、パーオン率でトップ10に入りたいです。シーズンの早い段階でトップ10に入って、優勝争いをしたいです。

笹生優花(ICTSI)
ドライバーからパターで評価できる部分もありましたが、全体的にもっと安定性を上げていきたいと思っています。オフはしっかりと打ち込みと、トレーニングを行いました。今年の目標は1試合1試合頑張っていくことです。

河本 結(リコー)
アメリカツアーで戦いぬくための体力、精神力をしっかり強化しながら、日米ともに1勝目指して頑張ります!

松田鈴英(ニトリ)
今年の一つの課題としてドライバーの飛距離をさらに伸ばすためにトレーニングに励んでます。今オフには苦手だったショートゲームに力を注ぐ事と、パーオン率75%が課題です。そして今年の目標は優勝です!ファンの皆様に1日でも早く優勝シーンを見て頂きたいです。

笠りつ子(京セラ)
年齢とともに可動域が狭くなっていると感じていて、肩甲骨の可動域を広げるトレーニングや体重、体脂肪の管理をしっかりやっています。体のキレをしっかり作って勝ちます!

新垣比菜(ダイキン工業)
昨年は試合が大幅に減り、ゴルフが出来る有り難さを改めて感じる事ができた一年でした。今年は1つでも多く優勝を目指し、ファンの皆様へ明るいニュースを届けたいです!

吉本ひかる(マイナビ)
課題は風や雨の時にあまり良くなかったので、雨風のときにどう対応するか!目標は自分らしく、優勝目指して1試合1試合丁寧にプレーする!

稲見萌寧(都築電気)
トレーニングにキックボクシングを取りれてみました。キックの時に右足で地面を蹴る感じが似ているし、私は横の筋肉を捻るの苦手なので、動かせるようになればということです。今年は複数回優勝を目指したいです。

小祝さくら(ニトリ)
課題はパットに波があり、フェアウェイキープ率も良くなかったので、この2つです。初戦のダイキンオーキッドはいいスタートダッシュができるように頑張り、今年は複数回優勝したいです。

古江彩佳(富士通)
課題は、調子の悪い時にでも耐えることが出来ること。今年の目標は、1年間をたくさんの笑顔と感動をお届けしたいです。

勝みなみ(明治安田生命)
今年も、もちろん毎試合優勝を目指して頑張りますが、大好きなゴルフができることに感謝しつつ、目の前の自分のやるべき改題をコツコツとクリアしていきたいです。

【3億円大会もあり一攫千金のニュースター誕生も】2021年JLPGAツアーはこうなる!

今年のツアー開幕戦は、シーズン第1戦ではなく第15戦だ。もちろんツアーに参戦する選手たちはみな心機一転、新たなシーズン開幕のつもりで挑んでくるはずだが、賞金レースにおいては2020年の14試合で残した結果がハンディキャップのように各選手に付加された状態で戦いが始まることになる。

新型コロナウイルスの猛威はいまだ収まらないだけに、予定の37試合がすべて開催できる保障はない。シード権獲得を第一目標に掲げる選手たち、また年間の出場資格が確保できていない選手たちは、その座をつかみ取るため、まさに目の前の1試合に全集中、全力投球することになるはずだ。しばらくは無観客大会も多く想定され、大ギャラリーに囲まれる重圧を感じずに戦えるという要素もあり、経験の少ない選手やこれまで優勝争いで押しつぶされてきた選手らが一気に開花するパターンが増えるのではないだろうか。

賞金総額3億円の大会と同6000万円の大会が混在する今季JLPGAツアー。国内メジャー大会より高額な大会の結果ひとつで賞金女王争いなどがシラケてしまうようなことがないか不安はあるが、一獲千金のニューヒロインが誕生する期待もある。

女子ツアー取材歴33年レギュラーツアーはほぼ全試合に帯同!
ゴルフライター 月橋文美

協力/ダイキンオーキッドレディス、NEC軽井沢72トーナメント、ニトリレディス