ゴルフのシャンクとは|意味・語源や原因、直し方を解説
ゴルフにはたくさんのミスショットがありますが、プレーヤーをもっとも不安にさせるのがシャンクでしょう。シャンクはなんの前触れもなく突然プレーヤーの前にあらわれ、不安を通り越して、恐怖心を与えます。こうなるとスコアをまとめるどころではなく、スイングすることが自体が怖くなります。そこでミスのなかでも非常に厄介なシャンクの原因や対策を紹介します。
撮影協力/埼玉県所沢市「インドアゴルフKF24」
ゴルフのシャンクとはどんなミス?
ゴルフのシャンクとは主にアイアンやウェッジでショットをする際に起こるミスショットのことです。
インパクト時にボールがフェースではなく、フェースとシャフトの接合部分のネック近辺にあたってしまうことでボールが右斜め前方、もしくはほぼ真横に飛び出すミスショットをシャンクといいます。
鈍い打音、不快な打感とともに、あられもない方向にボールが飛び出すため、プレーヤーにとても大きな精神的ダメージを与えます。そのダメージの大きさはダフりやスライスの比ではなく、スイングすること自体が怖くなり「またシャンクするのでは…」という恐怖心がしばらく続くほどの厄介なミスです。
「シャンク」の意味・語源
英語の「Shank(シャンク)」は、日本語で「脛(すね)」や「柄(え)」などの意味です。
ゴルフクラブをよく見ると、人間の足にカタチが似ています。そのせいかヘッドの先端部分を「トゥ(つま先)」、ヘッドのシャフト寄り部分を「ヒール(かかと)」、ヘッドの底を「ソール(足の裏)」と呼びます。
シャフトを脚(股関節から膝まで)とするならば、シャフトとヘッドをつなぐネック部分は脛(すね)に相当します。
前述したように、シャンクとはボールがネック近辺に当たってしまうことに起因するミスショットのこと。ネック近辺(=脛)に当たることから、このミスをシャンクと呼ぶようになったという説があります。
ゴルフでシャンクする主な原因
ゴルフのプレー中にもっとも忌み嫌われているシャンク。起こる原因がいくつかありますので、ここでは主なものをピックアップして紹介します。もしシャンクに見舞われたら、ここで紹介した原因を思い出してみてください。
- 極端なインサイド・アウト軌道
- カット打ちの典型、アウトサイド・イン軌道
- ハンドファーストの意識が強すぎる
極端なインサイド・アウト軌道
極端なインサイド・アウト軌道
ボールをつかまえたい意識が強い人や常に高い弾道のショットを打ちたいと思っている人は、極端なインサイド・アウト軌道のスイングになりやすいものです。
そしてこのタイプの人はダウンスイングでグリップ(手元)が浮き上がって、クラブが寝た状態で下りてきます。こうなるとフェースが開いたままボールコンタクトする確率が増してしまうため、結果的にネックにあたり、シャンクを誘発することになります。
インサイド・アウト軌道は飛距離アップに欠かせませんが、シャンクしやすい一面があります。
カット打ちの典型、アウトサイド・イン軌道
アウトサイド・イン軌道
100切りレベルのアマチュアやハイハンデのアマチュアの多くはいわゆるカット打ちで、アウトサイド・イン軌道のスイングをするタイプがほとんどです。
このタイプはフェースを返すことが苦手で、たいてい持ち球は大きなスライスです。そしてフェースが返せないが故にネックにボールがあたりシャンクすることがとても多い傾向があります。
ちなみに、アウトサイド・イン軌道が強くなるとアタックアングル(入射角)が鋭角になりすぎて、ダフりを頻発することにもつながります。
ハンドファーストの意識が強すぎる
ハンドファーストの意識が強すぎる
インパクトのときにグリップの位置が目標方向に流れてカラダの正面から外れてしまうとフェースが開いたままボールとコンタクトするためネックにあたってしまい、シャンクすることが多くなります。
目標方向に流れる主な原因はハンドファーストのインパクトを意識しすぎるためです。またアプローチショットのときはアドレスがハンドファーストになるため、より一層グリップ位置がカラダの正面から外れやすく、シャンクしてしまう人が多い傾向があります。
ゴルフのシャンクの直し方・練習方法
ゴルフのプレーにおいてシャンクというミスショットはゴルファーに大きな精神的ダメージを与えます。ここではそんなダメージから立ち直るためのシャンクの直し方を紹介しましょう。
- ダウンスイングでクラブを立てる
- 胸を右に向けたままクラブを下ろす
- 目標に向かってヘッドを出すように振る
ダウンスイングでクラブを立てる
ダウンスイングのときにクラブを立てて下ろす
極端なインサイド・アウト軌道が原因でシャンクが出てしまう人は、ダウンスイングのときにクラブを立てて下ろすようにしましょう。立てて下ろすと、クラブは極端にインサイドから下りてくることがなくなり、フェースも閉じやすくなります。その結果、ネックにボールがあたる心配も減るでしょう。
極端なインサイド・アウト軌道の人は基本的にダウンスイングでクラブが寝ています。寝てしまうとフェースが開いたまま下りてくるため、ボールがネックにあたってしまうのです。こうなるとシャンクに見舞われることが増えてしまいます。
胸を右に向けたままクラブを下ろす
右を向いた胸の向きを変えずにクラブを下ろす
アマチュアの多くは「飛ばしたい!」という思いが強くなると、ダウンスイングで右手に力が入り、ボールを強く叩こうとします。これでは極端なアウトサイド・イン軌道のカット打ちになるだけでなく、フェースが返りにくくなるためシャンクを誘発します。
これを防ぐためにはトップで右を向いた胸の向きを変えずにクラブを下ろすようにしましょう。こうするとアウトサイド・イン軌道が緩やかになってフェースが自然と返るため、ボールがネックにあたることもありません。
目標に向かってヘッドを出すように振る
ターゲットに向かってヘッドを放り出すようにスイング
ハンドファーストのインパクトを心がけたり、意識することはとてもよいことですが、度が過ぎるとグリップがターゲット(目標)方向に流れて、カラダの正面から外れてしまいフェースが開いたまま下りてきます。こうなるとボールがネックにあたり、シャンクを呼び込むことに。
これを防ぐためにはターゲットに向かってヘッドを放り出すようにスイングしましょう。こうするとグリップが流れることがなくなり、フェースが自然とターンして、ボールをつかまえてくれます。
プレー中にシャンクが止まらない場合の応急処置
シャンクというミスショットは一度出ると、2球、3球と、しばらく続く傾向があり、なかなか止まらなくなります。こうなるとスイングすること自体が怖くなってしまい、ゴルフが嫌になります。そこで応急処置的な対処法を紹介しましょう。
- グリップとアドレスを確認する
- 体重移動を抑える
- 確実にフェースターンを行う
グリップとアドレスを確認する
グリップとアドレスを確認
シャンクが出たら、必ずグリップとアドレスを確認しましょう。知らず知らずのうちにグリップがウィーク気味になっていることがあります。ウィークグリップはフェースが返りにくいため、それによってネックにあたっているとも考えられます。
またアドレスの位置がいつもよりボールに近いと、そのぶんネックにあたる確率が高まり、シャンクにつながっているかもしれません。
体重移動を抑える
体重移動(ウェートシフト)をしっかり使ってスイングすることは、とてもよいことです。しかし、ラウンド中、いつの間にか体重移動が大きくなりすぎて、軸がブレたスイングになることも。こうなるとフェースの向きが不安定になり、結果的にシャンクを招きやすくなります。
そのためシャンクが出たら、軸をキープして、その軸を中心に体をクルッとまわすイメージでスイングしましょう。
確実にフェースターンを行う
インパクトゾーンで確実にフェースをターンさせる
シャンクというミスショットはたいていの場合、フェースが開いたままボールとコンタクトすることで起こります。そのためインパクトゾーンで確実にフェースをターンさせる意識をもってスイングすることが重要です。
ふだんあまりアームローテーションを使わずに振る人も、シャンクが出たら積極的に使うようにすることで「シャンクが止まらない!」といった状況を回避できます。
シャンクが出る場合はスイングを動画でチェックしてみよう
シャンクに悩んでいる人はスマートフォンで自身のスイングを撮影したり、ゴルフシミュレーターのある練習場などに出向いてスイングを撮影し、問題点を解決するようにしましょう。
あなた自身でチェックするときは「インパクトでフェースが開いていないか?」「インパクト時のグリップ位置がカラダの正面から外れて、目標方向に流れていないか?」を見てみましょう。
この2点をクリアしているにもかかわらず、シャンクが直らないときはインストラクターにチェックしてもらうのがオススメです。
ゴルフのシャンクについておさらい
ゴルフにおけるシャンクというミスショットは一度出るとなかなか止まらない傾向があるためプレーヤーに大きな精神的ダメージを与えます。
そのダメージは単に「またシャンクするかもしれない…」という不安感にとどまらず、プレーヤーに恐怖心を抱かせ、ゴルフそのものが嫌になってしまうこともあります。
したがってシャンクに見舞われたら、その場しのぎ的な方法で構わないので、即効性のある直し方で対応することが望ましいのです。
■解説者プロフィール
宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経てフリーのゴルフライターに。レッスンやギアはもちろん、ゴルフの歴史などにも精通。また、無類のスイングマニアで、スイング理論が大好き。ここ数年は競技ゴルフに明け暮れ、毎日の練習を自らに課している。