みんな使っているティについて、意外とみんな知らないという不思議
毎ホールで1打目を打つときに使うのが、ティペッグです。今回は省略してティと呼ぶことにします。
初めてゴルフをしたときから、ポケットに数本は入れておくよう言われていました。上手くボールを乗せられなくて苦労したり、各ホールで拾い忘れて途中で足りなくなったり、思い出してみるとゴルフをした分だけティにまつわるエピソードはあるものです。
あまり触れることはありませんが、ゴルフ規則にもティについて4つの禁止事項があります。
● 長さは、4インチ(101.6ミリ)より長いものは違反
● プレーの線を示すことができるようにデザイン・製造されているものは違反
● 球の動きに不当に影響を与えるものは違反
● その他、ストロークをしたりプレーする上でプレーヤーの援助となるものも違反
ブラシになっているものや、斜めになっているものなどが有名ですが、“このティを使えば、7ヤード飛距離アップ”というような売り文句は違反になるの?と心配する声が聞こえてきます。しかし、いずれも違反ではありません。逆にいえば、球の動きに大きく影響するような効果はない、ということです。
それよりも、紛失防止目的で繋げたティの紐で方向をアシストしたりするのは違反です。普通に使うぶんには全く問題なくても、使い方によっては違反になるのです。
改めて見てみると、ティは多様です。長さは長短ありますし、シンプルな釘状のものから画鋲を逆さにしたような形状まであり、挿すのではなく置くタイプなど何種類もあります。素材もいろいろ、カラーもたくさんあります。
ティにこだわりが出たらゴルファーとして一人前、という説もあります。ティは案外と面白いのです。
上級者は木製ティしか使わない、という都市伝説の真相に迫る!
バブルの頃。ゴルフコースのキャディマスター前には、スコアカード類と一緒にそのコースのロゴがプリントされたティが山積みされていて、“ご自由にどうぞ”というのが当たり前でした。
有名コースや高級コースになると、記念に大量に欲しいけれどごっそり取るのはちょっと恥ずかしい、ということで、時間をおいてさり気なく行ったり来たりしながら数本ずつをポケットに入れて数を集める、なんてことが”あるある”だったりしました。
「ティなんて、買ったことない」というゴルファーがたくさんいる時代でしたが、同時に、自分好みの色のティに好きな色でネームを入れたオリジナルティを作って使っている“こだわりゴルファー”もいました。100本で数千円でしたが、それなりの価値がありました。粋なゴルファーにとっては、よき時代でもあったのです。
木製のティは芝刈り機にやさしいってほんと?
「上級者は木製のティしか使わない」という説があります。
理由は、木製のティは芝刈り機の刃を傷めないけれど、プラスチックのティは刃を欠けさせるから、だとか。しかし、現在この理由は、コース管理のスタッフから否定されています。芝刈り機の刃は、木製のティでも欠けるからです。
昭和の頃は、ティに使われている木材は加工しやすい代わりに、折れやすくやわらかいものでした。材料費も加工費も安かったからです。さらにやわらかい素材を選択したのは、ドライバーが木製のパーシモンのヘッドだったから。堅い木材のティでは、フェースが凹んでしまうのです。やわらかい素材なので芝刈り機の刃にもやさしい、ということになったようです。
管理スタッフはティーイングエリアと周辺の芝生を刈るとき、ティや小枝などがないか入念にチェックし、時間をかけてそれらを拾ってから芝生を刈ります。その様子を見たことがあるゴルファーなら、わかるでしょう。ティは素材に関係なく芝刈り機の刃を傷める可能性があるので、回収されていることを。
つまり、木製ティだから放置していい、という例外はナシ。折れたものも含めて全てのティは拾うようにするのが、ホンモノの上級ゴルファーなのです。
たかがティ。されどティ。あなたのティは?
ティの都市伝説で有名なものは、ほかにもあります。
“OBを連想させるので白いティは使わない”、“ティアップのボールの高さが高いほど上級者で、よく飛ぶ”、“プロはパー3でティを使わない”など、キリがありません。
いずれも迷信や勘違いが広まったものです。例えば、プロはパー3でもティを使いますが、多くのツアープロは短いティではなく普通の長さのティを深く挿して使うことが多いので、それが勘違いされて広まった、というわけです。
ティを挿すときの所作で、腕前がわかるということもあります。
あるゴルファーは釘状のティを常に同じ高さでセットアップできるよう、公園にボールとティを持ち込んで練習をしていたところ、警察官から職務質問を受けたという涙ぐましい笑い話もあります。常に同じ高さにセットアップできるよう、段が付いているものもあります。
ティというアイテム
自分が愛用しているのは、ティにもなるしグリーンフォークにもなるというもので、春夏秋の3シーズンはこれを使っています。カラーは、昔は黒いティが好きだったのですが、今はこだわりなく朝の気分で白か赤、青をよく使います。
そもそもティはその昔、ひとつかみの砂を盛ったものでした。長い時間が流れてティペッグが発明され、現在の多種多様の形になってきました。
そして、ポケットに潜ませるお守りだと考えるだけで、自分のゴルフを変える力を持っているアイテムでもあるのです。大切に上手に使うのがゴルファーとしての正解なのです。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。




