軟らかいのに低スピン。吹き上がらず前に伸びて強風下でもバンバン飛ぶ
「前作のクロムソフトシリーズではクロムソフト X LSが低スピン系ボールでしたが、クロムツアーシリーズはそれが軟らかい方向にスイッチされたようで、どんなふうに変わったのか楽しみにしていました。
もともと僕は軟らかめのボールが好きで、クロムソフトシリーズでは赤箱派(クロムソフト)。ただ、冬はいいけれど、体が動いてヘッドスピードが上がる夏になると軟らかすぎる感じになるので、もうちょっとしっかり感があるボールがほしいと思っていたんです」
と開口一番、石井。クロムソフトシリーズの試打では、高弾道にもかかわらず飛距離ロスがなく、打球を止めやすい性能を実感したが、使っているうちに若干の物足りなさも感じていたようだ。ということで、早速ドライバーを打ったインプレッションを聞いてみると、
「結論から先に言うと、クロムツアーの軟らかさは、まさにどハマり。丁度いい感じになったというのが最初の印象で、軟らかとしっかり感を両立したボールになっています。軟らかすぎると潰れすぎて変な手応えになるんですが、フェースにボールが乗る感じがあって、僕的にはすごくいい感じです」
「ドライバーショットではスピン量がすごく減りました。
一般的にインパクトで潰れた感じがある軟らか系のボールは、吹き上がるイメージがあって、僕も硬いボールを使っていた時期がありました。それに比べると、クロムツアーは軟らかいのにスピン量が少ない。もともとスピン量が多めの僕でも1800回転台から、行っても2000回転台前半(ともにrpm)でした。
その効果で飛距離も出ます。今回は右からかなり強いサイドアゲンストの風が吹いていましたが、それでもキャリーで250ヤード近く、トータルで270ヤード以上飛んだ。恥ずかしながら試打を忘れて打ち込んじゃいました(笑)。最近の飛ぶボールは、軟らかくて潰れる感じがあるのにフェースに乗ってスピンが減るのですが、耳で聞いて理屈ではわかっていても体感はしづらかった。それが吹き上らず前に伸びる弾道で強い風の中でもバンバン飛んだ。これは初めての感覚ですね」
当日のコンディションは晴れだが右からサイドアゲンストの風。風速は5~8m/sで推移していた。しかし、打球を見るとフェアウェイセンターからやや左サイドに着弾するドローのイメージで打っても風にもっていかれない。
実は石井、強風で名高い静岡県のシーサイドコースで、すでにクロムツアーを打っており、風に対する強さは確認済みで「今日よりはるかに強い爆風で、さすがにこんなには飛びませんでしたが、一緒に回った人より風に流されていなかったんです」ということ。試打クラブがお気に入りのひとつのローグSTということもあったのだろう。その言葉通り、仕事を忘れ、楽しそうにクロムツアーを打ち続けた。
アイアンショットで確信した風に対する圧倒的な強さ
場所を移し、グリーンセンターまで150ヤードのフェアウェイから8番アイアンで試打を再開。ここでは取材班一同が、クロムツアーの風に対する強さを確信することになった。
「アイアンだと風に負けないのを一層強く感じます。負けない感じが強すぎるとグリーンで止まりませんが、なぜかしっかり止まってくれました。番手は8番でしたが、普通は風があると打球の最高到達点から先の動きが全く読めません。今回のように右からのサイドアゲンストだと、落ち際でどんどん左に流されて落下地点が広範囲になるのですが、なぜかクロムツアーは流されないんです。このメカニズムはよくわからない。“すごい”ばかりになっちゃって芸がないですが、本当に“ボールって、こんなこともできるの!?”って感じです」
確かに風は吹いている。それもかなり強く。ボールが高く上がる8番なら影響がないわけがないのだが、本当に落ち際も打球が流されない。これにはさすがに目を疑った。テストした石川遼も驚いたようで「ウソでしょ! 本当にそうなるように作ったんですか。マジで風に流されない。頂点までの球筋と落下の球筋が対称に近いイメージ」と語ったらしいが、まさにそんな打球を目の当たりにした。
「どんな人に合うかですが、基本的にはバリバリのツアーボールなので、競技志向の方やツアープロが使っているボールを好む人が使うと、このボールの良さを実感できると思います。キャロウェイのクラブユーザーの方も試してみるべきです。クラブはこのボールでもテストしてるでしょうし、これで結果が出るように作っているはず。全員に合うことはないかもしれませんが、使ってみると違いがわかると思います。
できれば今日みたいなアゲンストの風の中で打ってみてほしい。ドライバーもアイアンも違いを実感できると思います。前作のクロムソフトとクロムソフトXではその違いが大きすぎる気がした。そこに今回クロムツアーが入ったことで、スイッチもしやすくなったと思いますね」
クロムツアーのパッケージは目立つゴールドだが、これは“ニューゴールドスタンダード”を意味している。アメリカでは高品質、高バランスの代名詞で、総合的な評価の高さを表すフレーズ。「これを選べば間違いなし!」といったところだ。
クロムツアーXにはボールの質感を思わせるようなしっかり感がある
「クロムツアーXはクロムソフトXに近くてしっかりした打感です。それでいてスピンが入って、打ち出し角も高い。グリーン周りのアプローチでもしっかりスピンがかかります。契約選手の多くが使っているのがよくわかる、完成度の高いツアー系ボールだと感じます。ドライバーのスピン量も少ない。ただ、クロムツアーXではスピンが少なすぎて合わない人もいるかもしれないので、適度なスピン量のボールを選んでいただくといいでしょう。その意味でもクロムツアーの誕生は守備範囲を広げていると思います」
前述のように、前作のクロムソフトは夏場に軟らかすぎる感じになる、ということで、夏場はもっぱらクロムソフトXを使ったという石井。ツアープロの使用球として定着していることもあり、いたずらに大きな変更は加えていないようだ。クロムツアーにはないカチッとした爽快な打音が印象的だっだ。
「アイアンの弾道は安定していますが、ちょっと手応えが違います。クロムツアーが“むにゅっ”と軟らかい感じだとしたら、クロムツアーXにはボールの質感を思わせるようなしっかり感があります。まあ、これは好みの範疇ですので、フェース面とボールの外殻がカチッと当たっている感触が欲しい人ならクロムツアーX、ちょっと早めにむにゅっと潰れてほしい人ならクロムツアーがおすすめだと思います。プロツアーの現場ではクロムツアーXを選ぶ人が多いかもしれませんが、軟らかくてスピンが少ないボールの需要は絶対にあると思います。
また、アマチュアの方ならドライバーを替えて、ちょっとスピンが増えたり、減ったりする悩みが出てきた時に、クロムツアー/ツアーXを試してみるといいでしょう。適度なソフト感のあるクロムツアーならボールがつかまってスライスが軽減されるといった効果も十分に考えられますからね」
米男子ツアーでは契約プロがみなクロムツアーシリーズにスイッチ、初戦の「セントリートーナメント オブ チャンピオンズ」からクロムツアー/ツアーXを実戦投入している。
もちろん日本のプロもテスト中で、石川遼はクロムツアーを使う可能性が高いようだ。ツアー系ボールを使うゴルファーは、おしなべてボールを替えない傾向が強いが、そんな層にも食い込んでいけるボールと言えそうだ。最後にパットの印象についても聞いてみた。
「キャロウェイはボールのカバーとパターのフェースインサートが同じ素材。僕は Ai-ONEの樹脂フェースを使っていますが、やはりクロムツアーの“むちゅっ”とした打感はいいマッチングですね。Ai-ONEミルドも試しましたが、打つほどに樹脂の印象がよくなっていきます。性能的には球持ちがいいのでコントロールできる。打った瞬間どこかに行っちゃう、みたいなことがなくてラインに乗せやすいですね。打感は軟らかいですが、ボールの質感があって音もするので距離感が出やすい。
パターとの兼ね合いもありますが、ボールの直線性が高くてよく転がります。いわゆる入れごろ外しごろのパットでは、ラインを読みすぎるとカップの脇を抜けてしまう。逆に言えばカップを外さずに打てるので、カップインの確率が上がります。おかげで最近パターの調子がよくて、数ラウンド前の25パットを皮切りに、ずっと20パット台でラウンドできています」
以上でクロムツアー/ツアーXの試打レポートを終える。編集部でも試打を行ったが、印象的だったのは“飛距離”。それはクロムツアー/ツアーXのどちらにも言える。風に対する強さ、直進性の強さが飛距離に反映されているのか? とにもかくにも、魅力的な飛びをもたらしてくれるツアーボールという印象が強い。気になった!というゴルファーは、風の強い日にテストラウンドをしてみてほしい。石井良介氏が言うように、他のボールとの違いを体感しやすいだろう。
●クロムツアーの性格とテクノロジー
クロムツアーはクロムソフト X LSの後継
前作のクロムソフトシリーズから、2024年モデルはクロムツアー、クロムツアーX、クロムソフトの3モデルのシリーズ構成にチェンジ。クロムツアーはクロムソフト X LSの後継でロースピン&中弾道。クロムツアー Xはクロムソフト Xの後継で打感がしっかりめの中高弾道。クロムソフトは柔らかい打感と高弾道が特徴だ。
クロムソフトとクロムツアーXの中間の軟らかさ
クロムツアーは飛距離性能に重点を置いたボール。新しいクロムツアー Xより打ち出しのスピン量を抑えている。打感の柔らかさはXとクロムソフトの中間。前作クロムソフト X LSに比べてロングショットのボールスピード、アプローチのスピン性能が大幅にアップしている。
シームレス・ツアーエアロが風の影響を抑える
風に強いのは空力性能を改善した賜物。独自のヘックス・エアロネットワークパターンをバージョンアップしたシームレス・ツアーエアロがそれだ。六角形のディンプルパターンに複数の円形を採用、深さもアジャストしたことで、落ち際で風に負けないボールになった。
新採用のハイパー・ファストソフト・コア
コアは素材の配合を見直した新採用のハイパー・ファストソフト・コア。ロングショットではスピンを減らし反発力も生み出す。コアの周囲に重ねた2重のマントルも素材の配合を刷新。ボールスピードのアップに貢献している。
優れたスピン性能を演出するハイパフォーマンス・ツアーウレタンソフトカバー
カバーを成形する機械が新しくなり、さらに均一な厚みの実現が可能になったことで生まれたのが、今作のハイパフォーマンス・ツアーウレタンソフトカバー。クロムツアー独自の設計で、アプローチでの優れたスピンコントロール性能を支えている。




