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「Ai SMOKE」ドライバーはどこに当たっても飛ぶ!? 100万以上のスイングデータを元にした進化とは?

ついに「ヒト」のスイングデータ25万人分をインプット!AIは第2世代へ~米国本社のAI開発担当者が語った秘話~

2024/02/02 ゴルフサプリ編集部

Callaway PARADYM Ai SMOKE

「生成AI」や「Chat GPT」など日常生活でも身近になってきたAI。ゴルフクラブの開発にAIを導入した先駆者はキャロウェイだった。最初はボール、アイアンで試作をして、2019年にはドライバーで製品化に成功。そして2024年はついに「ヒト」のスイングデータをインプットした「パラダイム Ai SMOKE」が誕生。その進化をAI開発のキーマンに聞いた。

GOLF TODAY本誌 No.621 59〜63ページより
取材・構成・文/野中真一 撮影/相田克己

世界中のゴルファーのスイング軌道をAIに入力するのは約5年前からの構想だった

キャロウェイ社

今回、インタビューしたのはキャロウェイがAI開発をはじめた初期段階から、開発に携わるジム・セルーガ氏。今までのAIフェースはロボットテストのデータを使っていたが、今回は世界中のリアルなゴルファーのスイング軌道をインプットすることに成功。それがもたらす画期的メリットとは。

私がジム・セルーガ氏に話を聞くのは3度目だった。最初は2019年に「エピック フラッシュ」の発表会で来日したとき、2度目は2020年の「マーべリック」をカールスバッドで取材したときだった。2019年に世界で初めてAIを使った「エピック フラッシュ」について振り返ってもらうと、

「正直に言うと、当時はまだAIを活用しながらゴルフクラブを開発することに対して“手探り”な部分がありました。複雑な要素をスーパーコンピューターに入力するとAIが正しく認識できない可能性が高かった。だから、最初の『エピック フラッシュ』では『ボール初速を上げること』『耐久性の基準をクリアすること』『ルール適合であること』の3項目だけのインプットにしていました。入力するデータもロボットテストの数値でした」

そこから5年後の『パラダイム Ai SMOKE(以下、Ai SMOKE)』では、世界中のゴルファー25万人分、100万以上のスイングデータを入力することに成功。なぜ、急速に進化することができたのか?

ぶっ飛び!「パラダイム Ai スモーク」ドライバーの「AIスマートフェース」は”スゴい!!の連発"

「PARADYM Ai SMOKE」シリーズ ドライバー4本をコースに持ち込んで、徹底的にレポートする。 写真/ゴルフサプリ編集部(...

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「最初が『エピック フラッシュ』で次が『マーべリック』と、AIを使っての開発を続けていきましたが、その間に何度もスーパーコンピューターはアップグレードされています。『Ai SMOKE』を開発する段階では初期のスーパーコンピューターと比較してパワーは約40倍、演算する処理スピードは100倍以上になっています。スーパーコンピューターの進化により、今回は世界中のリアルなゴルファーのスイングデータをインプットすることが可能になりました」

ロボットではなく、実在するリアルなゴルファーのスイングデータにこだわった理由は?

「約5年前の『エピック フラッシュ』を開発していた頃から、リアルなゴルファーのスイングデータを入力することは構想としてありましたし、究極のゴールだと思っていました。今ようやく、それが可能になりました。『Ai SMOKE』では世界中にあるキャロウェイのフィッティングセンターから集めた本物のゴルファーのスイング軌道が反映されています。もちろん、日本人ゴルファーのスイングもインプットしています」

リアルなゴルファーのスイングデータを入力したことで、フェースはどのように進化したのか?

「今までのAIフェースもミスヒットに対しての強さはありました。ただし、ロボットテストのデータだったので、打点は上下左右にズレてもスクエアインパクトに近いことが条件でした。しかし、『Ai SMOKE』に採用したAiスマートフェースは実際のゴルファーのスイング軌道をベースにしているので、入射角、クラブパス、インパクトロフトなど様々なスイングデータを入力しています。

例えば、カット軌道でミスヒットしたときも打球の曲がり幅を抑えてストレートに近い弾道にしてくれます。ゴルファーが打ったときには、今まで以上にミスヒットに対する強さを体感できるフェースになっています」

「PARADYM Ai SMOKE」ドライバーシリーズはミスヒットに強く、AIフェースの進化を感じてこれはかなり気に入った

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計測した全21打点で「パラダイム」よりも飛距離が伸びた

パラダイム Ai SMOKE

ジェイルブレイクを外して、フェース外周部を薄くしたことでマイクロディフレクション(無数のたわみ)を起こしやすくしている。ボディ部分の360度カーボンシャーシも「パラダイム」よりさらに軽量化した。

前作「パラダイム」とのテスト結果では、明らかに優れた結果が出たそうだ。

「センターヒットはもちろんですが、トゥ側やヒール側、上下にズレた打点など、計21の打点で前作の『パラダイム』と比較した結果、全21打点において『Ai SMOKE』の方が飛距離が伸びていました。特に打点が左右に大幅にズレたときほど、飛距離の伸びは顕著でした」

「Ai SMOKE」では、近年のキャロウェイのドライバーにおける象徴的なテクノロジーだったジェイルブレイクがなくなっていた。その理由は?

「実は毎年、新モデルを開発するときに既存のテクノロジーについては見直しをしています。ジェイルブレイクについても必要なのか、必要ないのかを検証していたのですが、今回の『Ai SMOKE』はリアルなゴルファーのスイングデータを入力しながら、打球方向を安定させることが最大のコンセプトでした。

そのためにはインパクトの瞬間にフェース面上のあらゆるポイントを色んな角度にたわませる軟らかさが必要。ジェイルブレイクはヘッドの剛性を高めるためには最高のテクノロジーですが、フェースを複雑な方向にたわませる目的には合わなかった。だから外しました」

ジェイルブレイクを外してまで優先したフェース面上での無数のたわみ。それをキャロウェイではマイクロディフレクションと呼んでいるが、そこに「Ai SMOKE」の常識を覆す真価が隠されていた(次ページに続く)。

Jim Seluga

「初期のAIに比べてパワーは40倍、処理速度は100倍以上になりました」

Callaway Golf
R&D Innovation
シニアマネージャー
ジム・セルーガ/Jim Seluga

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