「ピンの顔」がフリーになり、14本&ボールを“総取っ替え”

渋野といえばピン。LPGAツアーのプロフィール画像も同社のキャップを被ったものが使われているので、いまだにこのイメージが強い人も多いのではないでしょうか。

2018年夏に日本女子プロゴルフ協会のプロテストに合格。実質的なプロデビューとなった翌年5月に国内メジャーの「サロンパスカップ」で初優勝。夏には「全英女子オープン」で日本人史上2人目の海外メジャー制覇を達成し一躍「スマイリング・シンデレラ」として国内外でスターとなった時からピンのクラブを使っていました。

ちなみに「サロンパス」優勝時は、まだ契約のなかったウエアもピンのモノを着用しています。
それが今シーズンからはボールとグローブを住友ゴム工業(ダンロップ)と契約し、クラブについてはフリーとなり、現在は14本全てが昨シーズンまでとは入れ替わっています。

現在のバッグの中身は4メーカーが混合

現在の渋野のバッグの中身がどうなっているかというと、アイアン(スリクソン)とウェッジ(クリーブランド)がボールと同じダンロップのクラブとなっており、他はドライバーがタイトリスト。ウッド類はテーラーメイドでパターはオデッセイというラインナップになっています。

タイトリストを使っていたボールも含めて、まさに“総取っ替え”。ここまでガラリと変わると当然のことながらフィーリングも大きく変わってきます。

同じくダンロップのボールを使う松山英樹がニューモデルを試す時は、まずはパターのフィーリングをテスト。これに合格するとウェッジ→アイアンと徐々に長い番手で試していき、ドライバーまでの全てで「合格」となったモデルを採用と、じっくり時間をかけて慎重に選びます。

渋野は昨シーズンは11月までLPGAツアーの試合に出場。12月初旬にはピンのイベントにも参加していたので、2月頭の今シーズン開幕までにクラブとボールをテストする時間は限られていたと思われます。

実際に初戦の「ファウンダーズ・カップ」2日目で67のスコアが出た時は「オフを含めて、今年初めてのアンダー」と話していました。

試合も他の3日間は75、73、74と振るわず、順位も予選を通過した選手では最下位の67位でした。

ミスが出た時に原因がわからない

ここまでギアが変わるとミスや予期せぬ結果が出た時に、その原因がクラブやボールが変わったことによるものなのか。自分のスイングにあるのか、わからなくなってしまいます。
「HSBC」は初日からピンが比較的厳しい位置に切られ、風と蒸し暑さが加わる難しいコンディションでした。

66人の出場選手は主催者推薦の5人の他は「昨シーズンの優勝者」「世界ランキングもしくはポイントランキング上位者」に限られるエリート大会にもかかわらず、この日は4人が80台を打つという苦戦を強いられました。

それでも渋野が「ミスが少なく、最後まで集中力を切らさずプレーすることができた」のはシーズン3戦目でようやくギアがなじんできたことにもよるのでしょう。

先週の岩井明愛に続く優勝争いを

予選落ちのない大会でギアへの信頼感が増したとなれば、持ち前のアグレッシブなゴルフで伸ばすのみ。
先週はツアールーキーの岩井明愛が最後まで優勝争いを演じました。
これに続いて今週は渋野が活躍するシーンが見たいですね。

(文/森伊知郎)