「サロンパスカップ」はスコッティ・キャメロンのサークルT「スーパーラットⅡ」で優勝
申は2025年の国内メジャーの「サロンパスカップ」で、大会最年長での優勝をして、生涯獲得賞金がトップになるというダブルの快挙を達成しました。
その優勝クラブを見せてもらったのはクラブハウスでした。
すでに次の試合への移動の準備に取りかかろうとしていたタイミングということでキャディバッグの横にはキャリーケースが。
「コースコンディションや天候によってパターを替える」申がこの週持ち込んでいたのは実に7本!
この試合で使ったのはエースのスコッティ・キャメロン、サークルT「スーパーラットⅡ」でした。さらに使われなかった6本に加えて、もう1本の“パター”に目が奪われました。
ヘッドはブレード(ピン)型ですが、特に何も刻印されていません。
さらに通常の半分の太さもないシャフトは“極軟”とでも呼んだ方が良さそうなフニャフニャなものです。
“フニャフニャ”パターの正体は?
この“フニャフニャ”パターは「テンポマスター」と呼ばれるもので、さすがに通常のラウンドで使われるためではなく、スムーズなストロークを身に付けるための練習器具です。
これを使ってのストローク中にリズムが悪くなったり、切り返しのテンポが早くなるとインパクトではフェースがあらぬ方向を向いてしまいます。
「やさしいパターを使うと鈍感になってしまう。『難しいクラブ(パター)』の方が自分の感覚を使えるから、あえて難しいのを探すようにしています」と説明するほど、シビアなレベルでパッティングを追求するのが申のスタイルです。
2025年シーズンはパーオン率(74.283%)が日本女子ツアーで2位。
パーオンしたホールのパット数も1.7866で9位でした。
「テンポマスター」はスタート前の練習でルーティン的に使ってストロークのリズムなどを確認する、というのではなく、不調に陥るなど、ここぞ、という時に使うのだそうです。
それでも光が反射するほどツルツルになっているグリップからは、相当な年数に渡って「最後の砦」とでもいうような存在になって申を支え続けていることがうかがえます。
スタッツには意外な“弱点”が
年間のダブルボギーはわずか6回でツアー最少でした。トータルドライビングとパーオン率の順位を合算したボールストライキングも1位とショットメーカーぶりが際立ちます。
それが1ラウンド当たりのパット数は「30」でランキング57位と、意外な“弱点”に。
昨シーズンは予選落ちが4試合。いずれも大会での平均パット数が30超となっており、こうしたことがラウンド当たりの平均を上げています。
こんな時が「テンポマスター」の出番。優勝した「サロンパスカップ」は、2戦連続で予選落ちし、1試合挟んだ後というタイミングでした。
2008年と2012年の「全英女子オープン」でメジャー制覇。
2009年にはLPGAツアーで賞金女王になった申の強さを支えている様々なモノのひとつが“フニャフニャ”のパターだったのです。
(取材・文/森伊知郎)







