タイガー・ウッズのドライバースイングを分析【連続写真つき】
2019年10月の「ZOZOチャンピオンシップ」ではPGAツアー最多タイの82勝目を飾ったタイガー・ウッズ。44歳になっても世界トップクラスの選手として戦えるタイガー・ウッズのスイングからアマチュアがマネできるポイントは?今回は、タイガー・ウッズのドライバースイングを連続写真とともに分析する。
◉解説・レッスン
石井 忍
1974年生まれ。千葉県出身。1998年にツアープロに転向し、レギュラーツアーに参戦。近年はパーソナルレッスンを行う「エースゴルフクラブ」を主宰し、千葉、神保町、赤坂などに展開。
タイガー・ウッズが40歳を超えてもPGAツアーで勝てる秘密は?
左肩を上げる動きで美しいスイング軌道に
一度、上半身を沈めて、再び上げている!
ダウンスイングでは一度、体全体を沈みこませて、インパクトからフォローにかけては左肩を上げる動きによって、ヘッド軌道がプレーン上を動きやすくなる。インパクトで左肩が低いままだと、窮屈な姿勢になって、手首でヘッドを返しやすくなる。
マス目連続写真で見るタイガー・ウッズのドライバースイング分析
左腕は伸ばしたまま!
❶ バックスイングでは昔から左腕を一切曲げないで上半身を捻転させているので、早い段階でプレーン上にシャフトを乗せられる。
切り返しで最も低くなる
❷ トップから切り返しの瞬間に頭の位置は最も低くなり、沈み込んだ姿勢になる。シャフトに理想的な傾斜をつけることができる。
左肩を高くしても頭はキープ!
❸ 左肩が上がっても頭の位置は変わっていないので、上半身が背中を軸にしてスムーズに回転できる。頭の位置が変わると軸がブレる。
タイガー・ウッズのスイングのポイント
切り返しの早いタイミングでグリップエンドがボールを向くことで、シャフトがプレーンに乗せやすくなる。タイガーはヘッドがまだ頭の上にあるタイミングでグリップエンドがボールを向くのでシャフトが寝たり、立ち過ぎたりしない。
タイガー・ウッズのドライバーグリップのヒミツ
右手を絞って手首を返さないように!
タイガーのグリップは、左手を少しストロング気味(フック)にして右手の親指と人差し指の間をちょっと絞るようにしているのが特徴。
少し右手の人差し指は、引っ掛けている感覚に近い。そうすると、右手だけでヘッドを返しにくくなるので、インパクト前後でも手打ちになりにくい。以前はこのくらいだとフックグリップだが、今はスクエアに分類される。
インパクトではハンドアップでOK!
PGAツアーのトップ選手と比べても、タイガーのスイングは本当に美しい軌道です。後方からのシャフト軌道を見ても、ダウンスイングでシャフトが寝たり、立ち過ぎたりすることなく、インパクトからフォローにかけてシャフトがプレーン上を動いています。
この軌道で打てる理由は上半身の動きにあります。トップからインパクトに向けて上半身が沈み込むようにボールに向かっていきますが、アマチュアには両肩が低い位置になったままインパクトからフォローに向かうタイプが多いです。しかし、タイガーはインパクト直前で左肩が上がりはじめていて、体の左サイドにはボールと逆方向へのパワー(求心力)をかけている。そうすることでボールに向かう腕とは『引っ張り合う関係』になって、ヘッドを加速させたままフォローでも美しいシャフト軌道になっているのです。
この左肩を上げる動きをすると、インパクトは少しハンドアップした姿勢になりますが、それでOK!
今、PGAツアーで活躍する多くの選手はインパクトでアドレスよりハンドアップしていますし、それが窮屈なインパクトにならないポイントでもあります。
タイガー・ウッズのドライバースイングのマネどころ
しゃがむイメージでOK!左手は体より左側に引く
左肩を上げる動きは、グリップを意識するとマネしやすいです。ダウンスイングではグリップエンドがボールを向かうように上半身を沈めて行きます。さらにインパクト直前にはグリップを体の左側に引っ張るようにすると、左肩が回転しながら上に上がって行きます。この動きができれば、無理に手首でヘッドを返そうとしなくなるので、ヒッカケのミスもなくなります。
手首は目標方向に出すのではなく、体の左サイドに引っ張ることでヘッドが加速する。
協力:エースゴルフクラブ赤坂
GOLF TODAY本誌 No.572 19〜21ページより