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ゴルフスイング|テークバックでのフェースの向きを修正しスライスを克服!

2021/01/04 ゴルフトゥデイ 編集部

アマチュアゴルファーの中にはテークバックをあまり意識しないという人も少なくない。しかし、効率的なインパクトを目指すためには、実はテークバックがカギとなるのだ。

そこで、テークバックの基本を解説するとともに、ボールをスクエアにとらえ、スライスも克服できるようになる「テークバック」の秘密をプロギア サイエンス・フィット・インストラクターの宮川まもるプロに解説してもらった。

GOLF TODAY本誌 No.556 32〜37ページより

【解説:宮川まもる】
プロギア サイエンス・フィット・インストラクター。 日本プロゴルフ協会会員ティーチングプロ。過去3000人のアマチュアデータをもとに、悩めるゴルファーへ的確な診断とレッスンをサイエンス・フィットで導く。慶應義塾大学ゴルフ部のコーチとしても活躍中。

[目次]

テークバックでのフェースの開きがアウトサイド・イン軌道の原因だ!

テークバックでフェースが開くと、ほとんどのアマチュアはインパクトで真っすぐ戻せない

  • 【テークバックの始動(写真左)】
    テークバックの早い段階からフェースが開いていく。ここを修正しないと、トップ以降でのスイング調整は困難になる。
  • 【トップ(写真中央)】
    一度フェースが開くと修正できず、そのままトップでも開いた状態。パワーのあるプロならここから戻せるが、アマチュアには難しい。
  • 【ダウンスイング(写真中央)】
    開いたフェースはダウンスイングで戻せず、無理やり戻そうとしてアウトサイド・インのスイングになってしまう。これがスライスなどの元凶だ。

※アマチュアの約7割がバックスイングが原因で、アウトサイド・イン(アベレージゾーン)スイングになっている。

テークバックのフェースの開きでダウンスイングが決まる

テークバックでフェースが開いた分をダウンスイングで戻せれば、スクエアに当たるはずです。しかし実際には開いたフェースは、開いたままインパクトを迎えてしまいます。

その開いたフェースを戻そうという意識が、ヘッドをアウトサイド・イン軌道にしてしまうのです。アウトサイド・イン軌道のインパクトの瞬間は、平均4度以上も開いており、大きく開いたフェースはダウンスイングでは戻せません。戻すためには、最初から開かなくすることが必要になってくるのです。

《アベレージスイングかどうかこれでチェック!》

後方から見たときにセルフで2本の線を書いてみよう

グリップの真後ろにカメラをセットして撮影。アドレス時のシャフトの延長線をまず1本。そして、クラブネックと、自分の首元を結んだ線を2本目として引きます。その2本目の線よりも外側にダウンスイングがある場合をアベレージスイングと呼びます。

《フェースの向きは背中と平行がベスト》

アマチュアの多くはハーフバックでフェースがすでに開いている

フェースが開かずにキープされたハーフバックでは、背中とフェースの向きがほぼ並行になり、大きく開閉していることがありません。これは男子プロ女子プロに共通する形で、アウトサイド・イン軌道のダウンスイングを脱する上で大事なことです。

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テークバックの基本|スイング始動・振り上げ方・コックのタイミング

解説ポイント

  • スイングの「始動」となるテークバックはとても重要
  • 「クラブの振り上げ方」と「コックのタイミング」

スイングの「始動」となるテークバックはとても重要

テークバックは、クラブを後方に引く動きのことです。スイングの「始動」とも言える動きであり、どのようにテークバックするかでスイングが大きく変わります

この後の記事で詳しく説明していますが、テークバック時にフェースを開いてしまうと、トップまでフェースは開いたままとなり、ダウンスイングでフェースを閉じていくのはとても難しくなります。

フェースが開いたままインパクトしてしまえば、打球にスライス回転がかかり、ボールを真っすぐ飛ばすことはできません。

こうしたことから、スイングの「始動」とも言えるテークバックはスイングの中においてとても重要なパートなのです。

「クラブの振り上げ方」と「コックのタイミング」

初心者ゴルファーの多くは「クラブの振り上げ方がわからない」や「どのタイミングでコックを入れればいいの?」という疑問・悩みにぶつかります。そこで、ここでは「コックのタイミング」について、一般的な考えをご紹介します。「クラブの振り上げ方(テークバック)」は、この後に続く宮川まもるプロのレッスンを参考にしてください。

さて、コックとは、手首を親指方向に折る動きのことで、「コッキング」とも呼ばれます。ちなみに、右手首を甲側に折る動きは「ヒンジコック」または「ヒンジング」と呼ばれます。また、最近では2020年のマスターズを制したダスティン・ジョンソンや渋野日向子がトップまたは切り返しで左手首を掌側に折っている点が注目され、これは「バウドリスト(Bowed Wrist)」と呼ばれています。

そして、「コック」を使うには手首を柔らかくしておかなければいけません。力が入っていると、「コック」(手首)は使いにくくなります。「コック」を使うメリットは、手首を支点に「テコの原理」が使えるようになるからです。うまく「コック」を使えれば、ヘッドスピードが向上したり、ボールをつかまえて飛ばせるようになります。

さて、話を「コックのタイミング」に戻します。

まず、テークバックの段階でコックを入れることを「アーリーコック」と呼びます。テークバックの範囲をグリップが、腰の高さに上がったところまでとしたら、それ以降のトップの辺りでコックを入れることを「レイトコック」と呼びます。

また、個性的なスイングと独自の考えを持つことで有名なブライソン・デシャンボー選手のようにコック(コッキング)を入れない、またはほとんどしないことを「ノーコック」と呼びます。

コック=コッキングの種類

  • アーリーコック:テークバックの時点でコックを入れる
  • レイトコック:トップの辺りでコックを入れる
  • ノーコック:コックを入れない

さて、ではどのタイミングで「コックを入れる」のがいいか?これは個々のスイングによって正解は様々ある、ということになります。

ですが、一般的には初心者やアベレージゴルファーには「アーリーコックのほうがいい」とされています。その理由は、タイミングの取りやすさにあります。ただし、意識的に「アーリーコック」を使おうとすると、逆に力んでしまったり、手打ちになりやすくなるので注意が必要です

「レイトコック」のメリットは、スイングアークが大きくなりやすいということです。逆にデメリットは、手首を固定してしまいがちなので十分なコックが使えなくなることがある点です。

また、トップの辺りで「コック」を入れようとすると、ダウンスイングでのクラブの動きが不安定になりがちです。こうしたことから、初心者やアベレージゴルファーには向いてないというのが一般的な考えです。

以上のことを踏まえて、初心者ゴルファーに推奨される「コックのタイミング」と「クラブの振り上げ方(テークバック)」の大事なPOINTをまとめました。

コックのタイミング

テークバックの段階で「コック」を入れる「アーリーコック」がおすすめ。

  • ポイント1. 手首からは力を抜いておく。
  • ポイント2. 上半身の捻転と肩の回転によってテークバックする勢いに任せて「コック」を入れる。
  • ポイント3. 極端に「コック」を入れる意識は持たないこと。

クラブの振り上げ方(テークバック)

この後に続くレッスンで詳しく解説していますが、大事なポイントを挙げておきます。

  • ポイント1. テークバックの時点でフェースを開いてはいけない。
  • ポイント2. ヘッドが腰の高さに上がった時点で、フェース向きと上半身の前傾角は並行。
  • ポイント3. 体とグリップの距離が遠くならないように注意。

ハーフバックでのフェースの開き具合は女子プロの数値に近づけるべき!

▼ハーフバックでのフェースの開き平均

女子プロの平均はアマチュアの約半分しかハーフバックでフェースが開いていません。データ化して平均数値を出してしまうと、ここまで大きな差が出てしまいます。

「アマチュア男性のスイングパワーは女子プロとほぼ同等。それなら、上げて下ろすだけのシンプルなスイングをしている女子プロの閉じたテークバックを目指すのが正解!」(宮川)

インパクトはフェースを閉じて“Aゾーン”を目指そう!

Aゾーンとはインサイド・アウト&アッパー軌道の最適なインパクトゾーン!

▼女子プロは全員Aゾーン!

フェースが開くアマチュアはB・Cゾーンでアウトサイド・インのアッパーブロー!
Aゾーンの選手は皆上級者ばかりで、ハーフバックでのフェースの開きがB/Cゾーンのアマチュアに比べると少ないことがわかります。B/Cゾーンのスイングの方は、効率的なインパクトができていません。

「Aゾーンに近づくほど、飛距離や、安定感が増し、上達のスピードが効率的に伸びます。」(宮川)

ハーフバックでフェースを絶対開かせないスイング練習方法

テークバックでアマチュアはフェースを開きがちなことがデータからわかったが、その修正方法が聞きたい!という方におすすめのスイング練習方法を紹介!

練習方法①:おヘソグリップでフェースを開かせない感覚を覚えよう!

くっつけたまま上げると、上半身に対してヘッドの位置が変わらないので、上半身とフェースは平行の関係を保ったまま上げることができます。

【GOOD】
8時までは、離さずにゆっくり上げてみましょう。(右図)

【NG】
グリップエンドが離れると、クラブだけが動いてしまい、平行の関係ではなくなってしまう。(左図)

POINT 1
しっかりと8時までは上半身、腕、クラブを一緒に上げる。(写真左)

POINT 2
ここの位置にきて初めておヘソとクラブを離してあげる。(写真中央)

POINT 3
グリップエンドをおヘソから離して、そのまま肩でトップまで上げる。(写真右)

8時までは、クラブとグリップエンドをピッタリくっつける

上半身、腕、クラブが一体となってテークバックすることができれば、フェースは開きません。

おヘソにグリップエンドをピッタリとくっつけて、まずは背筋を真っすぐ伸ばした状態で体を回してみましょう。おヘソとクラブを一体にしなければ、回すことができません。この感覚が大事なのです。

次はアドレスの態勢を取ってみましょう。すべきことはここでも同じで、おヘソとクラブを一緒に回します。一緒に回すことで、クラブ単体で動くことがなくなり、フェースは背中と並行を保ったまま上げることができます。

おヘソにくっつけておく目安はだいたい時計でいうと8時まで。それ以降はグリップエンドを離しながらトップまで上げてみましょう。

練習方法②:シャフト平行ドリルで腕を回転させない!

【GOOD】
8時までは、2本のクラブの位置関係を変えることなく上げる。

【NG】
クラブが交差してしまって、腕を回転させながら動かしている。

《そのままトップまであげることができればなお良し》

力のある方は、そのままトップまで、2本のクラブの距離感を保ったまま上げてみましょう。

おヘソを回すことが最大のコツ!

アドレスで2本のクラブを右手、左手1本ずつ持ち、これも8時まで並行に上げます。フェースを開いてしまう要因として、腕の回転が入ってきてしまうので、この腕の回転を抑えるためのドリルです。

おヘソから上の上半身は、形を変えないまま、腕とおヘソで回します。腕が回転してしまって、クラブが途中で交差してしまったり、2本のクラブの距離感の幅が乱れてしまうということは、腕の回転や、上半身を使って上げてしまっているということ。

腕を回転してしまうということは、フェースを開きながら上げてしまっていることや、下半身を使わずに手だけで上げてしまっているということになります。

2本のクラブは、アイアンの長さを一番オススメしますが、 少し重いと感じる方は、練習器具のスティックや、もっと軽いクラブで挑戦してみましょう。

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