ゴルフ新ルールへ2019年改正|OB・ドロップ・パットなど変更点まとめ
2016年にゴルフがオリンピック競技に復帰後、以前から問題視されていたルールの複雑さと、プレー時間の長さに対する改善の気運が高まり、2019年にルールの大改正に踏み切ったR&AとUSGA。
元々、ゴルフ規則はプレーヤー全員に公平なプレー条件を提供するためのもの。たとえば自打球のように、プレーヤーに利益が生じないミスに対する罰打など、本来は必要ないはず。
このように、不要な罰打や救済処置を簡便化すれば、プレーもスピードアップする。 旧ルールから新ルールへどのように変わったのか確認してみよう。
GOLF TODAY本誌 No.559 168〜173ページより
[目次]
2019年ゴルフ新ルール|改正後の変更内容について
新ルールへ改正でプレーがスムーズに!
- ドロップの高さが低くなり、再ドロップの可能性が激減。
- 旗竿を立てたままでパット、カップインが認められる。
- バンカー、ペナルティーエリアで小石や枯れ枝を取り除いていい。
- 同伴競技者の立ち合い不要でボールの確認、交換ができる。
- “遠球先打”にこだわらず、準備できたプレーヤーから打てる。
ドロの付いたボールの確認の時も同伴競技者を呼ばなくてよくなった!
新ルールへ改正で初心者にもやさしく!
- バンカー内のアンプレヤブルで、2罰打を払えばバンカー外にドロップできる。
- チョロしてもティーイングエリア内なら無罰で再ティアップできる。
- コンペなどで、各ホールの最大スコア(上限)を決めることができる。
かすって落ちたボールはティーイングエリア内ならもう一度ティアップして打つことができる
新ルールへ改正で不要な罰打が減った!
- 打球が自分やキャディ、カートに当たっても無罰でプレー続行に。
- ボール探しでうっかり自分のボールを蹴飛ばしても、無罰でリプレース。
- グリーン上でうっかりボールを動かしても無罰でリプレース。
- ペナルティーエリア(赤杭、黄杭)内でソールしても無罰に。
- 「2度打ち」でも無罰、1ストロークに。
林の中で打ったボールが木にはね返り自分に当たっても無罰になった
2019年のゴルフルール改正でコースの呼び方が変わった!
ティーイングエリア
旧ティーインググラウンド。ティーマーカーを結んだラインの2クラブレングス後方までのエリアのみ示し、それ以外はジェネラルエリアとなる。
ジェネラルエリア
旧スルーザグリーン。フェアウェイ、ラフ、カラーなど、他のエリア以外のすべて。打球が埋ったら、どこでも無罰で救済を受けられる。
ペナルティーエリア
旧ウォーターハザードと、新たにブッシュなどプレーが困難な場所を赤杭、黄杭で囲んだエリア。救済処置は、黄杭は以前と同じ。赤杭はラテラル処置と呼ばれ、対岸エリアの処置がなくなった。
バンカー(呼称変更なし)
バンカーの呼称は変わらないが、ペナルティーエリアとの区別が明確に。ソールできないのは以前のままだが、ルースインペディメントは取り除けるようになった。
パッティンググリーン(呼称変更なし)
パッティンググリーンも呼称は変わらず。救済ではドロップの処置はなく、プレースかリプレースで処置する。
ゴルフ新ルールへと改正後は膝の高さからドロップがOKに!
救済処置といえばドロップ。その作法が大きく変わる。肩の高さからではなく、膝の高さから落とすようになるのだ。
落とす位置が低くなったことにより、ボールが跳ねたり転がったりして救済エリアから外れる可能性は激減。そのため、以前の「2クラブレングス以上転がったら再ドロップ」という条件はなくなり、救済エリアから外れた場合のみ再ドロップ、となる。
つい旧ルールのやり方でドロップしてしまっても、無罰でやり直せる。だが、もしそのままストロークしてしまうと1罰打となる。
《ヒザの高さからドロップ》
《跳ねて足に当たってもOK》
ドロップしたボールが跳ねて、偶然足などに当たっても、救済エリアから外れない限り、再ドロップは不要。そのままプレー続行でいい。
《救済エリアはほぼ変更なし》
救済エリアは基本的に以前のまま。ただし、ホールと元のボールの位置の後方線上にドロップする場合も線上に基点を設け、そこからホールに近づかない1クラブレングスの範囲が救済エリアとなった。つまり、線の左右に余裕ができたわけだ。
《救済エリアの計測はドライバーで》
救済エリアの計測は、バッグ内にあるパター以外で最も長いクラブ、通常はドライバーを使用することになった。パターだけが長さの上限規制がないため、除外されている。
ゴルフ新ルールへと改正後はボールを探せる時間が5分から3分に!
ボール探しでは、自分でうっかりボールを動かすと1罰打になることから、慎重になりすぎることもあったはず。
新ルールでは、それがすべて無罰でリプレースできるようになる。探せる時間は5分間から3分間に短縮されるが、ロストボールの判断もスムーズになるだろう。
また、バンカーやペナルティーエリアでもルースインペディメント、たとえば小石や枯れ枝を無罰で取り除けるようになる。クラブの損傷やケガの危険性も減るし、救済を受けずにあるがままでプレーを続行できる可能性も広がるだろう。
《ルースインペディメントを取り除ける》
以前は禁止だった、バンカーとペナルティーエリア内でのルースインペディメント(小石、枯れ枝などの自然物)の除去が可能に。また、ペナルティエリア内でソールしても無罰となる。救済を受けずにプレーできる機会が増えそうだ。
《ボール探しは3分間に》
ボールを探せる時間は5分間から3分間に短縮。暫定球などを活用してスムーズな進行を心掛けよう。
《うっかり蹴飛ばしても無罰に》
ボール探し中に自分のボールを偶然動かしても無罰になった。ボールを元の位置に戻すだけでいい。
ゴルフ新ルールへと改正後は旗竿(ピン)を立てたままパットできる!
今回のゴルフルール改正で一番話題となったのは、旗竿(ピン)を立てたままパットできるようになったことだろう。セルフプレーを楽しむプレーヤーが増えつつある昨今、スムーズな進行を考えると、合理的になったといえる。
注意してほしいのは、ストロークの前に旗竿の扱いを同伴競技者に明確にアピールすることだ。立てたままか抜いておくか、または同伴競技者やキャディに付き添ってもらうか。いずれにせよ、ストローク後に変更することはできない。
タップインの短い距離で、ストローク直後、ホールイン前に自分で引き抜くというのもNGだ。
【参考】2019年ゴルフ新ルール「旗竿(ピン)を立てたまま」パットしてみた!|野村タケオのゴルフ実験室
《旗竿(ピン)をどうするか要アピール》
通常、同伴プレーヤーやキャディは親切に旗竿に付き添おうとするはず。意思表示を明確にしよう。
《抜かないなら触らない》
「お先に」でタップインする際、間口を広げようと旗竿を手で押さえたりすると2罰打。先に抜いて、片手に持ったまま打つのは問題ない。
《グリーンの傷、直せないのは?》
改正された新ルールではスパイクや旗竿での引っかき傷など、ほとんど修復OKになった。ただし、エアレーションの穴だけは直せないことに。
2019年に改正されたゴルフ新ルールでは、こんなことも変更された!
新ルールではバンカーから2罰打で外に出せるように
以前は、バンカー内のボールを外に出せる救済は、アンプレヤブルの1罰打で前打地点に戻る場合と、水たまりか動かせない障害物でバンカー内では救済を受けられない場合の特例しかなかった。
だが、実際にはバンカーの土手から戻ったボールが手前のアゴ下に転がり込んだ場合など、対処しようがないケースもある。
そこで、新ルールでは2罰打で、ホールとボールを結んだ後方線上のバンカー外にドロップできるようになった。
新ルールでは「2度打ち」も自打球もおとがめなし
1ストロークで2回以上クラブが当たる「2度打ち」は、以前 は1罰打加算だったが、新ルールでは無罰になった。また、林の中で打球が木に跳ね返って自分に当たるなどの自打球も、1罰打から無罰になった。
いずれも”ボールの動きに影響を与えた“とはいえ、プレーヤー自身にプレー上の利益となることはなく、むしろデメリットになる事象という判断から、罰打がなくなったのだろう。“泣きっ面にハチ”となっていたルール上の問題点が解消された。
新ルールでは距離計測器は使ってもいいが“競技モード”で
以前はローカルルールで使用の可否を決めていた距離計測器が、全面的に使用可能になった。逆に、ローカルルールで使用制限をかけるようになる。
ただし、計測できるのは2点間の直線距離のみ。高低差や風力などはNGのままだ。
各メーカーもそれに対応しつつあり、高機能を生かす“通常モード”と、機能を制限する“競技モード”に切り替えられ、LED発光などで同伴プレーヤーからも見分けられるようになっているものも登場している。
新ルールでは“前進4打”に代わる新たなローカルも提案
海外にはほとんどなく、日本でよくみられるローカルルールの1つに“前進4打”がある。
OBやロストボールの際、ティーイングエリアまで戻ることなく、セカンド地点からプレーする方法だが、本来のルールでは“ストロークと距離の罰” の観点から邪道とされていたものだ。
ところが新ルールでは、これを容認。“プレーのペース、その他の深刻な低いプレーレベルだけで使用することを意図して”という条件とともに、具体的な処置方法を提案している。