タメても振り遅れないアイアンのダウンスイングとは?(2/2)|教えて!ホーガン先生
アイアンが際立つ!強いインパクトの作り方【第5回】Part2
強いインパクトにはパワーの“タメ”は不可欠。
だが、せっかくの“タメ”もタイミングよく“リリース(解放)”できなければ意味がない。
強烈な“タメ”を完璧に“リリース”できたホーガンの振り下ろし方を確認してみよう。
これがホーガン流|押せるヘッド軌道は「右回り」のダウンで作る
〇:切り返しではヘッドを後方に落とし、右ヒジが右腰際に引きつけられてからフェースを立てていくようにすると“押せる”軌道になる。
×:切り返しからフェースを立てる意識だと、ヘッドがスイングプレーンの上側に外れてしまい、ヘッドが上から入るカット軌道になる。
フェースを「寝かせてから立てる」が正解
「切り返しから球をつかまえよう、フェースを立てようと手元を意識すると、ダウンでシャフトが立って、ヘッドがアウトサイドから下りるカット軌道になりがちです。
ここは逆の発想で、フェースを寝かせるつもりでヘッドを落とすと、シャフトが寝て右ヒジがスッと右腰際に下ります。そこから左手をたぐり込み、右手のヒラを立てる動作でフェースを立てて行けば、ヘッドはソールから落ちるタテ回転の動きとなり〝押せる〟インパクトになります」(森)
この動作をマスターするのに、「右回りドリル」が有効だ。
「右ヒジを支点に、クラブをグルグルと時計回りさせます。フェースを寝かせる、立たせるイメージがつかめます」(森)
フェースを寝かせてから立てる「右回りドリル」
体のターンは抑えて、右ヒジを支点にクラブをグルグル振り回してみる。フェースを寝かせるつもりでシャフトを後方に倒してダウン、フェースを立ててインパクトするつもりでフォローを取ると、スムーズに回るようになる。胸の向きに対して、インサイドアウトの軌道が描けるのが正解。
あっ!これもホーガン流|クラブの走りをタメの動きで生み出すミケルソン
素振り用の練習器具で、若手に負けない飛距離を維持するフィル・ミケルソン。「シャフトが肩に当たりそうなタメは、手首のやわらかさだけでなく、左ヒジ(左打ち)の引きつけができているからです。右手のたぐり動作と左手の押し込みでリリースも完璧。年齢に関係なく、飛ばし続けるでしょう」(森)
ベン・ホーガン(Ben Hogan、1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。
メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
森 守洋/ホーガンアナリスト
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
取材協力/東京ゴルフスタジオ
写真/Getty Images
GOLF TODAY本誌 No.557 81〜85ページより