ゴルフスイングのアドレスで両ヒザを「内向き」にするメリットは?(2/2)|教えて!ホーガン先生
アイアンが際立つ!強いインパクトの作り方【第9回】Part2
前回までクラブの動き、腕の振り方に注目してきた。今回からは、それを支える身体の動きを見ていこう。
ホーガンはスタンスの両足はハの字型ではなく「左ツマ先を開き、右足は直角に」と唱えたが、実は両ヒザの向きもセットで考える必要があるのだ。
これがホーガン流|片足立ちで振るとわかる「ヒザ」と「腰」の曲げ具合
グラつかないのが正しい姿勢
右足だけで立ち、素振りしてみる。右ヒザ、右腰の曲げる角度をなるべく少なくするほうが、バランスをキープできることがわかる。
左足メインで立ち、右足はツマ先を軽くつけてもいい。左ヒザを曲げすぎず、軽く内側に絞るとバランスが崩れず、スムーズに振れる。
ヒザ、腰を曲げて前傾を深めるとグラつきやすい
腰を股関節から曲げて、30~40度ほど前傾するのが最近のレッスンの主流だが、なぜホーガンは浅い前傾を勧めるのか。
「ホーガンの場合、両ワキを締めて、しなやかに腕を使ってクラブを走らせるのに、体の動きは〝従〟であってほしい。スムーズなターンを促しつつ、バランスが崩れないようにするには、前傾せずに振るのが一番。でも、それでは地面にあるボールを打てないから、ヒザに適度な〝弾力〟を持たせるぶん腰を約5センチだけ下げる。
それでも下がり切らないヘッドを地面に届かせるために、必要なぶんだけ前傾する、というイメージなら、ほぼ直立姿勢と同じバランス感覚をキープして振れる、というわけです。この感覚をつかむのには〝片足立ちドリル〟がオススメです」(森)
アドレスが整わないとホーガン流スイングはできない?
「ホーガンのフットワークや腕の振り方をマスターするには、両ヒザを内向きに絞り、前傾を浅めにするアドレスは必須です。ヒザを絞らなかったり、前傾を深くしているプロもいますが、筋力や運動神経の良さに頼らなくて済むのがホーガン流の真骨頂です」(森)
「両ヒザを内向きに絞る、といっても両ヒザが正面を向く程度でOK」(森)
「両ヒザがつま先方向に向くのは自然だが、スイングがシンプルにならない」(森)
「腰やヒザの角度が深すぎると、腰のターンを意識しても他の部分の動作が複雑になり、ミスにつながりやすい」(森)
あっ!これもホーガン流|ヒザの動きが促す“片手打ちドリル”でスイングを整える松山英樹
世界に誇る日本のエース、松山英樹はよく練習場で“片手打ちドリル”を行っている。ウェッジを持ち、左右それぞれでアプローチショットを繰り返す。
「片手で振ると“手打ち”の動きがなくなるんです。体の動きと腕の振りがシンクロしないと、まともに当たりません。振り幅に対する足、ヒザの動きを見ると、よくわかると思います」(森)
ベン・ホーガン(Ben Hogan、1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。
メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
森 守洋/ホーガンアナリスト
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
取材協力/東京ゴルフスタジオ
写真/Getty Images
GOLF TODAY本誌 No.561 81〜85ページより