アイアンの強いインパクト作りにはダウンで「右足の蹴り」は必要?(2/2)|教えて!ホーガン先生
アイアンが際立つ!強いインパクトの作り方【第10回】Part2
強いインパクト作りにはフットワークも重要。だが、余計に動かしすぎても、抑えすぎても、打点の乱れやエネルギーロスにつながってしまう。
必要にして十分なフットワークとは何か、ホーガン流ボディターンとともに考えてみよう。
これがホーガン流|「腰の切れ」を生むのは「内側で粘る」イメージ
「ヘッドを振る」が大前提
たぐり込み動作
ヘッドを振る意識が腕の振りを促し、下半身のリード動作を追い越していく
腰のターン
左ヒザに内向きのテンションがあるため、左腰はゆるんで開かず、切れ上がる
ダウンでは右足は蹴らずに〝内側で踏み込む〞
さて、ホーガンのドライバーショットを見ると、右足を強く蹴っているように見える。
著書『パワー・ゴルフ』では、飛距離を出すコツとして「アドレスで、右足の内側のスパイクを地面に埋め込む動作をする。こうすることで、結果的にインパクト近辺で右足が地面を強く押すことになり、より大きな飛距離を出すことができる」と述べている。
しかし、これは〝蹴る動作〟ではない、と森プロ。
「右足の〝蹴る動作〟を意識すると、右足カカトが上がり、右ヒザが前に出やすくなります。すると、左ヒザも割れ、効率的なターン動作ができなくなります。
正しい動きは、左腰のターンに合わせて右脚を内側に倒していく、つまり〝内側に踏み込む〟感覚を持つようにすべきです」(森)
腕の振りを支えるのも フットワークの役割
「右足内側の踏み込み感覚は、左腰のターンを意識するだけでフットワークの余計な動きを排除します。大事なのは、ダウン始動と同時に下りてきた腕とクラブを一気に振る意識。この上体の動作をバランスよく支えるのも、フットワークの役割です」(森)
「左ヒザリード」「腰のスライド」はNG
「意識的に左ヒザでリードしたり(左)、腰をスライド(右)させたりして、体の開きを抑えようとすると、スイング動作を崩してしまう。腰は多少スライドするが、それは右足の踏み込みだけで十分」(森)
あっ!これもホーガン流|左ヒザを残して腰をターンするから左足カカトが浮く
パトリック・リード
マスターズのディフェンディングチャンピオンのパトリック・リードは、インパクトで左足カカトが浮き気味。「切り返し直後を見ると、左腰はターンしているのに左ヒザは残すよう下に向けたまま。結果、体が開かず、コントロールの効いたショットが打てています。フィニッシュでは、左足カカトが内側に入って体の負担をなくしています」(森)
ベン・ホーガン(Ben Hogan、1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。
メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
森 守洋/ホーガンアナリスト
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
取材協力/東京ゴルフスタジオ
写真/Getty Images
GOLF TODAY本誌 No.562 81〜85ページより