ゴルフQ&A|ウェッジのアプローチでトップしてしまう!練習方法は?【小森プロ】
アマチュアゴルファーのお悩みにレッスンプロがお答えする「ゴルフQ&A」のコーナー。今回は、ウェッジでアプローチする際のトップを解消する練習方法について、小森剛プロにアドバイスしてもらいました。ウェッジのトップでお悩みのゴルファーは、是非ご参考ください。
ウェッジでアプローチする際にトップしてしまうのを防ぐ練習方法はありますか?
相談者 男性 / 49歳 / ゴルフ歴6年 / スコア91
使用ウェッジ クリーブランド RTX-3 ウェッジブレードタイプ ツアーサテン [ダイナミックゴールド フレックス:S200 ロフト:58 バンス:9]
このウェッジを選んだ理由
アイアンにスリクソンを使用していて、アイアンからの流れに揃える事を考えクリーブランドのウェッジを何世代も使っています。打感が柔らかく感じられるウェッジで「Vソール」と呼ばれるVの字形のソールがフェアウェイやラフからの抜けが良いので気に入っています。
グリーンを狙うウェッジのアプローチでトップしてしまいます。
グリーン脇からのアプローチで転がして寄せようと思った時にトップしてしまい、ボールがグリーンオーバーしてしまう事が多いです。
セカンドショットでグリーンを外し、ライが薄い芝やフェアウェイから転がして寄せるだけの簡単なアプローチの際に「ダフってしまうかも」「ザックリとしてしまうのでは」と不安になります。
何度も素振りをしながら色々と考えるうちに訳がわからなくなってしまい、「しっかりピンに寄せないと」とプレッシャーを感じながらアプローチショットをすると、トップしてグリーンオーバーになり、いつまでもグリーンに乗せられない事があります。
ウェッジのグリップの握り方
ランニングアプローチの時は、グリップを長く持ってしまう癖があるので、意識してグリップの付け根ギリギリを持ち短く握るようにしています。握り方はアイアンなどと同じオーバーラッピングで握っています。
ウェッジのアドレスの構え方
スタンスを特に意識しています。出来るだけ両足を揃えて立ちたいのですが、ライや状況によって両足を揃えると身体のバランスが不安定になるような場合は、無理に足を揃えようとせず、少し開いて安定しそうな位置を探して立つようにしています。
ウェッジの打ち方(ストローク)
出来るだけボールを右足寄りにセットするようにしていますが、状況やその時の自分のフィーリングによって、右足の真上に置いたり、右足の親指側に置いたり、小指側に置いたりと変えています。テイクバックでは出来るだけ真っ直ぐ後方に引くようなイメージでスイングしています。
現在のウェッジの練習方法
屋外練習場でアプローチ練習をするボール代がもったいないような気がして、ほとんどアプローチ練習をしていませんでした。しかし、本番でのアプローチで悩んでいたので先輩にアドバイスを頂き、室内練習場の打ち放題であればボール単価が安いのでたくさん練習できるようになりました。60分程度たくさんするようにしています。
また、家の中で練習できるようにアプローチネットとスポンジボールを使って5ヤードくらいのアプローチ練習も行っています。
小森剛プロへの相談
ウェッジでトップしてしまうのを解消するために、室内練習場の打ち放題でアプローチ練習をたくさんするようにしていますが、練習場だとボールの転がりが早すぎて距離感が良く分かりません。他に効果的な練習方法はありますか?
また、ボールの位置やスタンスの開き方など、その時々でバラバラなのですが、やはり統一した方が良いのか悩んでいるのでアドバイスをいただきたいです。よろしくお願いいたします。
今回のお悩みには小森剛プロが即断回答!!
小森剛(こもりつよし)
1964年11月16日生まれ。「健康的に上達する」をモットーに神奈川県内、横浜、湘南地区8拠点で展開するゴルフハウス湘南を運営し、藤沢川名校、立場校、湘南台校で指導にあたる。シンプルで個々の潜在能力を引き出す指導とフィジカル面、メンタル面にフォーカスしたレッスンに定評がある。講演や執筆活動など幅広く活躍。
ゴルフハウス湘南店舗一覧|向ヶ丘校、根岸校、東戸塚校、立場校、湘南台校、鎌倉校、藤沢川名校
小森剛プロのアドバイス「目的を明確にして自然な体の動きでアプローチ練習をしましょう」
屋内の練習ではボールの高さをチェック
アプローチの練習方法についてですが、ご質問の方がおっしゃる通り、屋内練習場ですと屋外練習場と比べて距離がないので、実際に飛んだ距離や落ちてからの転がりが最後まで確認できないと思います。
そういう場合は、ネットに当たった時のボールの高さを確認しましょう。そして打ち出した高さから、ボールが落ちてからどう転がるかというイメージを描きます。高く上げてあまり転がさずボールが止まるイメージ、低く打ち出してたくさん転がるイメージと、立体的なイメージを描いた方がアプローチの距離感が出やすくなります。
同じウェッジで、同じ力の加減で打った時に、同じ高さでボールが打ち出せるように練習しましょう。そこがまちまちだと、低く出たらどうしよう、高く上がりすぎて止まったらどうしようと不安になり、トップなどのミスに繋がります。その不安を解消するためにも高さのチェックは有効です。
その後、屋外練習場で20球でも30球でもいいのでアプローチ練習をして、距離感を掴んでみると良いと思います。「あの辺を狙ってみよう」と距離感を意識しながら練習に取り組みましょう。
屋外練習場でも、人口芝だったり、ボールが回収しやすいように傾斜がついていたりすると、コースとはボールの転がり方が違ってしまいますので、天然芝のアプローチエリアがある練習場を探してみるのもおすすめです。
アイアンやユーティリティでのアプローチ練習も有効
グリーン周りの30ヤード未満の距離で、トップしてしまうかもしれないという不安がある状況であれば、トップしても構わないクラブを選ぶという方法もあります。
ロフトが立っている7〜9番アイアンをパターのように短く持って転がせば、トップしてしまっても大きくオーバーするリスクを下げる事ができます。また、距離のあるランニングアプローチであれば、ユーティリティも有効です。パターより強く打ち出しやすく、最初からゴロを想定して打てばトップする不安が少なくなります。底が平らなので、多少手前に入っても滑ってくれるのでやさしく打てます。
アプローチだからサンドウェッジやアプローチウェッジを使う、という事にこだわらずロフトの立ったクラブやユーティリティでリスクを下げてみましょう。例え砲台グリーンでも、ユーティリティで少し強めに打ち出せば、意外と簡単に転がり上がってくれるものです。練習して距離感を掴んでおけば、アプローチの場面で選択肢が増えて役に立ちます。
スタンスやボール位置は臨機応変に体の動きに合わせて
スタンスやボール位置に関しては、コースでは起伏など状況が違いますので、ご質問の方のように色々と試して練習されるのが良いと思います。統一してしまうと状況によって、決めた通りにスタンスが取れない場合にどうやってアプローチすればいいのか、と不安になってしまいます。アプローチだからと無理やり足幅を狭めて振りにくい状況であれば、それは避けた方がいいでしょう。
練習する時の基準としては「アプローチをする際にどういうスタンスをとるか」ではなく「安定して20ヤード飛ばす時のスイングで、自分がバランス良く立てるスタンス」を覚えておきましょう。その感覚で打てるようにコースの状況によって変化させると良いと思います。
ボール位置はアプローチにしてもドライバーにしても、右利きの人の場合は右から左に向かってボールを打ち、左に向かってパワーを出します。パワーを出しやすいのは左側です。ランニングアプローチでボールを低く出したい場合でも、左側の方が基本的には打ちやすいです。
もちろん、個人差もありますし、距離によっても変わってきますが、ランニングアプローチだからボール位置を無理に右足にする、というのはナンセンスです。
右足にボールを置くという事は、ロフトを立ててフェースを被せたいからです。右足にボールを置くのが不安定な時は、最初からロフトが立っているクラブを使ってボールは左側に置く、という考え方もしてみましょう。
基本的な目的に集中してスイングする
グリーン周りのランニングアプローチで、ボール位置やスタンスなど色々と考えるうちに迷いが出てしまい、結果的にトップしてしまうのは、メンタルの要因が大きいと思われます。
コースでも、練習時でも大切な考え方のキーワードは「基本的な目的に集中しているかどうか」です。
例えば、ボールを投げようとする場合、遠くに投げようと思ったら大きなアクションになるし、近いところに軽く投げようと思ったら小さなアクションになります。「遠くに投げよう」「近くに投げよう」という基本的な目的が明確になっていれば、人間は本能的に目的に応じた体の動きができるのです。
それを邪魔しているのが「こうしなきゃいけない」という先入観です。ご質問の方はアプローチショットをする際に、スタンスをどうしよう、グリップをどうしようと悩まれています。方法に縛り付けられてしまい、本来の目的を見失っている状態です。考え過ぎてしまうから訳がわからなくなってくるのです。
自然体で目的を明確にして、その目的を叶える自然な動作を引き出してみましょう。アプローチショットで距離がある場合は、クラブを長く持って大きく振った方がやりやすいですし、短い距離であれば、短く持って小さく振った方が自然な訳です。
基本的な目的に集中するといっても、それは「バランスを崩さない範囲で」というのが前提です。距離を出したいからといってバランスを崩してしまうほど大振りしてしまうと、ダフリやトップといった大きなミスをしてしまいます。傾斜面などバランスの悪い状況では尚のことです。
自分にとってバランスが保てる範囲のスイングはどのようなものであるかを、普段の練習で把握しておく事が大切です。またフィジカル的に体のバランスを整え、バランスが保てる範囲を広げておく取り組みも、今後の更なる上達には欠かせないでしょう。
ボールを打つ前の行動も変えてみよう
目的に応じて、ボールを打つ前の行動も変えてみましょう。例えば、飛ばすモードであれば大きなアクションで、大股で歩きながらアドレスに入る。アプローチショットであれば狭い歩幅で歩いて、小さな動きでアドレスに入ります。そうするとその後のアクションも変化します。
目的を明確にして、準備の段階から動きを切り替えると体の動きも変わってきます。人間は、目的に応じた体の動きができるような本能を持っていますので、それをうまく引き出してみましょう。
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