ボールが良く転がるパターの打ち方|回転が良いとカップインしやすい!
真板潔パッティングの奥技 最終回
最終回のテーマは「球のコロがり」。パターの名手といわれるようになった真板潔は「どうすれば回転のいい球が打てるか」を常に考え、試行錯誤を重ねてきた。その結論を大公開!
解説:真板 潔(フリー)
1959年12月17日生まれ。170㎝、75㎏。神奈川県出身。2000年のサントリーオープンでレギュラーツアー初優勝。シニアツアーでは2016年に年間3勝を挙げるなど、通算6勝をマーク。パットの名手として知られ、その技術と理論はプロの間でも高い評価を得ている。
「苦手だと思ったら入るものも入らない」
入らないからといって苦手意識を強く持つと、打ち方に悩んで迷路にハマり、ライン読みもおろそかになる。コース上では結果に関係なく、ライン読みと距離合わせに集中し、自信を持って打つことが重要だという。
インパクトで芯と芯を合わせて加速させながら打つ
なぜ、球のコロがりにこだわるのか?その理由は大きく二つ。
一つは、コロがりをよくするほど前に前に進もうとする力が強くなり、最後のひとコロがりだけでなく、傾斜や芝目の影響を受けにくくなるからです。特にカップ際はボールスピードが遅くなり、その影響が大きくなりますが、回転のいい球は切れにくい(曲がりにくい)というメリットがあります。
もう一つは、いわゆる「順回転の球」は前方への推進力と同時に、下方向にも力がかかります。すると、カップの縁にかかったときに下に落ちようとする力が働くため、蹴られずにカップインする。つまり、回転がいいとカップへの入り方(沈み方)がよくなるわけです。
それには、インパクトでフェースの芯とボールの芯を合わせて、ヘッドを加速(下りは等速)させながら打つことが必須条件です。
前に進む力と下に沈む力
正しい順回転(タテ回転)の球には、前に進もうとする力と下に沈もうとする力が働く。ボールスピードが遅くなるカップ際でも、傾斜や芝目の影響を受けにくい。
回転のいい球はカップに蹴られにくい
下に沈む(落ちる)力が強く働けば、カップの縁からでも入る確率が高くなる(右)。回転が悪いとカップに弾かれやすく、蹴られることが多くなるので注意しよう(左)。
打ち方よりも「回転」が大事
球のコロがりは「回転の向き」と「力」によって変わるため、回転のいい球を打つことが最優先事項。いくら打ち方をよくしても、回転が悪ければ入らない。
回転のメカニズム
意識する、しないは本人次第フェースの開閉で球をつかまえると順回転で伸びる。
水平振りでフェースの動きをェック
パターを高く上げて水平振りを行うと、手首を使わなくても、フェースはテークバックで開き、フォローで閉じる。この動きをベースにして自分なりのストロークを作ろう。
フェースを「閉じて開く」とコロがりが悪くなる
パッティングはドライバーなどのショットの縮小版ですが、振り幅が小さいため、ストレートな軌道でフェースの開閉をしなくても打てます。しかし、テークバックでフェースを閉じてフォローで開くという感覚を持つと、真っすぐ打ち出せても、球のコロがりが悪くなるので注意が必要です。
パターを持ち上げて水平振りをすると、インサイド・イン軌道になり、フェースは開いて閉じますよね。あくまでもこれが基本。ポイントは、この動きを意識するかどうかです。私はシンプルに打ちたいので意識しませんが、意図的にフェースを開閉させてもOK。大事なのはショットと同様、「球をしっかりつかまえる」ことです。
シャフトの角度がキーポイント
パターのシャフトの角度、いわゆるライ角によって、ストロークもフェースの開閉も変わる。一般的なパターの場合は、緩やかなインサイド・イン軌道で、フェースがやや開いて閉じるのが自然な動き。
長尺パターはフェースが閉じて開く
シャフトをほぼ垂直にして、ストレートな軌道で打つ長尺パターは例外で、フェースをテークバックで閉じてフォローで開くという感覚になる。
練習法&実戦テク
「ややダウンブロー」が秘訣です!|クロスハンドでヘッドを低く出すと球のコロがりがよくなる。
ヘッドを低く出す
クロスハンドにすると、インパクト以降も左肩の位置が低くなるため、ダウンブローに球をとらえつつ、ヘッドを低く長く出すことができる。
クロスハンドなら手首を使わずにボールを強く押せる
回転のいい球を打つには、フェースの芯でボールの芯を打つ、ヘッドを加速させる、フェースの開閉で球をつかまえるなどの要素に加えて、「ややダウンブロー」にヒットし、フォローで「ヘッドを低く出す」というのが、試行錯誤を重ねた私の結論です。
そのためには、左右の手の位置を反対にする、「クロスハンド」グリップでの練習がオススメ。クロスハンドなら手首の余計な動きが抑えられるうえに、ダウンブローの感覚がつかみやすい。しかも狙ったラインに対して、ボールを強く押していけるため、回転とともに方向性もよくなるのです。
体が目標方向に流れないように、首の付け根を動かさずにストロークすることも忘れずに。このクロスハンドは実戦でも使えるので、ぜひ試してみてください。
手首は使わずシンプルに打つ
フォローでヘッドを高く振り上げると、ボールを押す力が弱くなり、方向性も通常の握り方に戻しても、クロスハンドと同じ感覚で打つ。手首の動きを極力抑えることが大切。距離感も合いにくい。
振り上げる動きはNG
フォローでヘッドを高く振り上げると、ボールを押す力が弱くなり、方向性も距離感も合いにくい。
グリーン上で偶然、球が動いても罰は付かない
従来は風などの自然現象でも、アドレス時に球が動くと1打の罰だったが、グリーン上に限り、「罰なし」になった。マーク&ピックアップをしていた場合はリプレース。していない場合はそのままプレーする。
どのような握り方でも右手を生かす
クロスハンドにすると「左手」主体のストロークになりやすいが、左手はクラブに添えているだけで、「右手」を生かしたほうがうまく打てる。左手は舵取り(方向性)、右手はパワー(距離感)という役割はどのような握り方でも同じだ。
取材トーナメント/富士フイルムシニアチャンピオンシップ
取材協力/中津川カントリークラブ
GOLF TODAY本誌 No.565 126〜129ページより
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