話題のパターシャフト「スタビリティーシャフト」を野村タケオがレビュー
最近パットが上手くなると話題になっているパターのシャフトがあります。それがオデッセイのストロークラボのシャフトと、アメリカのBGT社が開発したスタビリティーシャフト。
はたしてシャフトが変わるだけでパッティングが良くなるなんてことがあるのでしょうか?前回のストロークラボに続きスタビリティーシャフトを検証してみました!
撮影/野村タケオ
[目次]
・話題のパターシャフト「スタビリティーシャフト」の効果を試打検証
・スタビリティーシャフトってどんなパターシャフト?
・スタビリティーシャフトを試打したのはこの二人
・スタビリティーシャフトをさっそく試打してみた!
・スタビリティーシャフトは今までに無かったパターシャフト!
話題のパターシャフト「スタビリティーシャフト」の効果を試打検証
プロゴルファーがトーナメントで使っているのをよく見かけるストロークラボとは違い、あまりプロが使っているわけではないのに、ギアにこだわるアマチュアゴルファーの間で話題になっているパターシャフトがあるんです。それがスタビリティーシャフト。
このシャフト、手元からヘッドの少し上くらいまでがカーボンになっていて、その先からヘッドにつながっている部分はスチールシャフトになっています。そしてカーボン部分はあきらかに普通のシャフトよりもかなり太めになっています。元のパターのシャフトをヘッドの上20センチくらいで切って、そこにスタビリティーシャフトを継ぎ足しているような感じなんですよ。
いったいこのシャフト、どんな効果があるのでしょうか?実際にコースでゴルフバカイラストレーターの野村タケオとプラスハンデのトップアマが打って調べてきました!
スタビリティーシャフトってどんなパターシャフト?
ひとことで言うと、超低トルクシャフトです。シャフトの黒い部分はカーボンファイバーシートを8層に巻き、テーパーの無いパラレル設計でトルクを低減しています。
また22gのアルミインサートがシャフト内部の適所に設置されていることで、先端部分の曲げ剛性を大幅に強化しています。このように曲げ剛性を高め、ねじり戻りを大幅に低減することで、インパクトの時にクラブフェースがスクエアになるように設計されています。
パターヘッドは数十年をかけて進化するにあたり重量も増してきました。そのためこれまでの伝統的なスチールシャフトではヘッドが振動したり、ねじれたり、回転したりすることを防ぐことができなくなっています。そのような不安定なヘッドの動きを抑えるのがスタビリティーシャフトなのです。
スタビリティーシャフトのスペック情報
チップ径 | ストレート:9mm/9.4mm/9.9mm ダブルベンド:9.4mm(チップは既設利用) |
バット径 | 15.2mm |
長さ | 37インチ |
重量 | 125g |
トルク | 1度 |
フレックス | 超硬 |
希望小売価格 | 22,000円(税抜) ※シャフト単体 |
スタビリティーシャフトを試打したのはこの二人
左:佐藤順。ハンデ+1のトップアマ。ヘッドスピード47。ほぼストレートで軽く右に曲がるフェードヒッター。ドライバー飛距離は270ヤード前後。栃木県佐野市のゴルフショップ「アフターゴルフ」店長。
右:野村タケオ。ヘッドスピード42くらい。いかにもアマチュアなスイングで、捕まえるのがあまり上手くないフェードヒッター。スピン量が多め。ドライバー飛距離240ヤードくらい。ゴルフバカイラストレーター。
スタビリティーシャフトをさっそく試打してみた!
野村「このスタビリティーシャフト気になっていたんだよね~。全くどんなシャフトなのか想像もつかないだけに、余計に打ってみたかったのよ」
佐藤「見た目で驚きますよね。いったいこのシャフト何?って僕も初めて見た時は驚きました」
野村「だって太いじゃん。しかも途中から普通のシャフトが継ぎ足されてるみたいな感じだし、一体どんな効果があるんだろう?って思っちゃうよね」
佐藤「とりあえず今回はピンタイプのパターに挿れてみたので試打してみましょう」
野村「なんか持ってみた感じ、かなり硬く感じるね~。素振りをしてもめっちゃシャフトが硬い感じ。見た目が太いからズッシリ来るのかと思ったけど、重さは全く感じないね」
佐藤「重量的には一般的なスチールシャフトと同じくらいになっているみたいですよ」
野村「では打ってみま~す」
コツッ
野村「うおっ、シャフトがしなるような感じが全く無くて、本当に軽くて硬い棒にヘッドが付いているみたいな感じだ!この感覚は今まで味わったことないな~」
佐藤「本当に硬く感じますね。でも嫌な硬さじゃないですけど。そして打感がスチールのときよりもソリッドな感じがします」
野村「自分が動かしたようにしかクラブが動かないというか、ヘッドの向きも自分が動かしたようにしか動かないような気がする。打感もダイレクトに手に伝わる感じがして、僕は好きだな~」
佐藤「こんな感じのパターシャフトってのは今まで打ったことがないですね」
野村「普段はパットをしててシャフトがしなってるなんて感覚は無かったんだけど、このスタビリティーシャフトを使った後にスチールシャフトのパターを打つと、シャフトのしなりやねじれを感じるんだよね。やっぱパターのシャフトもしなってたんだ~って」
佐藤「本当にそうですね。たとえばドライバーのシャフトでトルクが少ないと、かなりインパクトがシビアになってきたりするのですが、パターの場合は逆にトルクがスクエアインパクトの邪魔をしているのかなって思えますね」
野村「そうそう、これだけねじれないと、真っ直ぐ打つのが難しくなるのかなって思うんだけど、こっちのほうがヘッドが意図しない動きをしないから、思ったようにヘッドが動くというか、狙った方向にボールを打ち出しやすい感じがするよ。不思議だな~」
佐藤「ある意味こっちのほうがシンプルに打ち出したい方向に振ってやればいいだけのような気がしますし、芯を多少外してもフェースがねじれないので方向性が狂うことも無いですね」
野村「なんか本当に不思議な感覚だな~。最初は少し戸惑ったけど、何発か打っているうちに1メートルちょいのパットがスコスコ入るんだよね」
佐藤「シャフトが変にしならない分、距離感も合わせやすいですね。自分が振った分だけ転がると言うか」
野村「長いパットも慣れれば本当に距離感が出るようになるね。切り返しでもシャフトが動かないから変にパンチが入ったりすることも無いし」
佐藤「今回はピンタイプのヘッドに挿れて打っていますが、もっと慣性モーメントの大きい大型マレットヘッドに挿れたりすると面白いかもしれませんね。フェースバランスのヘッドだと本当に思ったところに打ち出せるかもしれません」
野村「お~確かに、それも面白そう。もし構えた方向にかなりの確率で打ち出せるようになったら、2~3メートルのパットの入る確率がぐっと上がりそう。そのあたりの距離のパットってスコアに直結してるから、かなりスコアアップに貢献してくれそう」
佐藤「今度マレットに挿してみてラウンドに持ち込んでみます」
野村「スタビリティーシャフトはネック部分は元のパターのままでリシャフトできるから、ベントネックとかのパターにも使えるってとこが良いよね」
佐藤「実は僕のショップでもけっこうマレットパターへのリシャフトの依頼が来ていて、けっこう評判が良いんですよ」
野村「マジっすかー!僕もマレットに挿れて使ってみようかな。今度リシャフトお願いするよ」
佐藤「それが、このシャフト人気が高くて欠品中なんです。来月には入ってくると思いますが」
野村「そんなの聞くと余計に欲しくなるや~ん!」
これは今までに無かったパターシャフトや~!
超低トルクってどういうシャフト?って思ったのですが、たしかに打ってみるとシャフトが全くしならないし、ねじれない。本当にこんな感覚のパターシャフトって打ったことが無いですね。
ストローク中に全くシャフトが変な動きをしないので、テンポ良く最後まで振り切れます。打ち出したい向きにフェース面を合わせて、そのままストロークすればフェースの向き通りにボールが打ち出される感覚です。
ただ、その分、しっかりとフェースコントロールをしなければいけないのかもしれません。パッティングのスタイルによっては合わない人もいるのかもしれませんが、どうも方向性が安定しない人や、パンチが入ってしまう人などは試してみるとけっこう効果があるかもしれませんよ。
(取材・文)ゴルフバカイラストレーター野村タケオ