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不変のオノフ哲学に内なる進化を。ONOFF AKA|ギアモノ語り

話題の新作開発ストーリー秘話

2020/05/27 ゴルフサプリ編集部

ゴルフクラブというより、ゴルフの道具という雰囲気が漂っているオノフ。大人のゴルファーをターゲットにした上質なブランドは、ときどき誕生する。しかし、オノフが偉大なのは約20年にわたり、オノフだけの世界観を継承していることだ。そこにはブランド誕生以来、変わらないオノフの哲学と1冊の本があった。

グローブライド(株)スポーツ営業本部 ゴルフ営業部
山﨑 誠司

反対意見もあった高慣性の赤。

オノフらしい世界観は変わっていないが、今年発売された『オノフAKA』には大きな変化があった。それはAKAシリーズが初めて2つのラインナップになったことだ。今回はその仕掛け人である企画担当者の山﨑氏に話を聞いた。取材当日、山﨑氏は最新モデルのヘッドパーツと1冊の本を持って現れた。さっそく、2ラインナップにした背景を聞くと、

「最初は反対意見もありました。それは今までのAKAシリーズを継承している『オノフAKA』ではなく、ルール限界の慣性モーメン5900g・㎠を追求した『オノフAKARD5900』への反対です。その理由としては“オノフらしくない”という意見が多かったですね」

実は2002年のオノフブランド誕生以来、新モデルの企画、開発の会議では“オノフらしいかどうか”が最大の議論になるという。

「社内にもオノフらしいの明確な定義というのはないんです。その代わりに、企画や開発チームのスタッフ全員がこの本を持っていて、何か新しいテクノロジーに挑戦するときは、この本を読み返しながら、オノフらしいかどうかを自問自答したり、会議で話し合ったりしているんです」

そうやって、紹介してくれたのが社外秘になっているというオノフの『BRANDING BOOK』だった。そこにはオノフブランドとして〈究めて、オノフである。極めて、上質である〉という哲学的な言葉もあれば、開発チームへのメッセージもある。そして、最初のページには、

〈単にスペックを追い求めるのではなく、ルール、マナーに立脚したゴルフの本質をスタイリッシュに提案する上質大人のゴルフブランド〉

 という言葉があった。山﨑は、

「これまで社内でもスペックを追求するような斬新なモデルや、奇抜な発想のクラブは提案型の『ラボスペック』シリーズとして発売してきました。だから、最初は『RD5900』も『ラボスペック』のカテゴリーではないかという意見も出たのです。でも、今の時代を考えると世界的にも高慣性モーメントドライバーは完全なる主役であり、スタンダードです。しかも、高慣性モーメントドライバーはミスヒットに強くて、やさしい。だから『オノフAKAシリーズ』として発売することにしました」

ただし、そこにも“オノフらしさ”へのこだわりがあった。

「どれだけ高い慣性モーメントを実現できても、形状や構えたときの顔が異型だとそれはオノフではない。後方部分を極端に大きくしたり、グースネックにして重心を深くするのはオノフらしくない。だから、まずはヘッドの左右のパーツをカーボンにして軽量化したうえで、ヘッド最後部に重いステンレスウェイトを配置しました。結果的に内部はすごく複雑な5ピース構造になっていますが、完成品としては違和感なくシンプルな“オノフらしい顔”になっています」

カーボンパーツは、これまでの王道を継承した『オノフAKA』にも大きな変化をもたらせた。それはオノフ史上初の弾道調整機能をつけたことだ。

「元々、オノフのドライバーは前作までもネックのジョイント部分を調整することで、フィッティングの際などにはロフト、ライの調角ができるようになっていました。だから調整機能のノウハウはあったんです。でも、それをお客さんができるようなネックにすると、どうしてもネック部分の重量が増えてしまう。その結果、“オノフらしい”つかまりの良さを出しにくくなってしまっていた。でも、今回はクラウン部分をカーボンパーツにして軽くしたことで、重量を調整部分に持ってくることができた。だから調整機能をつけることができました」

開発段階の話を聞くと、高慣性モーメントへの挑戦も、初めての弾道調整機能も、すべて“オノフらしさ”を前提にして開発を進めている。だからこそ、オノフは約20年間、最新モデルを出し続けてもオノフらしさを継承できているのだ。

ONOFF AKA RD5900

●SPEC
ヘッド体積/460㎤
ロフト角/10.5度
長さ/45.25インチ
クラブ総重量/299グラム(S)
価格/7万円+税

ONOFF AKA

●SPEC
ヘッド体積/460㎤
ロフト角/10.5、11.5度
長さ/45.75インチ
クラブ総重量/300グラム(S)
価格/7万3000円+税

軽比重のクラウン部分には格子状の溝をつけることで剛性を高めている。またフェースとボディは一体構造にすることで“たわみ力”を最大化させている。

ドライバーだけでなく、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、さらにキャディバッグやボストンバッグまで、同じ世界観でつながっているオノフ。

『BRANDINGBOOK』の中にはデザインに関する項目もあり、〈奇を衒わず、オーセンティックでシンプル〉という言葉がある。確かに歴代のオノフのアイテムは同じ系統で気品がある。また今回のシリーズでは、テクノロジーとしても全クラブ共通のコンセプトがあったようだ。

「高慣性モーメントを追求した『RD5900』だけでなく、『オノフAKA』も4800g・㎠近いオノフAKA史上最大の慣性モーメントになっています。それはシリーズ全体として、フェースのすべてが芯になるようなフルコアデザインをテーマにしたからです」

アマチュアにはドライバー以上に芯で打つのが難しいフェアウェイウッド、ユーティリティについては、

「決して奇抜なカタチにはならないようにフェアウェイウッドとユーティリティにはソールに凹みをつけることで、ダフったときでも引っかからないようにしています。実はこのアイデアは『ラボスペックシリーズ』で発売したウェッジが好評で、それをウッドに生かしたものです」

またアイアンについては7番アイアンのロフトが28度という、今どきの飛び系アイアンになっているが、カタチは違う。

「一般的な飛び系アイアンと違って、オノフのアイアンはソール幅を広くしていません。それは構えたときにバックフェースが見えてしまうと“オノフらしくない”からです。その上で、ソール内部にはタングステンを内蔵して下側ヒットでも芯で打ったような性能を実現しています」

オノフが初代から約20年間、継続していることがもう一つある。それは純正シャフトの自社開発を続けていることだ。この20年間で、多くのクラブメーカーはシャフトを外部発注するようになったが、オノフはカーボンシャフトについて特別な想いがある。

「元々、当社には釣り具メーカーとしてのダイワの技術があります。釣り竿(フィッシングロッド)はゴルフシャフトより細くて、より高度なカーボン技術が要求される世界です。その技術をゴルフシャフトに応用しているので、純正シャフトに絶対の自信を持っています」

今回のドライバーにおいても、2つのヘッドに対して、全く違う特性の純正シャフトにしている。

「今までのユーザーを想定した『オノフAKA』はスライサーでもつかまりの良い先調子系のシャフトにしています。しなりを大きくして、さらにスピードを上げるためにもシャフト全体を細くしてスリム化させています。一方の『RD5900』は先端部分がある程度しっかりしていてミスヒットしたときでもブレにくいのが特徴。シャフトの太さも並べて見ると全然違うんです」

オノフのイメージは高級感があり、上質な大人のブランドというイメージだが、実はオノフの評価や認知度を上げてきたのは日本全国の大型練習場などで、積極的に試打会を開催してきた地道な道のりだった。

「2000年代前半からずっと試打会は大事にしてきましたし、一般のアマチュアゴルファーに打ってもらった感想はすごく重視しています。試打会では、どんなに飛距離が出ても変な音がするドライバーは嫌われます。だから、打球音とか打感を大切にするようになっています。今回のドライバーもカーボンパーツを使っても“オノフらしい音”を出せたので、最終的にカーボンを採用することになりました」

オノフはデザインも雰囲気も大人向けの上質な感じだが、性能としても音が良く、打ちやすく、つかまって、やさしいというゴルファーの五感を安心させるものが揃っている。単純に飛距離や数字を追求したものではない。だからこそ、オノフにはゴルフクラブというより道具という雰囲気があるのだろう。社外秘である『BRANDING BOOK』の最後はこう綴られていた。〈ONOFFは、明るく、楽しい大人のゴルフライフを提案します〉。

ロフト、ライの調角だけでなくウェイト調整も!

ネック部分のロフト角、ライ角だけでなく、ソール後方のウェイトも1グラムから12グラムまで調整可能(標準装着は7グラムで、残りのウェイトは別売り)

ウェッジの発想から生まれたFW、UTの新ソール

アプローチやバンカーが苦手な人のために開発されたウェッジ『フロッグスリープⅡ』。アプローチのザックリを防ぐために開発されたソール中央部分の凹みを、『オノフ AKA 』ではFWやUTに応用。

GOLF TODAY本誌 No.576 105〜109ページより


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