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「ストロークプレー」にこだわりたいのはなぜ?

重箱の隅、つつかせていただきます|第2回

2020/09/02 ゴルフサプリ編集部

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど……。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

GOLF TODAY本誌 No.579/78ページより

戸川景
とがわ・ひかる。1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て㈱オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。

「ストロークプレー」にこだわりたいのはなぜ?

ゴルフは完全ホールアウトでスコアを記録するもの。たしかに「ストロークプレー」ではそれが鉄則だ。

だが、それが本来のゴルフの楽しみ方なのか、というと私は少し違うと思う。ゴルフはホールアウトまでの打数を競うものだが、それは1ホールごとに完結していい。つまり「マッチプレー」に、より〝ゴルフらしさ〟があると思っている。
「ゴルフはミスのゲーム」と言われるが、ストロークプレーではミスを増やさないために慎重になり、1打ごとに時間をかけながらも、1ホールの大叩きで1日のプレーを台なしにしてしまうことも結構多い。

競技ゴルファーになるなら、その〝ミスに耐える苦行〟を重ねて上達を目指すのも楽しみの一環かもしれないが、そうではない多数の一般ゴルファーにはどうか。

月に1、2回のラウンドしかできないゴルファーには、そんな〝苦行〟は必要ない。どんなホールでもバーディ、パー狙いでイケイケどんどんのほうが楽しめるはず。

でも、スコアは100未満でないとダメ、90切らないとつまらない? それはストロークプレーだから。

マッチプレーなら、対戦相手のスコアに対して負けた場合は、その時点でボールをピックアップしていい。そのため、どんなに叩いても、1ラウンドで100は打たないはず。また、無駄な打数を増やさないぶん、確実にプレーファストになる。

初心者と一緒にプレーする場合も、マッチプレーなら大叩きのピックアップもスムーズに行え、後続組に迷惑をかけずにすむ。

上達を促すという観点からも、本当はマッチプレーに分があると思っている。ホールごとにベスト(バーディなど)を狙うことは、打球技術もマネジメントも向上させるはず。それでいて、挑戦したミスを引きずらずにすませることができる。また、ミスの繰り返しでトラウマやイップスになることはあっても、マッチプレーならピックアップで断ち切ることができるので、その可能性は低いだろう。

それでも「せっかくのラウンド機会、18ホールのプレーフィ分は十分に堪能したいから、完全ホールアウトがいい。スコアも18ホールのトータルストロークでしか評価したくない。だって毎回ベストスコア更新を狙っているから」と言われれば、それまでだが。

ただ、今年のコロナ禍でプレー自粛の状況を眺めていると、やはりマッチプレーを見直してほしい。

たとえば、2サムセルフプレーが可能で、プレーしたホール数または時間に応じてプレーフィの割引があったらどうか。

以前からある早朝・薄暮プレーに似ているが、マッチプレー形式なら短い時間でも十分に楽しめるだろう。

本来、いわゆる〝3密〟にはなりにくいはずのゴルフだが、それでも感染防止対策としてR&Aなどではホールのカップに触れるな、といった方策を提案しているが、ホールアウトが絶対条件ではないマッチプレーはその点でもベターだ。

ちなみに、プロの競技ではどうか。過去には〝マッチプレーの鬼〟と異名を取る名手がいたが、決勝にビッグネームが来ない場合のテレビ放映のリスクと、勝ち進んだ選手の体力的な負担から、マッチプレー競技は敬遠されているのが現状だ。

だが、ネット中継が浸透すれば、流れは変わるかもしれない、と期待している。


Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ


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