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『SM8』が超やさしく感じた理由。ウェッジこそフィッティングが必要だった!

ボーケイ直伝のフィッティングが日本で受けられる

2020/10/01 ゴルフサプリ編集部

PGAツアーにおいて15年連続で使用率No.1ウェッジとして君臨し、今年の新モデル『SM8』を投入してからは50%を超える驚異的な使用率を記録したボーケイウェッジ。

高い使用率につながっているのがウェッジの性能、パフォーマンスはもちろん、6つのソールグラインドとロフトバリエーションによって計23本を揃えた『SM8』の豊富なラインナップで自分に合ったモデルを選べることも使用率を伸ばした要因のひとつ。ウェッジ界の巨匠であるボーケイ氏も昔からフィッティングを重視しているが、今回はゴルフトゥデイから編集K、ライターNの2名がフィッティングを受けてみた。

ツアー担当15年のベテランが語る。アマチュアこそフィッティングが必要な理由

今回、ゴルフトゥデイから参加した2名のフィッティングを担当してくれたのが、アクシネット ジャパン インクのクラブフィッティングチーム主査・三瓶大輔氏。三瓶氏は30年近くゴルフ業界で仕事をして、2001年から2015年まではツアー担当としてトーナメント現場で一流ツアープロのクラブを調整してきた。ツアー会場ではボブ・ボーケイ本人からウェッジ哲学を学んできた人物だ。そんな三瓶氏が最初に語ったのは意外な話だった。

「よくアマチュアの人は『私は下手だから、プロみたいなフィッティングをしても意味がない』と言われるのですが、それは逆です。ツアープロは、もしも合わないウェッジを打ってもソールの当たり方を調整して打てるので大きなミスはしません。しかし、アマチュアには調整して打つというのは難しい。だからこそ、自分の打ち方にピッタリ合ったウェッジ選びが大切なのです。正直に言うとフィッティングによるメリットは、ツアープロよりアマチュアのほうが大きいんです。アプローチでダフリ連発だった人が、ロフトやバウンス、ソール形状を適正なものにしただけでナイスショットが出るようになるケースは数えきれないほどあります」

また、三瓶氏はアマチュアが大きく誤解していることがもう1つあると語った。

「昔からボーケイ氏が提唱しているのがBounce is Friend(バウンスは友達です)という哲学です。バウンスが大きいウェッジのほうが入射角の許容範囲が大きくなるので、やさしいという理論なのですが、なぜか日本ではローバウンス(小さいバウンス)を好む方が多いです。多くのアマチュアが、ハイバウンスは引っかかりやすい、ダフリそうだと思われているのです。だから、まずはフィッティングを通してバウンスが大きいウェッジのやさしさを体感してほしいです」

編集Kにマッチしたのは店頭にはないスペック

今回のフィッティングが行われたのは藤沢ジャンボゴルフ内にあるタイトリスト フットジョイ フィッティングスタジオ。まず最初は問診からスタート。当日、編集Kは使用中のウェッジを持参していたのでロフト別の想定距離や、ミスの傾向、どんな場面でどのロフトをよく使うかを確認。さらに三瓶氏がチェックしていたのが、使用しているウェッジの傷だった。

「ソールの傷を見れば、スイングタイプの傾向がわかるので、相性の良いソールを選ぶ目安になります」

問診が終わると、さっそく試打。まずは52度から打ちはじめてシャフトを選んでいくと、ナイスショットが出たのが長さを短くして打った1球目だった。三瓶氏によると、

「フィッティングは1球目が大事。本番でのウェッジは1球しか打てませんからね。編集Kさんは各ロフトで0.25インチ短くした方が結果がよかったですし、50度、54度、58度で0.25インチずつ市販モデルより短くしたときのほうが、100ヤード以内の距離の打ち分けもしやすいと思いました。また58度で4つのグラインドを試してもらうとバウンス角が大きいFグラインドやKグラインドと相性が良かったです」

初めてウェッジフィッティングを受けた編集Kは、

「正直、ソール形状の違いがこんなに敏感に感じられるとは思いませんでした。MグラインドとFグラインドは全然違いましたし、同じハイバウンス同士でもFグラインドとKグラインドも打ち比べると感覚が違います。私は平均スコア95くらいのアマチュアですが、それでも、こんなにソール形状の違いが感じられるとは思いませんでしたね」

もし、店頭で購入していたら長さまでは選べなかった。だからこそ、フィッティングすることに価値があったのだ。

ダフリ癖を完全克服!1球目からベタピン

室内試打を終えると候補に上がったウェッジを持って、アプローチ練習場へ。藤沢ジャンボのアプローチ練習場はトーナメントコースレベルのアプローチ練習環境で、手入れの行き届いた花道やラフの芝だけでなく、深いバンカーもある。さっそく室内試打で選んだ58度のFグラインドを打ちはじめた編集Kは、1球目からピンに絡むアプローチを見せた。

編集Kは、「あんなアプローチ打ったことないです(笑)。普段は逆目からのこの距離(20ヤード)はザックリとかトップすることも多いのに、すごく簡単に打てて自分でビックリしました」

その後もベタピンショットを連発する編集Kに対して三瓶氏は、

「予想通りというか、やはりバウンスがあるウエッジと相性が良いみたいです。正直に言うと、今日持ってきてもらったウエッジを見たとき『難しいウェッジを使っているなー』と思ったんです。だから、バウンス14度のFグラインドやKグラインドならこれくらい打てるだろうとは思いました。ダフリ癖があったり、トップが多い人でも、ウェッジならフィッティングで解決できることが多い。ドライバーのフルショットになるとヘッドスピード、体力の問題、体の柔らかさの問題もあるのですが、ウエッジはそれほど体力が必要なものではないのでクラブで解決できる範囲が広いと思います」

逆目の20ヤードにはじまり、バンカー、傾斜地などからウェッジをテストした結果、三瓶氏が編集Kに選んだのが50度Fグラインド(バウンス角12度)、54度Fグラインド(バウンス角14度)、58度Kグラインド(バウンス角14度)の3本。

シャフトはN.S.プロモーダス3 120で、長さは0.25インチずつ短いスペックだった。編集Kが使っていたウェッジのシャフトはN.S.PRO 950GHのSで、アイアンでも同様のスペックを使用している。

編集Kは「今、使っているウェッジのシャフトよりも重く、長さが短くなったからなのでしょうね。驚くほど扱いやすく感じられます。ソール形状だけでなく、シャフトの違いによる影響も大きいとは予想していましたが、ここまでとは思いませんでした」と、適したシャフトを導き出してもらえたことにも感嘆していた。

フィッティングはウェッジからはじめるべき!

続いてライターNがフィッティングに挑戦。問診、室内試打、そして芝の上から最終試打を行うと、編集Kとはまた違う3本が選ばれた。三瓶氏によると、
「アドレスでハンドダウンしているのでライ角は1度フラットにして63度が良いと思います。またフルショットでしか使わない50度はバウンス角8度くらいで良いと思いますが、56度と60度に関してはバウンス角12度のDグラインドがスイングとマッチしていました」

実はライターNにもダフリ癖があったが、Dグラインドの56度、60度にすると、1球もダフリが出なくなった。

最近はフィッティングが浸透してきたが、ほとんどの人はドライバーのフィッティグをイメージするのではないだろうか。しかし、三瓶氏は、
「米国でフルフィッティングというドライバーからパターまでフィッティングするプランがあるのですが、そのときは本人のリクエストがない場合はウェッジからスタートします。ウエッジでシャフト、ロフトが決まって、はじめてアイアン、ドライバーにつながっていくからです。それはタイトリストの“グリーン to ティ”というスコアアップを目指すためにはグリーンから考えるという思想でもあります」

編集K、ライターNもドライバーのフィッティングは仕事で受けたことがあったが、そのときはドライバーを購入しようとは思わなかった。
しかし、初めて受けたウェッジフィッティングでは当日の取材が終わると、2人とも3本のウェッジを自腹で予約。それだけ、ウエッジフィッティングのメリットを強く実感してしまったのだ。

『SM8』はPGAツアーで使用率No.1を誇るツアーモデルですが、フィッティングで自分に合ったモデルを選んでもらうと、ツアーモデルでも全く難しく感じない。そしてBounce is Friend。今回、2人がフィッティングで選んでもらったモデルはハイバウンスタイプが多かったが、確かにバウンスがあるウェッジは“長年付き合ってきた友達”のようにやさしく感じられた。

取材・文/野中真一
撮影/相田克己