コロナ禍に記録的な活況!? アメリカゴルフの今
ラウンド数は13.9%増、ゴルフ用品の売上は10.1%増!
米国PGAツアーでは、一部の試合でギャラリーの入場が可能に!「PGAマーチャンダイズショー」はバーチャルで開催。様々なゴルフ関連商品が世界のゴルフ業界関係者に紹介された。
米国ではラウンド数と用品の売上が大幅に増加。記録的な活況を呈しているアメリカゴルフの現状と、世界最大のゴルフ用品見本市である「PGAマーチャンダイズショー」、米国PGAツアーの取り組みなど、コロナ禍の米国ゴルフ界をレポートする。
GOLF TODAY本誌 No.586 65〜67ページより
ソーシャルディスタンスを確保できるスポーツとして大人気!
小売販売、消費者、取引動向に関するゴルフ業界をリードする独立系市場調査会社であるゴルフ・データテック社(GolfDatatech,LLC)は、1月25日に米国でのラウンド数と用品販売を分析した初の年次レポート「2020年全米ゴルフパフォーマンスレポート」を発表した。2019年に比べて2020年はラウンド数が13・9%、用品販売が10・1%増加。この急上昇の要因はゴルフがソーシャルディスタンスを確保できる理想的なスポーツに近いものとして評価されているからだとしている。用品販売に関しては下半期に急増しており、中には新たにゴルフを始めた方も多いようだ。
また、ラウンド数は特に12月が前年比37%増と急騰している。2020年のラウンド数と用具販売が急増した一方で、アパレル販売は逆に14・2%減少。米国のゴルフアパレルは主にコース上のゴルフショップで販売されており、コロナ禍の影響で多くのプロショップが数カ月間稼働できなかったり、ゴルフリゾートでのアパレル販売が激減したことが要因のようだ。ただ、昨年の最後の2カ月間のアパレル売上高は11%増となり、2021年に向けては復活の兆しが見えている。また、オンラインのアパレル販売は昨年も1年間を通じて成長を遂げている。
参加者と出展社をつなぎ30万件の交流、閲覧、接続を記録(78カ国・1万1千人がオンライン参加!!)
〜今年はバーチャルになったPGAマーチャンダイズショー〜
オンラインで30万件近くの交流実績!
毎年米国のフロリダで開催される世界最大のゴルフ用品見本市であるPGAマーチャンダイズショーが1月26日から29日まで開催。今年はコロナ禍の影響でオンライン開催となった。主催したPGA・オブ・アメリカによると、世界78カ国から1万1000人以上が参加。出展した400近くのゴルフブランドとオンラインで交流した。バーチャルプレゼンテーションでは、合計で延べ約2万5000人の参加者があり、1回のプレゼンテーションでは400人を超える参加者があったこともあった。また、バーチャル・プラットフォームは、5000人近くの参加者と出展社のミーティングを促進し、30万件近くの交流、閲覧、接続を記録した。
年間を通じた出展企業とバイヤーの交流も支援
また、出展者のショールームはPGAマーチャンダイズショーが終了後も継続的にオープンしており、2021年を通して出展企業とバイヤーがつながり、ミーティングを行い、新製品を発見し、商取引を促進できるように支援するとのこと。昨年まで行っていなかったサービスを提供することで、活況を呈し続けている米国ゴルフ用品市場を長期間に渡って支援することになる。
PGA・オブ・アメリカのCEOセス・ウォー氏は、「2022年には、2021年の技術革新や学びを活用した上で、業界の皆様を直接お招きすることが待ち遠しいです」と述べており、来年は昨年までのリアルと、今年のバーチャルが融合したさらに魅力的になったPGAマーチャンダイズショーが期待できそうだ。
バーチャルメディアセンターで世界に発信を続けるPGAツアー!
〜会場ではギャラリーの入場も開始〜
世界中の記者がオンラインで取材
パンデミックに襲われた昨年、世界のスポーツの中でもいち早く6月に再開したのが米国PGAツアー。コロナ対策のために、メディア関係者に対してはオンラインで対応する仕組みが整えらえた。このバーチャルメディアセンターが徐々に進化してきている。2月上旬に開催された「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」では現地取材は約40人。そして世界各国の約200名の記者がバーチャルメディアセンターを利用した。
PGAツアーのコーリー・ヨシムラ氏によると、「毎日10枚くらいの写真、大会前の選手のインタビュースケジュールと記者会見を視聴できるリンク、選手の記者会見を英語で筆記したものなどを提供している」という。またこのバーチャルの仕組みはコロナ禍がおさまったあとでも続けていくそうで、PGAツアーが世界にPRをしていく重要な仕組みとして今後も活用できそうだ。
昨年10月末からギャラリーの入場を開始
PGAツアーの会場では徐々にギャラリーの歓声が戻ってきている。昨年10月末の「バミューダチャンピオンシップ」でコロナ禍後初のギャラリー入場を1日500人限定でスタート。米国は州によってルールが異なるため、試合によっては無観客で開催されることもあるが、2月上旬に開催された「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」では1日当たり5000人までのギャラリーを迎えた。
もちろん徹底した感染対策を行っている。前出のヨシムラ氏によると、「(ギャラリーに対しては)マスクは飲食以外では必ずつける。6フィートのソーシャルディスタンスを保つなどのルールを課している」とのこと。また、今後開催される試合についても「州によっては厳しいところもあり無観客になるところもあるが、基本的にはギャラリーを入れる形で調整中」とのことだ。
バーチャルメディアセンターから取得した「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」の写真。優勝したブルックス・ケプカの写真だけでなく、様々な選手の写真を取得できる。この試合では1日当たり5000人までのギャラリー入場が許可された。