PRGR 05アイアンの試打評価|高橋良明の本気レビュー
『PRGR 05アイアン』は同時発売された『LSシリーズ』(ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ)と対をなすモデルで、同じくヘッドスピード40m/s前後のゴルファーがターゲット。新機軸を打ち出した「PRGRアイアンシリーズ」の最新作の何がすごいのか。試打のスペシャリストとしておなじみのプロゴルファー、高橋良明がレポートします。
PRGR 05アイアンの総合評価
PRGR 05アイアン
飛距離性能 | ★★★★☆(4/5) |
---|---|
打球感 | ★★★★☆(4/5) |
操作性 | ★★★★☆(4/5) |
上がりやすさ | ★★★★☆(4/5) |
総合評価 | ★★★★☆(4/5) |
PRGR 05アイアンの特徴
かまえやすさや打感のよさ、操作性などアスリート好みの性能を追求した「PRGRアイアンシリーズ」。
新たに加わった『PRGR 05アイアン』は軟らかいS20Cボディと弾きのいいニッケルクロムモリブデン鋼フェースを採用したシンプルな軟鉄複合ポケットキャビティですが、ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーがやさしく飛ばしてねらえるように数々の工夫が凝らされています。
トップブレードが薄くシャープな見た目ながら、セミワイドソール設計により低重心とセンター重心を両立。アマチュアのインパクトエリアで高初速、高打ち出しを実現しています。
また、ミドルアイアン、ショートアイアン、ウェッジでそれぞれ同一レングスを採用。同じスイングでシンプルに距離を打ち分けられます。
- 球が楽に上がって飛ばせる「低重心・センター重心」
- ミドル、ショート、ウェッジの「3レングス」設計
- カーボンとスチールのよさを併せ持つ専用シャフト
特徴1. 球が楽に上がって飛ばせる「低重心・センター重心」
『PRGR 05アイアン』のフェースには高強度ニッケルクロムモリブデン鋼を採用。フェース全体を薄肉化するとともに打点の高さのバックフェースにグルーブを設けることで、高い反発性能を実現しています。また、重心位置をセンターの低い位置に移動させ、打点と重心を近づけることでさらに初速が上がるように設計されています。
一方、番手間のロフト差はと大きめの設定。ヘッドスピードが遅めでも高い打ち出し角でしっかりと距離差を出すことが可能です。
特徴2. ミドル、ショート、ウェッジの「3レングス」設計
一般的なアイアンのレングス(クラブ長さ)は1番手下がるごとに0.5インチずつ短くなっています。
これに対して『PRGR 05アイアン』はミドルアイアン(6、7番)のレングスを37.5インチ、ショートアイアン(8、9、PW)は36.5インチ、ウェッジ(48、52、57度)は35.5インチの同一レングスを採用。
また、クラブ総重量とバランスもカテゴリーごとに統一して、3種類のスイングとロフトの違いでシンプルに距離を打ち分けられるようになっています。
特徴3. カーボンとスチールのよさを併せ持つ専用シャフト
フジクラと共同開発した専用カーボンシャフト『MCI FOR PRGR』は金属を複合することで50〜60グラムの軽さとしっかりとした振り心地を両立。軽量スチールシャフトユーザーもカーボンシャフトユーザーも違和感なく振れるシャフトに仕上がっています。
また、ミドルアイアンがウェッジよりも10グラム重いウエイトフロー設計を採用。長い番手でも楽に振り切ることができるため高さと飛距離を出しやすく、短い番手はバラつきの少ない安定したショットを打つことができます。
PRGR 05アイアンのスペック
ミドルアイアン2番手、ショートアイアン3番手、ウェッジ3番手のクラブ長さをそれぞれ同一にした3レングスアイアン。ロフトピッチを通常よりも広げることで番手ごとの球の高さと十分な飛距離差を出せるようにしています。
製品名 | PRGR 05アイアン |
---|---|
ヘッド素材 | #6〜PW ボディ:軟鉄(S20C)鍛造 フェース:ニッケルクロムモリブデン鋼(SAE8655)圧延 |
番手/ロフト角 | #6/25度 #7/30度 #8/34度 #9/39度 PW/44度 48°/48度 52°/52度 57°/57度 |
シャフト | カーボン:MCI FOR PRGR(R(M-37)、SR(M-40)、S(M-43)) |
長さ | #6、7:37.5インチ #8〜PW:36.5インチ 48〜57°:35.5インチ |
重量/バランス(S) | #6、7:368g/D0.5 #8〜PW:387g/D0.5 48〜57°:407g/D1 |
価格 | 5本セット(#6〜PW):143,000円(税込) 単品(48、52、57°):28,600円(税込) |
公式サイト | プロギア公式サイト |
PRGR 05アイアンを試打レビュー
アスリートが好むフィーリングと、ヘッドスピード40m/s前後のゴルファーが求めるやさしさは両立するのか。『PRGR 05アイアン』のかまえやすさ、ねらいやすさ、飛びについて高橋良明が検証しました。
- 真っすぐかまえやすいシャープな顔だけど安心感もある
- 適度な弾き感とシャフトのしっかり感で操作しやすい
- 打ち出しが高くキャリーで飛ばしグリーンをねらえる
真っすぐかまえやすいシャープな顔だけど安心感もある
「真っすぐに飛びそう」「球筋を思ったようにコントロールできそう」などアイアンの場合、かまえたときの印象は性能以上に大事です。
『PRGR 05アイアン』はトップブレードがシャープでスコアラインもきれいに真っ直ぐ見え、あまりラージサイズと思えないくらいきれいな顔をしています。それでいてソールには適度な厚みがあって球も上がりそうです。かまえたときの違和感も不安もまったくありません。
6番と7番が同じ長さなので最初は6番が少し短く感じますが、どちらの番手を持ってもボールの位置や振るタイミングをまったく変えないで打てるので、その結果ゴルフがやさしくなります。
適度な弾き感とシャフトのしっかり感で操作しやすい
やさしくて飛ぶアイアンというとどうしても打感が硬い印象がありますが、『PRGR 05アイアン』はすごくやわらかく打てます。とくにショートアイアンはあまり弾きが強すぎると距離のコントロールが難しくなりますが、このアイアンはそんなに弾いて飛んで行ってしまう感じもなく高さも出るのでグリーンには止めやすいです。
また、シャフトは軽い割にはしっかりしていて曲がりにくく、ヘッドのやさしさを助けてくれます。ヘッドをわざと遅らせたりするなどコントロールもしやすく、ターゲットに対して球筋をコントロールしながらしっかりとねらっていけます。
打ち出しが高くキャリーで飛ばしグリーンをねらえる
アイアンは飛ばすクラブではなく止めるクラブなので、上がりやすさイコールやさしさです。
『PRGR 05アイアン』はロフトがそれほど立っているわけではなく、ミドルアイアンでもふつうに球が上がります。高さが飛距離につながっていて、ロフトよりも少しキャリーが出る印象で、距離の階段もしっかりと作ることができます。
また、スピン量がとくに多いわけではありませんが、ショートアイアンでもウェッジのような高さが出てねらったところに球が止まります。
ヘッドスピードを落としても十分高さが出るので、ハザード越えでもプレッシャーなく打っていけるところはありがたいですね。
PRGR 05アイアンがおすすめの人
『PRGR 05アイアン』を一番におすすめしたいのは少しパワーがなくて球の高さを出したい人です。ダウンブローに打てない人やリリースが速すぎてフェースの下の方に当たってしまう人でも、クラブがしっかりと球を上げてくれます。
アイアンセットの中で苦手な番手がある人にもおすすめできます。レングスが3種類しかなくて、ミドルアイアンもショートアイアンもそれぞれ一つのスイングで打てるので、どの番手もきちんとボールに当てられるようになるでしょう。
また、シャフトがフジクラの『MCI』なので、軽量スチールが少ししんどくなってきたけれど球筋を操作したいというシニア上級者にもぴったり。
まずはミドルアイアンだけ『PRGR 05アイアン』に替えてみるという使い方もありだと思います。
PRGR 05アイアンの評価
見た目のかっこよさ、打感のやわらかさ、操作のしやすさなど上級者が求める性能を満たしながら、ここまでやさしく飛ばせるアイアンは希有な存在です。とくに評価できるところは球の上がりやすさで、どの番手も必要な高さをクリアしてくれるので楽に飛ばすことができ、グリーンもねらいやすいアイアンです。
また、番手を持ち替えてもボールの位置を変えずに同じタイミングで打てるようにしているのはナイスアイデア。
『PRGR 05アイアン』はバッグに入れれば所有欲が大いに満たされて、ゴルフをかなり楽にしてくれるアイアンです。
テスター/高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
◆ 試打レビュー動画