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ボナリ高原 ゴルフクラブ|隠れた宝石 ― 倭奴國編― 第参回

行ってみたい! 時空のゴルフ旅

2021/11/08 ゴルフサプリ編集部

ボナリ高原 ゴルフクラブ|隠れた宝石 ― 倭奴國編― 第参回

新しい旅が始まる。いわゆる名門コースとか、ビッグトーナメントを開催したとかいうコースではなく、気軽に行けてプレーできて、なんとも言えない味わいがあるコースを見つけて訪ねる。まだまだあります!「隠れた宝石」のようなカントリー倶楽部が。

GOLF TODAY本誌 No.593 18〜21ページより

ボナリ高原 ゴルフクラブ|隠れた宝石 ― 倭奴國編― 第参回
磐梯山、安達太良山などがプレーヤーを幻想の世界に導く。

コースを軸にしてその土地の風景と空気感に価値を見出す

残暑の鬱陶しさから逃れて、ようやく涼秋を迎える時季が、ゴルフコースは最もその美しい風景を醸し出す。

緑一色のコースも鮮明で清々しいが、どこか哀愁のこもった眩しい黄金色に染まった枯葉の透明感や、山ぎわを紅く染める一葉の存在感が、一打を放つ白球の放物線を際立たせてくれる。

太陽の陽射しが、照れくさそうに斜めから差し込んで、その光と影のコントラストに、季節の移りかわり行く有様を体いっぱいに味わえるのが、この上ない喜びである。

ゴルファーにとって至福の時を感じる瞬間は、大自然の素晴らしい風景を背負ったコースでプレーしているときではないだろうか。

もちろん、その時に放ったボールが、ナイスショットならば、申し分ない。

「久しぶりに、ボナリ高原へいきたいね」

「都心からだと一泊が理想なんだけど、無理すれば日帰りもできる」

「いや、ここは贅沢をして一泊でしょう。朝夕の紅葉も見逃せないよ」

道中の会話は、ゴルフコースとその借景、背負っている風景の絶妙なコースを思い浮かべていた。

ボナリ高原 ゴルフクラブ|隠れた宝石 ― 倭奴國編― 第参回

もちろん、ボナリ高原ゴルフクラブも、その代表的だ。

福島県耶麻郡猪苗代町沼尻……東北自動車道・郡山JCTから磐越自動車道を利用して磐梯熱海ICで降りてから母成グリーンラインを経由して沼尻温泉・沼尻スキー場方面へ。インターチェンジから19キロに、ボナリ高原ゴルフクラブがある。開場は、平成12年6月。ちょうど21年前である。けれどもコースは、もっと昔からここにあったように溶け込み、メンテナンスも素晴らしい出来栄えとなっている。7010ヤード、パー72。設計は、ロナルド・フリームである。ここを訪れるのは、久しぶりだった。

僕とカメラマンの細田榮久さんは、かつて季節の変化に合わせてコースにやってきたことがある。

とりわけ秋の紅葉の季節は、コースへたどり着くまでの道すがらでも紅葉が鮮やかなトンネルをつくってくれて、その陽射しと紅葉の色彩を満喫しながらコースへと向かう至福のひとときがある。

ボナリ高原 ゴルフクラブ|隠れた宝石 ― 倭奴國編― 第参回
冷んやりとした空気と冷んやりとした水面に、紅葉の美しさがくっきりと映える。

ゴルフコースの魅力とは、なにを指すのだろうか。例えば、スコットランドのリンクスへ行けば、自然の造形といわれるコースそのものだけでなく、風や空気や、街並みや風景がリンクスというゴルフコースをより演出してくれる。また、アメリカンタイプのリゾートコースへ行けば、心が開放され、身も心も爽快感が待ちうけてくれる。

ゴルフコースの価値観は、確かにコースそのものの戦略性や審美性、印象深さなどさまざまあるけれど、やはりそのコースを軸にして包括するその地の風景と空気感ではないだろうか。

ボナリ高原ゴルフクラブに足を踏み入れると、大地にそびえ立つ自分に気がつく。磐梯山、安達太良山とその周辺を見渡すパノラマな風景が、思わず深呼吸してしまうほど爽快である。さらにその風景に溶け込んだクラブハウスの外観やインテリアが、今度は、ゆっくりと安らぎを覚える自分にしてくれる。

コースに出ると、上手い具合に喜怒哀楽を溶け込ませるホールレイアウトが、どんなレベルのゴルファーにとってもたまらなく魅力を感じるのである。

圧巻なパノラマで日本屈指と言われる3番ホール、486ヤード、パー5。うまく3オンを狙おうとしても、3打目は、高低差のあるバンカーに囲まれ、たやすく攻めきれない。このホールの風景にやってくるまでのプロローグがなんともいえない。穏やかな打ち下ろしの1番ホール。序曲のはじまりだ。そして次の2番ホール、パー3は、グリーンの向こう側に見える紅葉の山肌が、まるで絵画のようにみえる。そこを通り過ぎての3番ホールのダイナミックさだけに、ズシンと胸の奥底を打つような迫力がある。

「もう一度、プレーしたい」という気持ちの中に宿る情景とゴルファーとしての欲望は、きっとこういうことを言うのだろうと思ってしまうコースなのである。

こういうカントリークラブの風景が日本にもあったのかと思う。あるときはカナダのジャスパーやバンフの風景を思い浮かべ、また、あるときは、ハワイのラナイ島にあるコースを思い浮かべてしまうのである。

クラブハウスは、すべて木造で、贅沢なロッジを思い浮かべる。ハウスは、大きく3つに別れていて、中心が、フロント。コースに向かって左側がレストラン。右側がロッカールームになっている。

肌寒さは、レストランの暖炉の灯が、柔らかな暖かさを与えてくれる。

日本にいながら、日本にはない風景。コース設計家のロナルド・フリームさんも、きっとワクワクしながらこの地形にコースデザインしたのだろう。

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開場から21年を経て、いよいよ自然の中に溶け込んだ佇まいを見せるコースになってきている。
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フェアウェイ右サイドは断崖が続く3番ホール、530ヤードパー5。飛距離に自信がある方はショートカットを狙ってもいいが、2打目の距離もたっぷり残る。
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ホールアウト後にストーブの周りでラウンドを振り返っての談笑も楽しい。
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クラブハウスは、大きく3つに別れていて、真ん中がフロント。コースに向かって左側がレストラン。右側がロッカールーム。
ボナリ高原 ゴルフクラブ|隠れた宝石 ― 倭奴國編― 第参回
レストランの暖炉が、柔らかく心まで暖めてくれる。

コースデータ

●ボナリ高原ゴルフクラブ
●所在地 : 福島県耶麻郡猪苗代町沼尻2855
●開 場 : 2000年6月20日
●設 計 : ロナルド・フリーム
●概 要 : 18ホール、7010ヤード、パー72
●アクセス : 磐越自動車道/磐梯熱海ICから19km
*冬季クローズ(11月下旬~4月中旬)

三田村昌鳳
1949年2月24日神奈川県逗子市に生まれ。立正大学仏教学部を経て、週刊アサヒゴルフ副編集長ののち、1977年に独立。著書に「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など。2011年に「ブッダに学ぶゴルフの道」(中央公論新社)を発売。日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、オフィシャルライター。日本ゴルフ協会オフィシャルライター。日蓮宗の僧侶。


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