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青木瀬令奈の10億円プレーヤー宣言から見えてくるもの

資生堂レディスオープンでツアー3勝目!

2022/07/04 ゴルフサプリ編集部 小川淳子

青木瀬令奈

写真は2022年ダイキンオーキッドレディス時のもの(写真/相田克己)

「10億円稼げる選手になりたい」。資生堂レディスオープンでツアー通算3勝目を挙げた青木瀬令奈は、将来についてそう口にした。

プロゴルファーのあり方を確実に実践しながら、実績を積み上げている青木

通算11アンダーで2位に1打差単独首位でスタートした青木は、連続ボギーの出だしにも崩れることなく、3つスコアを伸ばして逃げ切り優勝。2017年ヨネックスレディス、2021年宮里藍サントリーレディスの過去2勝はいずれも逆転でのものだっただけに、違う形での勝利に「今後の自信になりました。甘さを捨てて勝ち取った1勝なので、今までとはまた大きく違う1勝でしたね」と感慨深く振り返った。

目標としている選手について尋ねられ、通算50勝の不動裕理の名前を挙げた時に出てきたのが冒頭の言葉だ。「小学生の時に追っかけをしていたくらい好きだった」と、背中を追う不動は、試合数こそ少ないが現在もツアーでプレーしている永久シード選手。これまでに13億6894万4382円を稼いで、生涯獲得賞金では、生涯獲得賞金ランキングNo.1に鎮座している。

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賞金は、ツアーの成長とともに年々上がっているため、時代が新しいほど効率よく稼げる。黎明期に活躍し、ツアー最多の通算69勝を誇る樋口久子が、生涯獲得賞金4億5410万9387円でランキング42位。通算44勝の岡本綾子でも5億7072万3745円で25位なのはそのためだ。

だが、賞金が高騰していく中でも、10億円以上稼いだ選手はたった6人しかいない。不動、全美貞、李知姫、申ジエ、アンソンジュ、横峯さくらの面々だ。

賞金が高くなると同時にフィールドが厚くなり、選手の意識も変わりつつある。長く活躍し続ける選手は明らかに減っている。それでも、10億円以上稼いでいる選手たちは不動も含めて現在も試合に出続けている。息の長い選手でなければ、それだけ稼ぐことは難しいことを証明している。

今大会の優勝で2160万円を獲得した青木は、これで生涯獲得賞金3億円を突破(3億1565万3908円=ツアー82位)。長い活躍をハッキリ意識しての10億円宣言は、この先の長い道のりをたたかいつづけることを誓ったものだ。

20代になったばかりの選手が毎年、入れ替わるように活躍する日本の女子ツアーで、来年2月に30歳になる青木は、中堅からベテランへと足を踏み入れようとしている。同じ1992年度生まれには実力者が多く、優勝を経験している仲間たちも多い。だが、成田美寿々、福田真未、堀奈津佳、香妻琴乃、葭葉ルミのいずれも、現在シード選手ではなくシード復帰に向けて必死で戦っている。それほど活躍を続けるのは難しい場所で、たくましく生き残っているのが青木瀬令奈だ。

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2015年に賞金ランキング27位で初めてシード権を獲得。初優勝では成田、香妻らに先を越されたが、息の長さという点では輝きを放っている。

その裏には、貪欲さを支える自己分析能力、忍耐力がある。これがセルフコントロールの源になっている。本人が”懺悔ノート“と呼ぶものに、毎日、様々なことを書き綴ることを続けてきたと打ち明けている。勝利に足りないもの、どうしたら勝てるのか…ということを考え続け、苦しんだ結果が今回の優勝だ。

今季のドライビングディスタンスは、平均222.63ヤードでツアー94位。ツアーNo.1の穴井詩(260.30ヤード)と比較すると40ヤード近く差があるが、それを十分に自覚してフェアウェイキープ率、パッティングを磨くことに力を入れている。キャディとしてもサポートする大西翔太コーチとも常にディスカッションしながら、自分と向き合っている。

4658人という最終日のギャラリーの中には、横断幕を持つ人たちだけでなく、青木のファンも多かった。ファンサービスには定評があり、コロナ前には毎週、多くのファンに取り囲まれていた青木。昨年の優勝は無観客で、青木もファンも寂しい思いをした。だからこそ、観客の前での優勝に「いい恩返しができたかな」と満面の笑みで両手を挙げて応えた。

己を知り、コントロールして、ファンを大切にする。プロゴルファーのあり方を、青木は確実に実践しながら、実績を積み上げている。この先も、一歩一歩、確実に歩んでいくに違いない。

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