大西翔太コーチが青木瀬令奈に教えたゴルフスイング向上ドリル
人気プロコーチの"80台が出る"即効スイング向上ドリルPART3
常に選手の近くで好不調を管理し、自身の持つ知識を惜しむことなく伝え、選手が誰よりも信頼をおくプロコーチ。今回はプロコーチとして実績を残す5名に、選手の悩みにどう答えたのか、2020年シーズンに向けてどんなアドバイスをしたのか、詳しく教えてもらった!
大西翔太
おおにし・しょうた
1992年生まれ。千葉県出身。2015年より青木瀬令奈のコーチ兼キャディとしてツアーに帯同。大西の指導により青木は30ヤードの飛距離アップに成功し、2017年には初優勝へと導く。ジュニアや女性など、幅広くレッスンを行う。
教えているのは→
青木瀬令奈(三和シヤッター工業)
あおき・せれな
1993年2月8日生まれ。群馬県出身。2015年から連続でシード権を守り続けている。2019年の賞金ランキングは35位。
青木瀬令奈テーマ|アイアンでフォローがキレイに抜けない!!
手首の「タメ」はダウンスイングで作るものではない
アイアンでフォローがキレイに抜けないのには、ヘッドの入射角に問題があります。彼女の場合、タメを強く作ろうとするあまり、ダウンスイングで腕を体に引きつけるような動きが極端になっていました。そうすると、インパクトで体が詰まってしまい、入射角は安定しません。
そこで、クラブの遠心力を使ってスイングできる自然なコックを作るために、切り返しからグリップエンドを外に押す意識を持たせました。グリップエンドを押すことで、切り返し時に手首は曲がった状態となります。すなわちコックが完成します。そこから体と一緒にダウンスイングするだけで、遠心力によってタメが解放され、スムーズにクラブがリリースされてインパクトできるので、入射角は安定し、フォローをキレイに振り抜くことができます。
○グリップエンドを外側に押すことでフトコロが生まれる
切り返しからグリップエンドを後方に押すことで手元が体から離れ、クラブの遠心力を使いやすくなるだけでなくフトコロが生まれて、振り抜きやすくなる。
×手元を体に引きつけることで上半身ごと突っ込んでいた
ダウンスイングで手元を体に引きつけて手首のタメを作ろうとしていたため、上半身が突っ込む形になってしまっていた。そのせいでインパクトで詰まって、入射角も悪くなり、フォローの抜けも悪かった。
【即効】コックの作り方体感ドリル
切り返し直後の手首の角度をキープしながら、キャディバッグにクラブを入れる
まずは自分の右足の隣にキャディバッグを置いてみよう。トップの形からグリップエンドを後方へ押したら、前傾姿勢を崩さずにそのままクラブを収納するように下ろす。
切り返しのタイミングで、グリップエンドを外に押せたら、ダウンスイングでも手首の角度をキープできる。
ここでクラブを体に引きつけて無理やりコックを作ろうとすると、ヘッドが垂れてリリースしてしまう。
青木瀬令奈テーマ|アイアンの方向性の精度をもっと上げたい!
方向性を上げたいなら大きな筋肉でスイングすること
青木の場合、方向性が定まらなくなったのは、手先でクラブを操作しようとしていたからでした。ピンに絡む球を打ちたいがあまり、手先で合わせにいっていたのです。最初はそれでも良いショットが打てるかもしれませんが、長続きはしません。方向性を安定させるためには、大きい筋肉を使った方が体の軸が安定します。
そこで、インパクトから体の大きな筋肉を使ってスイングするために、球を押し込むドリルを教えました。背中、お腹を使わなければ真っすぐ球が飛ばないこのドリルは、体をどこまで使っているのかを体感できるドリルにもなります。
[押し込み]ポイント1|手先でコネずにお腹をしっかり回す
手先や手首をコネて球を飛ばそうとすると、球は前に飛びません。グリップエンドとお腹を常に向かい合わせたまま体を回してみましょう。
[押し込み]ポイント2|前傾が崩れると球は左右に飛ぶ
球を真っすぐ飛ばすことが大事になるドリルです。左右に球が散ってしまう場合、前傾姿勢がキープできていません。前傾姿勢が崩れることでフェースの向きが開閉してしまうので、球は真っすぐ飛びません。
【即効】球の押し方体感ドリル|インパクトの形から、真っすぐに球を押し込んで飛ばす!
ステップ1|インパクトの形を作ることからスタート
ここで大事になってくるのが肩のライン。インパクトの時に腰が回ることによって、右肩が前に出てくる人が多いので、肩のラインは飛球線方向を向くようにしましょう。
ステップ2|あとは球を「押し込んで」飛ばすだけ
アイアンであれば番手は何番でもOK。約30ヤードくらい真っすぐ飛べば、フェースに球が乗っている感覚がつかめます。左右へ飛んでしまう時は、フェースの向きを確認しましょう。
青木瀬令奈プロブレム|パターが全く入らなくなった!
セルフチェックで「つもり」を消すことが大事
パターが入らない時、まずは自分のイメージしているストロークと実際のストロークがどこまで同じかを確認することが大事です。そこで両目をつぶってストロークします。ここでわかるのはインに上げていた「つもり」だったのに実際はアウトに上がっていたり、両足に均等に重心を置いていた「つもり」だったのに実際は右足に偏っていたり。と、自らの視覚を奪うことでイメージと現実の違いがわかるということ。
イメージと現実が違う場合、体のどこかが力んでいることがほとんどです。その力んでいる場所を探すためのセルフチェックなので、パターの調子がいつもと違ったり、ストロークの感覚が違うと朝の練習で感じた時に、簡単にチェックできるので、ぜひ試してみてください。
[青木の場合]右手1本での軌道のブレを感じたのでグリップの握り方を再確認
ヘッドがアウトサイドに上がる時は、右手親指にプレッシャーがかかってることが多い。
右手の親指にプレッシャーがかかっていたので、バックスイング時にヘッド軌道がアウトサイドにズレていました。そのプレッシャーを薬指、小指に変えて何度もストロークして修正し、初めて自分の中のイメージと実際の軌道が合いました。(青木)
目をつぶったままストロークしてみよう!
視覚から得られる情報を全てシャットダウンすることによって、自分のストロークの中でどこに力が入ってしまっているかわかる。
軌道がブレると感じたら→片手ずつストロークして、どちらの手がイメージと合わない動きをしているか確認!
大半のアマチュアは、左右どちらかの手に力が入ってしまっています。グリップを強く握ってしまっていたり、極端にワキが開きすぎていないかチェックしましょう。
体がブレると感じたら→片足ずつストロークして、どちらの足の方がブレてしまうか確認!
足に違和感を覚える場合は、ヒザを大きく使っていたり、どちらか片方の足に重心が偏っていたりすることが大半です。どちらの足でも、片足でストロークできるようにしましょう。
GOLF TODAY本誌 No.574 36〜41ページより
【人気プロコーチの"80台が出る"即効スイング向上ドリルシリーズ一覧】
●PART1:目澤秀憲コーチが河本結に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART2:石井忍コーチが大西葵に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART3:大西翔太コーチが青木瀬令奈に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART4:三觜善一コーチが辻梨恵&髙木優奈に教えたゴルフスイング向上ドリル
●PART5:阿河 徹コーチが森田遥&金田久美子&塩見好輝に教えたゴルフスイング向上ドリル