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我慢比べを制したのは、常に冷静だった21歳の山下美夢有!ツアー最年少で年間賞金女王戴冠

伊藤園レディスを制し、21歳103日というツアー最年少で年間賞金女王に!

2022/11/14 ゴルフサプリ編集部 真鍋雅彦

伊藤園レディスを制した山下美夢有

伊藤園レディスを制した山下美夢有

上田桃子、山下美夢有、岸部桃子の最終組の3人が優勝争いを繰り広げた伊藤園レディスの最終日。強風が吹き荒れる難しいコンディションの中、我慢比べの様相を呈したが、最後まで乱れなかったのは、3人の中で最も若い山下美夢有だった。
写真/相田克己

息が詰まるような展開になった最終日

2007年の賞金女王で、ツアー17勝(海外を含む)を誇る36歳の上田桃子。今季3勝でメルセデス・ランキングでもトップを走る20歳の山下美夢有。2012年プロ入りの84期生ながら、ステップ・アップ・ツアーでの優勝(2回)しかない28歳の岸部桃子。

最終日、全く異なるキャラの3人がしのぎを削った最終組の戦いは、18番ホールまでもつれた。

スタート時点では、上田13アンダー、山下11アンダー、岸部10アンダーで上田が一歩リード。しかし、2日目に8アンダーという自己ベストタイの64をマークした上田も、この日はショット、パットとも安定せずなかなかスコアを伸ばせない。

じりじりした展開の中、岸部が5番パー5と7番パー3でバーディを奪い2位に浮上した。
次にスコアが動いたのが12番パー3。上田、岸部がともにボギーを叩き、このホールが終わった時点で上田12アンダー、山下、岸部が11アンダーと、その戦いはますます我慢比べの様相を呈してきた。

そして迎えた15番パー5。ティショットで最も距離を稼ぎ、セカンドショットも3人の中では一番グリーンに近づけた上田がサードショットを寄せきれず、パットもカップの縁で止まるという不運もあってパー。バーディを奪った山下と岸部に並ばれた。

「あとひと転がり…」に気落ちしたわけではないだろうが、上田は16番で右の林に入れてこのホールをダボとしてしまい、一歩後退した。

続く17番はピンまで204ヤードの長いパー3。山下は、無難に右サイドにオンしたが、5Wを手にした岸部はボールが風に乗ってしまいグリーン奥のラフへ。大事なパーパットも外してしまい、残り1ホールでこの日初めて山下が単独トップに立った。

3人の中で最も忍耐強かったのは、最年少の山下だったということだろう。

ガッツポーズをする山下美夢有
ガッツポーズをする山下美夢有

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ミスが最も少なかった山下が勝利をたぐり寄せる

「メチャクチャ緊張していました」。試合後、そう語った山下だったが、正直言ってそんなふうには見えなかった。

この日は、フェアウェイを外したのが2回だけ。パーオン率はなんと100%とショットは切れていたが、18ホール中1パットはバーディを取った15番だけで、あとはすべて2パットとパッティングに苦しんだ。しかもショートする場面が多く、相当イライラが募っていたはずだ。

しかし、そのことでプレーを乱すことはなかった。小気味のいいスイングでグリーンを狙い、いつも通りリズム良くストロークをする。3人の中で最も冷静に、淡々とプレーをしていると感じた人も多かったのではないだろうか。

特に印象的だったのは、17番パー3のグリーンでのプレーだった。長いバーディパットをナイスタッチで“OKバーディ”のところまで寄せ、そのままタップインするものと思いきや、彼女はマークをしてボールを拾い上げ、キャディにボールを吹いてもらったあとリプレース。きちんと構えを作ってカップに沈めた。

終盤強めの雨が降り、グリーンが濡れていたということもあったと思うが、あの緊迫した場面でも冷静さと集中力を失わず、自分が今やるべきことをしっかりやり遂げているような気がした。

その落ち着きは18番パー4でも発揮された。30m超の長いファーストパットを寄せきれず、3メートルのパーパットが残り、外せば岸部とのプレーオフという状況に追い込まれたが、これを当たり前のように決めて優勝を手にした。

そのプレーをじっと見ていた岸部が、「入れてくると思っていた」とコメントしていたが、確かに外しそうな気配はみじんも感じられなかった。

山下美夢有選手のフィニッシュ
山下美夢有選手のフィニッシュ

上田桃子を抜き、史上最年少の年間女王記録を樹立

今季4勝目&通算5勝目となったこの日の優勝で、21歳103日というツアー最年少での年間女王も獲得。それまでの記録保持者が、この日優勝争いをした上田(21歳156日)だったというのも何かの縁(えにし)というべきか。

今季は目標にしていた国内メジャー(ワールドレディスサロンパスカップ)で優勝。6月の宮里藍サントリーレディスから8月のニトリレディス(2位)まで8戦連続のトップ5入りと日本人選手最長記録を樹立。さらに3位になった日本女子オープンまで13戦連続でトップ10入りを果たすなど、常に安定したプレーを披露した山下。31試合出場してトップ10入り20回という数字からもその凄さがわかる。

余談だが、身長150センチは現在のツアーメンバーの中では最も小柄で、歴代年間女王の中でも最も小さい。
「将来は海外挑戦も」と口にしていたが、“小さな巨人”のさらなる活躍に期待したい。

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