アイアンの愛称は現在のアイアンとリンクしないのに無理矢理の定説に注意!

アイアンにも過去に使われていた愛称があります。現在は死語化して使うことはありませんが、アイアンの愛称は検索すると簡単に発見することができます。しかし、残念なことにその情報のほとんどは、不正解で正しいとは言えないものばかりなのです。

ゴルフ黎明期から20世紀の初頭まで、いわゆるトップレベルの有名なゴルファーのクラブの総本数は7本から9本程度だったのです。キャディバッグは一般的ではなく、キャディはそれらのクラブを小脇に抱えて運んでいました。

その中には、ドライバーなどのウッドもパターもありました。つまり、アイアンは今とは違って、3本から5本程度だったわけです。同じクラブでいろいろなボールを打って、飛距離もテクニックで調整するのがゴルファーの腕の見せ所でした。

その頃に使われていた愛称が、存在しなかった1番アイアンから9番アイアンまでピタリと当てはまるのは不自然です。わかりやすくするために、無理矢理に当てはめたものがネットには正解として蔓延っていて、ゴルフの歴史も好きな一人としてはとても残念なのです。

アイアンの愛称について正確な情報を知と、見えてくるものがある!

時代背景を反映したうえで、現在のアイアンとアイアンの愛称は以下のようにリンクします。

● 3番アイアン:ドライビングアイアン(Driving Iron)
● 4番アイアン:ミッドアイアン(Mid Iron)
● 5番アイアン:マッシー(Mashie)
● 7番アイアン:スペード(Spade)
● 9番アイアン:ニブリック(Niblic)

正直に書くと、これらもかなり怪しいのです。実際に名手が使用していたアイアンで残っているものがありますし、文献などにも愛称は出てきます。しかし、例えばマッシー(5番アイアン相当)も、ロフトは現在の5番から9番くらいまでに該当するように、いろいろな種類があり、職人によっても様々なのです。

使い手に合わせてカスタマイズされているからだと、考えられます。クラブの長さに関しては、もっとバラバラです。つまり、グリーンまでまあまあ距離が残っているときに使うアイアンがマッシーだったわけで、スペックが決まっていたわけではありません

ハーフセットのような感じですが、ゴルファーによってはこの間に該当するアイアンを使用することもありました。その場合は、前後の愛称を合体させて愛称にしました。例えば、マッシーとスペードの間は、スペードマッシーです。

また、その愛称よりも一つ上という意味で、後ろに「アイアン」をつけるパターンもあります。マッシーアイアンといえば、4番アイアンに相当するというわけです。

Q:この中で、最も多く作られたアイアンはどれでしょう?

正解は…二ブリックです。

遙か昔から、グリーンの近くに行くほどスコアに直結するから重要で、こだわりがあった証拠だと考えられています。現在のゴルファーのバッグの中に、ウェッジがたくさん入っていることと基本は同じです。

「52度、お願いします」とかウェッジをロフトの角度で呼んでいますが、愛情を込めて自分だけの愛称で呼んだら、機能以上に結果を出してくれるかもしれません。実際にそういう効果を実感しているトッププロもいると聞きます。

クラブの愛称も元々は、ゴルファーやクラブ職人が愛情を込めて自分のクラブを呼んだものが定着したのだと考えられています。

大好きなアイアンの番手を愛称で呼んでスコアアップしよう!

アイアンに番手の数字がついてセットとして売られるようになったのは、スチールシャフトが公認されて、大量生産ができるようになった20世紀中頃からです。第一次世界大戦と第二次世界大戦が、飛躍的に工業化を進化させた結果なのです。

その頃の番手のロフトに明確な基準はありませんでしたが、残されているアイアンを確認すると、現在のアイアンよりもビックリするほど寝ていたことがわかります。

1980年代後半にボールの進化などもあって、アイアンのロフトはそれ以前と1番手ほど立ったものがベースになります。そのロフトを現在ではクラシックロフトとか、プレーンロフトとか呼ぶことが普通になりました。ツアープロ用に開発されたマッスルバックアイアンなどが、現在でも該当します。

21世紀に入ってもうすぐ四半世紀になりますが、現在主流のアイアンのロフトはクラシックロフトよりもさらに1番手立っています。20世紀中頃の7番アイアンと、現在の9番アイアンのロフトはほぼ同じなのです。

アイアンが上手くなりたい、という相談をされたときに、得意な番手を作れ、とアドバイスします。得意な番手が1本あれば100が切れますし、2本あればシングルハンディになる可能性も高まります。得意な番手のアイアンは、ゴルファーの実力を底上げしてくれるのです。

得意なアイアンを、自分だけがわかる愛称で呼ぶようにしましょう。愛着が増すほど、自信も深まります。ピンチのときほど愛称を付けたアイアンは、持ち主を助けてくれるはずです。愛称で秘かに呼ぶアイアンとの関係を深めるために重ねるラウンドは、絶対に無駄にはならないのです。




篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


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