愛着のある得意な番手が1本あれば100切りできる!マッシー、スペード、ニブリック...アイアンの別名、いくつ知ってる?
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第72回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
アイアンの愛称は現在のアイアンとリンクしないのに無理矢理の定説に注意!
アイアンにも過去に使われていた愛称があります。現在は死語化して使うことはありませんが、アイアンの愛称は検索すると簡単に発見することができます。しかし、残念なことにその情報のほとんどは、不正解で正しいとは言えないものばかりなのです。
ゴルフ黎明期から20世紀の初頭まで、いわゆるトップレベルの有名なゴルファーのクラブの総本数は7本から9本程度だったのです。キャディバッグは一般的ではなく、キャディはそれらのクラブを小脇に抱えて運んでいました。
その中には、ドライバーなどのウッドもパターもありました。つまり、アイアンは今とは違って、3本から5本程度だったわけです。同じクラブでいろいろなボールを打って、飛距離もテクニックで調整するのがゴルファーの腕の見せ所でした。
その頃に使われていた愛称が、存在しなかった1番アイアンから9番アイアンまでピタリと当てはまるのは不自然です。わかりやすくするために、無理矢理に当てはめたものがネットには正解として蔓延っていて、ゴルフの歴史も好きな一人としてはとても残念なのです。
アイアンの愛称について正確な情報を知と、見えてくるものがある!
時代背景を反映したうえで、現在のアイアンとアイアンの愛称は以下のようにリンクします。
● 3番アイアン:ドライビングアイアン(Driving Iron)
● 4番アイアン:ミッドアイアン(Mid Iron)
● 5番アイアン:マッシー(Mashie)
● 7番アイアン:スペード(Spade)
● 9番アイアン:ニブリック(Niblic)
正直に書くと、これらもかなり怪しいのです。実際に名手が使用していたアイアンで残っているものがありますし、文献などにも愛称は出てきます。しかし、例えばマッシー(5番アイアン相当)も、ロフトは現在の5番から9番くらいまでに該当するように、いろいろな種類があり、職人によっても様々なのです。
使い手に合わせてカスタマイズされているからだと、考えられます。クラブの長さに関しては、もっとバラバラです。つまり、グリーンまでまあまあ距離が残っているときに使うアイアンがマッシーだったわけで、スペックが決まっていたわけではありません。
ハーフセットのような感じですが、ゴルファーによってはこの間に該当するアイアンを使用することもありました。その場合は、前後の愛称を合体させて愛称にしました。例えば、マッシーとスペードの間は、スペードマッシーです。
また、その愛称よりも一つ上という意味で、後ろに「アイアン」をつけるパターンもあります。マッシーアイアンといえば、4番アイアンに相当するというわけです。
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