ゴルフ場の貴重品ボックスは使う?使わない?貴重品は財布だけではないことを意識して楽しいゴルフを!
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第73回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
ナイターに出た幽霊?大事な貴重品を確実に守る最高の方法は?
ナイターゴルフの照明はフェアウェイやグリーンなどのメインの場所だけを照らしていて、大きく曲げると、ラフでも暗くてボールを見つけるのは困難です。
実際に体験した話
バブル期のある夏の夜のことです。ナイターゴルフでの出来事。
ラフに落ちたボールを探しに行った仲間が、「ひぇー」と悲鳴を上げました。慌てて向かっていくと、髪を取り乱した女性が暗がりに立っていました。「すみません。ダイヤがたくさん付いた○○の腕時計。落ちていませんでしたか?」消え入りそうな小さな声でした。
仲間は幽霊だと思って悲鳴を上げたようで、一瞬、番町皿屋敷(「いちまーい、にまーい」とお菊さんの怨霊が皿を数える怪談)を思い浮かべました。
後日コースのスタッフに聞いたところ、その女性が落とした腕時計は、有名ブランドが作った世界で一つだけの特注品だったそうです。彼女はその夜、朝まで探し回ったけれど、時計は結局見つかりませんでした。念のため警察に届けを出した数日後、彼女の同伴者がその時計を質屋に持ち込んで犯人確保となり、一件落着だったとか。
ゴルフコースに貴重なものを持ち込んで盗難に遭ったり紛失したりする話は珍しくありませが、昭和、平成、令和と長い間伝承されている、100%被害に遭わない方法は一つだけです。
なくなって困るような貴重品はゴルフコースに持ち込まない!それで全て解決です。
貴重品ボックスの歴史と正しい使い方
貴重品を持ち込むなといわれても、財布など必要不可欠なものはあるわけです。ではどうすればいいのかというと、ゴルフコースが利用を奨励している"貴重品ボックス"の出番です。
バブル期まではフロントに申し出て専用の袋をもらい、貴重品を入れて封をしたのちフロントに預かってもらう仕組みでした。貴重品が入った袋はカギがかかるキャビネットに保管され、料金を支払うときに交換する札(袋とセットになっている)にサインをして戻してもらう方式だったのです。
その後、財布などの小さなものは貴重品専用のロッカーに入れるようになって、徐々に現在の貴重品ボックスのように暗証番号でロックするタイプになり、カードホルダーと連動してセキュリティを高めたものになりました。
次ページ:悲劇を起こさないために大切なこと
次のページ