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ゴルフのコックとは?手首の向きや使い方、ほどかない練習方法

2024/01/05 ゴルフサプリ編集部

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ゴルフスイングには“コック”と呼ばれる手首の動作があります。この動作をスイングに取り入れると、いくつかの利点を得られます。

利点があるとはいえ、コックを意識的・能動的に行わないプロゴルファーもいます。そこでこの記事ではコックにフォーカスして、いろいろとお話をしていきたいと思います。

コックを使うべきか否か…もし迷っているのなら、一読して参考にしてください。

目次

ゴルフのコックとは

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ゴルフスイングにおけるコックとは、一般的には親指の方向に手首を曲げる「とう屈」という動作をいいます。この動作が正しく使えると飛距離が伸びる、ボールがつかまるなど、いくつかの利点があるといわれています。

積極的にコックを使うことをすすめるコーチもいれば、逆にすすめないコーチもいるため、取り入れるか否かは、その人次第です。

ポイント

  • なぜコックが必要か
  • コックのしすぎ(手首の固めすぎ)はよくない
  • コックとヒンジの違い

なぜコックが必要か

一般的にコックが必要か不要かは、考えが別れるところです。
コックが必要と考えているレッスンプロやティーチングプロ、ツアープロなどは、

  • ヘッドスピードがアップする
  • 飛距離アップの可能性が広がる
  • フェースローテーションを発生させやすい
  • ボールをつかまえやすくなる…etc

といった理由からのようです。

コックは必要と考えている人でも、積極的に使う必要はなく、自然に発生するもの、といった考えの人もいます。逆にコックは積極的に使うべき、という考えの人もいます。

コックは不要という考えの人もいて、いわゆるノーコックでスイングすることを推奨する人もいます。

このことから、スイングにおいてコックが必要なのか不要なのかは考え方次第です。いろいろ試してみて、結果がよいほうを選べばいいでしょう。

コックのしすぎ(手首の固めすぎ)はよくない

ゴルフのスイングに正解はありません。そのため手首を固めてスイングしても、結果がよければ何も問題ありません。

ただし一般的にアベレージゴルファーと呼ばれる人たちは手首をしっかりと固めて、なおかつグリッププレッシャーが強い傾向があります。こうなると腕や手にムダなチカラが入りやすくなり、そのことでクラブをしなやかに、そしてスピーディーに振ることが難しくなります。

その結果、飛距離が伸びないといったことにもつながりかねないので、固めすぎるのはあまりおすすめできません。

とはいえ、手首をがっちり固めて、上半身のチカラや腕力でボールをぶっ叩いて、よい結果につながる人は、それはそれでOKです。

前記したコックが必要か不要かと同じで、手首を固めても、固めなくても、その人がよいショットを打てるなら、どちらでもかまいません。

コックとヒンジの違い

ゴルフスイングにおけるコックは、前記したように手首を親指方向に曲げる「とう屈」の動きを指します。

ゴルフスイングにおけるヒンジは、右手首を甲側に曲げる「背屈」の動きを指します。
コック同様に、ヒンジの動きを使ってスイングすることをすすめるコーチ等もいます。逆にあまりすすめないコーチ等もいます。

コックやヒンジを使う、使わないで迷っていたり、悩んでいるのなら、スクールやレッスンでコーチからアドバイスをもらうのが解決への近道です。

ちなみに、野球でボールを投げるときもテニスでボールを打つときも、必ずといっていいほど手首を使います。よくスナップといわれるような動きがたいてい発生します。

ゴルフスイングもこれらと基本的には同じ。ですので、手首を使ったほうが、ある意味、ナチュラルではあります。

ゴルフで正しいコックの使い方がスイングに与えるメリット

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ここではゴルフのスイングをするうえでコックを使うとどのようなメリットがあるか。そしてコックの使い方についてお話しします。いまいち、コックが理解できない…という人は参考にしてください。

ポイント

  • コックをすると飛距離アップが期待できる
  • リリースすることでスライス防止につながる

コックをすると飛距離アップが期待できる

コックにしろ、ヒンジにしろ、バックスイング時に手首を曲げると、ダウンスイング時に曲げた手首が真っすぐに戻る動きが発生します。

この動きは野球のスローイングでいうところのスナップを利かせる動きとよく似ています。
スローイングではスナップが利けば、そのぶん、速いボールを投げられます。

ゴルフではコックしたものが、元に戻る動きによってヘッドスピードがアップして、そのぶんボールに伝わるエネルギーが大きくなり、飛距離アップできると考えられています。

リリースすることでスライス防止につながる

一般的にコックを使ってスイングをすると、フェースローテーションを伴ったスイングになりやすいと考えられています。

そしてフェースローテーションが発生すると、ボールをつかまえやすくなるためスライス防止に効果的といわれます。コックはバックスイング時の動きなので、ダウンスイング時に理想的ともいえるリリースをしなければフェースはローテーションしません。

ですので、コック=スライス防止とはいえません。ここを勘違いすると、スイングそのものが狂ってしまう危険があるので注意が必要です。

ゴルフスイングのコックの作り方・使い方

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ここでは一般的・普遍的なゴルフのスイングにおけるコックの作り方・使い方をお話しします。
コックのことがよくわからないと感じているアマチュアのみなさんは、ぜひ参考にして、よりよいスイング作りに役立ててください。

ポイント

  • スイング中のコックの動き
  • コックを作るタイミング
  • コックの向きや方向
  • コックの手首の角度

スイング中のコックの動き

スイングする際のコックの仕方と手首の動きを紹介します。

ここで紹介するのはあくまでも一例です。他の方法を推奨するコーチ等もいるので、いくつかの方法を試してみて、自分に合ったやり方を見つけることが大切です。

アドレス

一般的に基本といわれるアドレスを作ります。コックをより理解するために、グリップはウィークグリップをおすすめします。ウィークグリップなら親指方向へ曲げるとう屈を容易に理解できます。

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テークバック

カラダを右へ回転させながら、手首を親指方向へ曲げて、シャフトが地面と平行になる位置までバックスイングします。クラブがこの位置にくるまでに、コックを完了させることが基本です。

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トップ〜切り返し

トップから切り返しでは、バックスイング中に作ったコックを維持することが大切です。いわゆる下半身リードで切り返すことが重要で、これを意識すればコックを維持することが容易になるでしょう。

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ダウンスイング

ダウンスイングでもコックは維持しつづけます。維持できれば、できるほど、いわゆる“タメ”をキープでき、ボールに強いチカラを伝える可能性が広がり、飛距離アップの可能性もまた広がります。

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インパクト

インパクトの手前から徐々にコックは解けはじめますが、インパクトで手首が真っすぐになることはまずありません。わずかですがとう屈されていて、なおかつ背屈もされているのが理想です。

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フォロースルー〜フィニッシュ

インパクト後、コックは完全に解けます。そして手首が真っすぐに伸びるのが理想です。インパクトの前にコックが解けて、手首が真っすぐに伸びると、ダフってしまうので注意が必要です。

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コックを作るタイミング

コックを作るタイミングは人それぞれです。特に正解はありません。あなたがスイングしやすいタイミングで行えばOK。ただ一般的にタイミングによる効果があると言われますので、ここではそれを紹介します。

アーリーコック

アーリーコックは、一般的にコックの動作でバックスイングを開始したり、バックスイング開始から間もなくコック動作を行うことを指します。

アーリーコックのメリットは、一般的にダウンスイング時のクラブヘッドのアタックアングル(入射角)を鋭角にしたいときに有効と言われます。

状況としてはバンカーショットやベアグラウンド、ディボット跡などからショットをするケースが挙げられます。

デメリットは、一般的に手打ちになりやすいと言われます。初心者や初級者でバックスイングのときに、クラブを持ち上げたり、担ぎ上げたりする人は、たいていオーバースイングになります。

コックの動作でバックスイングを開始して、コック完了後カラダや肩を回転させる意識にするとコンパクトなトップを作りやすくなります。

レイトコック

レイトコックは、一般的にバックスイングの後半やトップ付近でコックの動作を行うことを指します。

レイトコックのメリットは、一般的にスイングアークが大きくなり、飛距離アップの可能性が広がると言われます。デメリットは、一般的にコックを行うタイミングが取りづらいと言われているようです。

初心者や初級者で手や腕の動きだけでバックスイングをする人は多いもの。そんな人はレイトコックを意識してみましょう。この意識があると、カラダの回転でバックスイングするイメージをつかみやすく、小手先を使ったバックスイングの修整に役立つでしょう。

前記したようにレイトコックはスイングアークが大きくなりやすいので、ゆったりしたテンポでスイングしたいと考える人にマッチするかもしれません。

コックの向きや方向

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親指の方向に手首を曲げればいい

ここまでに説明したように、一般的にコックは親指の方向に手首を曲げる「とう屈」という動作になります。そのためコックの向きも方向も、親指の方向に手首が曲がることになります。

コックをする際、特に向きや方向を気にする必要はありません。単純に手首を親指の方向へ曲げさえすればOKです。

初心者や初級者でコックをするときに前腕を回内させたり、回外させたりする人がいますが、そのような複雑な動作はあまりおすすめしません。ムダな動きをセーブして、シンプルに親指方向へ手首を曲げましょう。

コックの手首の角度

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コックをするときに角度を気にする必要はない

コックをする際の角度は特にありません。手首がどの程度曲がるかは、人によって違います。そのため角度を気にする必要はまったくありません。単純に親指の方向へ手首を曲げればいいのです。

もしレッスンプロやティーチングプロに「コックするときは手首を90度曲げてください」と角度を指示されたら、その人のレッスンはやめたほうが身のためです。

コックのリリース位置やタイミングのポイント

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できるだけタメをキープする意識をもつ

リリースする位置やタイミングは人それぞれです。特に正解はありません。ただし、これらの位置やタイミングが遅ければ遅いほど、いわゆる“タメ”をキープした状態が長くなるため、インパクトでボールに伝わるチカラが大きくなり、飛距離アップの可能性が広がるかもしれません。

初心者や初級者はもちろん、ほとんどのアマチュアゴルファーはリリースの位置やタイミングが早いというより、ダウンスイングの早い段階でコックがほどけます。いわゆる“キャスティング”です。

これだとボールが飛ばないのは当然のこと、ダフりにつながるため注意が必要です。したがってリリースの位置やタイミングは、できるだけ遅くする意識をもつほうがいいかもしれません。

正しくコックを使えているスイング画像

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シャフトが地面と平行になったとき左腕とシャフトがおよそ90度ならOK

一般的・普遍的に標準・基本といわれるコックをした場合、どのようなスイングになるかを紹介します。

ポイントとなるのはトップ時の左腕とシャフトがつくるおよそ90度の角度です。この角度をキープしたまま、ビジネスゾーンまでダウンスイングをしている点が最大のポイントです。

つまりバックスイングのときに正しい(標準・基本)といわれるコックをつくっても、ダウンスイングの早い段階でコックがほどけてしまったら、コックをつくる意味はありません。

ゴルフ初心者に多いコックのミスや注意点

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ここまで、コックの作り方や使い方、コックを使った正しいスイングを解説してきました。ここからは、ゴルフ初心者に多いコックのミスや注意点を解説していきます。うまくいかない場合にぜひ参考にしてみてください。

ポイント

  • 一般的に右手首は「とう屈」+「背屈」のカタチになる
  • 左手首は「掌屈」が加わる人もいる

一般的に右手首は「とう屈」+「背屈」のカタチになる

一般的にコックは手首を親指の方向に曲げる「とう屈」ですが、スイングするために実際にこの動作を行うと右手首は自然と「背屈」も起こります。

左手首は「とう屈」するだけですが(人によっては『掌屈』が加わることもあります)、右手首は「とう屈」と「背屈」の両方が発生したカタチになります(背屈の度合いは人によって変わります)。

簡単にいうと手首はぐるぐる回る関節なので、一定の方向だけに曲がるわけではありません。コックしたときの左右の手首の角度等が間違っていないか、迷ったときにはレッスンなどでコーチ等からチェックしてもらいましょう。

左手首は「掌屈」が加わる人もいる

前記したように、一般的にコックは手首を親指の方向に曲げる「とう屈」ですが、スイングするために実際にこの動作を行うと左手首は、人によって「掌屈」も自然と発生することがあります。

手首はぐるぐる回る関節なので、とう屈に掌屈が加わることも多々あるのです。
したがって、手首が曲がる方向に執着することはありません。単純に親指の方向に手首を曲げればOKです。

それでも不安なときは、レッスンプロやティーチングプロなどからチェックしてもらいましょう。

コックをほどかないゴルフスイング練習方法

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コックのカタチを保ってインパクトする

ダウンスイングの早い段階でコックがほどけることをキャスティングといいます。

一般的にキャスティングは「エラー動作」と考えられていて、ダフりをはじめとしたさまざまなミスの一因になるといわれています。そのためスイング中は、コックがほどけないようにできるだけ我慢することが大切です。

コックをほどかないための練習方法としておすすめなのはハーフスイングです。振り幅は9時から3時。コックを維持したままボールを打てばいいだけです。

ティアップすると比較的簡単に打てるため、まずはそのやり方で試してみましょう。慣れてきたら地面にボールを置いて行いましょう。

コックしない「ノーコック」の打ち方もある

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コックを能動的に行わずにスイングするのもアリ

コックをしないで打つ、というツアープロもいます。いわゆる「ノーコック」と呼ばれる打ち方です。

ノーコックで打つツアープロの手首がまったく曲がっていないかというと、多少は曲がっています。つまり意識的にはノーコックということです。

一般的にノーコックはボールコンタクトが安定するといわれます。そして安定する代わりに飛距離が出にくいともいわれます。ノーコックで飛距離が出るツアープロもいますし、ノーコックでミスヒットばかりのアマチュアもいます。

つまり、何がよいかは不明です。いろいろと試してみて、自分に何が合っているのかをつかむことが大切というわけです。

ノーコックを試してみたいなぁと思ったら、女子プロの人気プレーヤー、笠りつ子プロを参考にしてみましょう。YouTubeで検索すれば彼女のスイング動画があるはずです。一見の価値があると思います。

ゴルフのコックについておさらい

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スイングに正解はありません。自分が思ったところにボールを打てれば、それがあなたにとって正解のスイングです。

コックもまた然り。アーリーコックもレイトコックもノーコックも、あなたのゴルフによい結果をもたらすものを採用すればいいのです。

トライ&エラーを繰り返していると、何が自分に合っているのか。自分には何ができそうか。こういったことが少しずつわかってきます。わかってくればあなたのスイングも少しずつ固まってくるのでは?と思います。


宮川岳也

■解説者プロフィール

宮川岳也(みやかわ たけや)
ゴルフ雑誌編集記者を経て、フリーランスのゴルフライターへ。USGTFティーチングプロ資格を有し、現在は埼玉県の練習場でレッスン活動も行っている。