LPGAツアー開幕!畑岡奈紗は「パリ五輪にピークを持っていきたい」
2023年の総括と2024年に向けて・スペシャルインタビュー
1999年1月13日生まれ、24歳、茨城県出身。11歳でゴルフをはじめて、2016年に17歳(アマチュア)で「日本女子オープン」史上最年少優勝。2017年から米国女子ツアーに挑戦して通算6勝。2023年の米国ツアー賞金ランキングは8位。世界ランキングは16位。
米国ツアー挑戦6年目を終えた畑岡奈紗が12月上旬にアディダスゴルフのイベントに参加。2023年は優勝こそなかったが、賞金ランキング8位に入る安定した活躍を見せた。貴重なインタビューでは2023年を振り返りつつ、2024年への想いを語ってくれた。
GOLF TODAY本誌 No.620/138〜139ページより
取材・構成・文/野中真一 撮影/落合隆仁
バーディ数1位の秘密と、パリ五輪への想い。
バーディを狙って外したときが課題
―今シーズンを振り返っていかがでしたか?
畑岡 勝てなかったことはもちろん悔しいです。シーズンを通してあまり調子がいいという感じではありませんでしたが、なんとかスコアをまとめられた感じです。
―24年以降も続けていきたいことは?
畑岡 続けていきたいのはバーディ数です。2022年シーズンが2位で、2023年シーズンが1位だったので2024年も続けていきたいです。米国ツアーはバーディをドンドン獲らないと勝てないツアーだと思います。1年間に1勝以上することは毎シーズン目標にしています。
―改善したいことは?
畑岡 積極的にバーディを狙っていくためにピンを狙っています。でも、ショートサイド(グリーンの狭いサイド)を狙ってミスしたときはグリーンを外してしまう。そこからでも、しっかりとパーセーブできるようなアプローチをできるようになりたい。
―バーディ数1位になれた1番の要因は?
畑岡 ショットが良かったと思います。本当はミドルアイアンでもう少し高さが欲しいと思っているのですが、狙い方としてはチャンスにつけられるようになったと思います。
―2017年から米国ツアーに参戦してきて、ツアー自体も変わってきていますか?
畑岡 全体的に選手の飛距離は伸びていると思います。正確な数字は把握していませんが、ドライバーショットで前に行かれることが増えました。それと2023年シーズンに関しては初優勝の選手が増えたので、新しい顔ぶれになってきた印象です。
―米国ツアーの選手も若返っていますか?
畑岡 私が米国ツアーに行った年(2017年)は、大学ゴルフ部を経験してからプロになる選手が多かったので若くても22、23歳でした。でも、今は高校卒業してすぐにプロになったり、大学在学中にプロに転向する選手が増えたので10代だったり、20歳前後の選手が増えましたね。
―試合で一緒に回って若い選手で一番スゴイと思ったのは?
畑岡 イン・ルオニンですね。はじめて一緒に回ったのは2022年でしたが、パワーもあるから飛距離も出るし、ショットもすごい。そう思っていたら、2023年はメジャーに勝って、やっぱりスゴイと思いました。
―2023年の最後に出場するインドネシアの試合で、何か思い出はありますか?
畑岡 ジュニア時代に一度だけ試合で行ったことがあって、当時はホテルの水が濁っていたりしましたが、ゴルファーなら「どんな環境でもプレーしないといけない」と思った最初の場所です。日本や米国のゴルフ環境がすごく恵まれていると思いました。
パターを0.85インチ長くした
―米国ツアーに参戦する日本人が増えてきたことについては?
畑岡 なかなか一緒に練習ラウンドを回ることはできていないのですが、プロアマのパーティとかで日本語が聞こえてくるとホッとするので、日本人選手が増えることはうれしいです。23年は日本の試合に2試合出ましたが、若い選手から米国ツアーのことを聞かれ
ることが多かったです。
―米国ツアーでは移動も大変だと思いますが?
畑岡 1年目は私も大変でした。1試合、2試合ではなくて、何カ月もホテル暮らしが続くので1年目はその戦いもあります。
―パッティングをクロスハンドにしている理由は?
畑岡 特に理由はなくて、私の場合はゴルフをはじめたときから、自然とこの握り方でした。そこから一度も変えていません。自分の感覚としてこのグリップが一番シックリきたのだと思います。
―パターはずっとセンターシャフトですか?
畑岡 はい、それは変えていません。でも、23年はパターの長さを32.15インチから33インチにしました。長くしたことでアドレスで縮こまらなくなって、スッと構えられるようになりました。スイングアークもストレートに近い感じのイメージになりました。
足裏で感じる情報でグリーンを読む
―難しいラインを読むときのコツは?
畑岡 ラインは目で見ることはもちろん、私が大切にしていることは足裏で感じる情報です。グリーンを歩いたときに、硬さだったり、傾斜だったりという微妙なニュアンスは、シューズを通して足裏で感じています。だから、アディダスさんにはすごくお世話になっています(笑)
―スライスラインとフックラインはどちらが好きですか?
畑岡 どちらかと言えばフックラインですかね。フックラインは自分の視界にあるところから曲がるのでラインを出しやすい。でも、スライスラインは後ろ側(背中側)からカップに向かっていくので読みにくいです。
―ラインを読むときは、必ずカップ側からも見ますか?
畑岡 必ずではありません。ボールの後方から見たときに自信を持ってラインが読めたら、そのまま打つこともあります。
―オフシーズンに強化したいことは?
畑岡 まずはアプローチです。しっかりと球数を打って、頭で考えずに体で覚えることがすごく大事だなと思っています。なかなかシーズン中は球数を打てなかったので、このオフはしっかり打ち込みたいです。
―2024年はオリンピックもありますが、
畑岡 東京オリンピックからもう3年が経つのかと思うとすごく早いですね。特にこの2年間が早かったですね。日本国内のレベルもすごく上がっていて、ランキングが上の選手が増えました。数年前の韓国みたいになってきました。だから、私も選ばれるのは簡単なことではないと思っていますが、チャンスがある限りは狙っていきたいです。
―パリ五輪の目標は?
畑岡 まず選ばれることが最優先ですが、メンバーに入ったら、パリ五輪に調子のピークを持っていきたいです。この2年はあまり調子が良くなくても、スコアをまとめられるようになりました。