打てない距離をなくしつつ飛距離が被らないようにセッティングする

打てない距離をなくすことはスコアアップの早道。それには番手間の距離が被らないようにクラブセッティングすることがポイントです。同じ距離を打てる番手が入っているともったいないので、打てない距離をなくしつつ飛距離が被らないようにしたいわけですが、そこで生じるのが「どっちが飛ぶのか問題」。今回はアマチュアの方が迷いやすいフェアウェイウッド(FW)、ユーティリティ(UT)、アイアンのジャンルから2つの番手を対比。どちらが飛ぶのかを切り口にこれらの組み合わせ方を考えます。

【パターン1】カーボンシャフトで同じロフトのFWとUTは一緒に入れてもOK

ロフト19度のFW・カーボンシャフト
VS
ロフト19度のUT・カーボンシャフト


FWのロフト19度は概ね5Wです。結論から言うと、どちらもナイスショットした場合には、10~15ヤードFWの方が飛びます。同じロフトでもFWが飛ぶのはシャフトが長いから。これで飛距離差が生まれるので、ロフトが同じでも、この2本は一緒にセッティングして大丈夫です。

ただし注意点が3つあります。

1つはFWの方が高弾道になること。ヘッドの芯が深いところにある=重心深度が深いので、アドレス時に比べてインパクト時にヘッドが後ろに傾きます。そのぶんロフトが寝るためインパクトロフトが多くなり高弾道になりやすいのです。この2本では、FWの方がタテ距離も高さも出るということになります。逆にUTは、高さが出にくいところに難しさがあると言えるでしょう。

2つめはFWの方がヘッドが少し大きく、ほんの少しスイートエリアが広くなるため、ミスヒット時の飛距離ロスが少なくなります。また、前述したようにフェース面から芯までの距離が長いので、打った時のヘッドのブレも少ない。総じてミスヒットに強いのはFWということになります。

3つめはFWの方はシャフトが長くなるのでミート率が落ちます。ミートしやすいのはシャフトの短いUT。こういった要素も踏まえた上で自分に必要なクラブか考えるといいでしょう。

【パターン2】カーボンシャフトでロフト違いのFWとUTは飛距離が被る可能性大

ロフト21度のFW・カーボンシャフト
VS
ロフト19度のUT・カーボンシャフト


21度のFWは7Wあたりが多いようですが、この2本でナイスショットした場合には、飛距離がほぼ同じになります。ロフトはUTの方が2度立っていますが、シャフトの長さはFWの方が長いので相殺されてほぼ同じ距離になるのです。ですから、この2本を一緒にセットアップすると飛距離が被ってしまいます。

ただ、飛距離がほぼ同じでも弾道の高さが変わって、ロフトが寝ているFWの方が高くなります。重心深度が深くインパクトロフトが大きくなるのでなおさらです。仮にキャリーとランのトータルで200ヤード飛ぶとしたら、FWはキャリーが190ヤードでランが10ヤード、UTはキャリー185ヤードでラン15ヤードという感じになります。UTの方がランが出やすくなるので、グリーンを狙う場合にはFWの方が止まりやすいと言えるでしょう。

パターン1でも述べたようにヘッドがやや小さいぶんUTは打ち負けやすいですから「どちらが楽か?」という視点で見ればFWにやや分がありますのですが、これは好みで選んでいいレベルだと思います。最近は7Wを入れるプロも増えていて特に女子プロは多い。地面からも打てて距離も高さも出るので楽なのでしょう。一方、UTは20度台前半から入れる選手が増えているようです。

【パターン3】カーボンシャフトで同ロフトのUTとアイアンでは飛距離差が少ない

ロフト25度のUT・カーボンシャフト
VS
ロフト25度のアイアン・カーボンシャフト


ロフト角が同じでシャフトも同じカーボンですが、こちらはナイスショットした場合にはUTの方が、大体5~10ヤード飛びます。理由は2つあります。1つはUTの方がちょっとだけシャフトが長いから。もう1つはヘッドの形状や作りで飛距離が出やすくなっていて、この2つの合わせ技で5~10ヤード飛ぶということです。

とはいえ、両者の飛距離差は微妙で1番手までいかず半番手といったところ。そのため番手間の距離をしっかり詰めたい、例えば5ヤード刻みで打ち分けたい人なら2本ともバッグに入れるのはアリです。飛距離が近いのでもったいないと思うなら、例えばUTはそのままでロフト26~27度のカーボンシャフトが入ったアイアンを入れると飛距離のギャップが10~15ヤードくらいになり1番手分の差ができます。

【パターン4】UT(カーボン)とアイアン(スチール)の組み合わせならアイアンはUTと同じロフトからスタート

ロフト25度のUT・カーボンシャフト
VS
ロフト25度のアイアン・スチールシャフト


どちらもナイスショットした場合にはUTの方が飛んで、飛距離差は10~15ヤードです。ギャップが生じる理由の一つはシャフトの長さ。UTの方が長いので飛びます。ヘッドの形状的にもUTの方が飛びます。カーボンシャフトとスチールシャフトの違いも飛距離差を生む要因。ご承知のようにカーボンシャフトはスチールに比べ、圧倒的にしなりやねじれが大きいので飛びやすい。ロフトは同じですがちゃんと距離のギャップができるので、この2本を一緒にセットアップするのはOKです。ちなみにこの傾向はロフト角が25度でなくても同様で、シャフトを替えるだけで飛距離のギャップを作れます。

カーボンシャフトのUTとスチールシャフトのアイアンという組み合わせは一番多いパターンなのでもう少し詳しく書くと、双方でロフト角が3度違うと、ほぼ同じ飛距離になるというのが目安となります。

UT28度=アイアン25度
UT27度=アイアン24度
UT26度=アイアン23度


という感じです。さらにまとめると、

上図となり、タテ軸はナイスショットした時の飛距離がほぼ同じになります。( )はアイアンの番手の目安です(ストロングロフトのアイアンを除く)。アイアンの6~7番に該当するUTはあまりありませんが、これが基本的な流れになります。

UTとアイアンを組み合わせる場合に、UTがカーボンシャフト、アイアンがスチールシャフトの前提だと、ロフト22度のUTの下にUTを入れないなら、アイアンは22度から始めたい。

つまり、UTと同じロフトのアイアンから入れ始めるのをベースモードにするわけです。例えば22~28度までUTを3本入れるなら、アイアンは28度からにすると打てない距離がなくなってきます。逆にUTとアイアンのギャップが大きすぎるようであれば、アイアンのロフトを1度立てて、27度から入れるとギャップが出にくくなります。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。


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