【FW・UT・アイアンの理想的なセッティング】どう組み合わせるのがいいか、わかってる?
吉本巧のゴルフギア教室 第5回
毎年たくさんの新しいギアがデビューするゴルフマーケットで自分に合った一品を選ぶのは至難の業。噂に流され手を出したら大失敗! という話もよく耳にする。安い買い物ではないだけに、セレクトミスは絶対避けたいところだ。こんな状況で役に立つのは正しい知識。道具はもちろんゴルフのテクニックについて正しく理解していれば惑わされない。ということで生まれた、ゴルフのメカニズムに精通したコーチ・吉本巧がギア目線から森羅万象を解説するこの企画。第5回のテーマはクラブセッティング。特に組み合わせで迷いがちなフェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンを無駄なくセットアップする方法を探る。
打てない距離をなくしつつ飛距離が被らないようにセッティングする
打てない距離をなくすことはスコアアップの早道。それには番手間の距離が被らないようにクラブセッティングすることがポイントです。同じ距離を打てる番手が入っているともったいないので、打てない距離をなくしつつ飛距離が被らないようにしたいわけですが、そこで生じるのが「どっちが飛ぶのか問題」。今回はアマチュアの方が迷いやすいフェアウェイウッド(FW)、ユーティリティ(UT)、アイアンのジャンルから2つの番手を対比。どちらが飛ぶのかを切り口にこれらの組み合わせ方を考えます。
【パターン1】カーボンシャフトで同じロフトのFWとUTは一緒に入れてもOK
ロフト19度のFW・カーボンシャフト
VS
ロフト19度のUT・カーボンシャフト
FWのロフト19度は概ね5Wです。結論から言うと、どちらもナイスショットした場合には、10~15ヤードFWの方が飛びます。同じロフトでもFWが飛ぶのはシャフトが長いから。これで飛距離差が生まれるので、ロフトが同じでも、この2本は一緒にセッティングして大丈夫です。
ただし注意点が3つあります。
1つはFWの方が高弾道になること。ヘッドの芯が深いところにある=重心深度が深いので、アドレス時に比べてインパクト時にヘッドが後ろに傾きます。そのぶんロフトが寝るためインパクトロフトが多くなり高弾道になりやすいのです。この2本では、FWの方がタテ距離も高さも出るということになります。逆にUTは、高さが出にくいところに難しさがあると言えるでしょう。
2つめはFWの方がヘッドが少し大きく、ほんの少しスイートエリアが広くなるため、ミスヒット時の飛距離ロスが少なくなります。また、前述したようにフェース面から芯までの距離が長いので、打った時のヘッドのブレも少ない。総じてミスヒットに強いのはFWということになります。
3つめはFWの方はシャフトが長くなるのでミート率が落ちます。ミートしやすいのはシャフトの短いUT。こういった要素も踏まえた上で自分に必要なクラブか考えるといいでしょう。
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【パターン2】カーボンシャフトでロフト違いのFWとUTは飛距離が被る可能性大
ロフト21度のFW・カーボンシャフト
VS
ロフト19度のUT・カーボンシャフト
21度のFWは7Wあたりが多いようですが、この2本でナイスショットした場合には、飛距離がほぼ同じになります。ロフトはUTの方が2度立っていますが、シャフトの長さはFWの方が長いので相殺されてほぼ同じ距離になるのです。ですから、この2本を一緒にセットアップすると飛距離が被ってしまいます。
ただ、飛距離がほぼ同じでも弾道の高さが変わって、ロフトが寝ているFWの方が高くなります。重心深度が深くインパクトロフトが大きくなるのでなおさらです。仮にキャリーとランのトータルで200ヤード飛ぶとしたら、FWはキャリーが190ヤードでランが10ヤード、UTはキャリー185ヤードでラン15ヤードという感じになります。UTの方がランが出やすくなるので、グリーンを狙う場合にはFWの方が止まりやすいと言えるでしょう。
パターン1でも述べたようにヘッドがやや小さいぶんUTは打ち負けやすいですから「どちらが楽か?」という視点で見ればFWにやや分がありますのですが、これは好みで選んでいいレベルだと思います。最近は7Wを入れるプロも増えていて特に女子プロは多い。地面からも打てて距離も高さも出るので楽なのでしょう。一方、UTは20度台前半から入れる選手が増えているようです。
続いてパターン3、4について解説します
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