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松山茉生が「日本アマ」史上最年少V。規格外の飛ばし屋が選んだ「ウェッジ増量作戦」とは?
2024年の「日本アマ」を制したのは福井工大福井高の現役高校生・松山茉生。最年少Vを決めた秘密とは。(写真/JGA提供)
「日本アマチュア選手権」最終日(28日、兵庫・廣野GC)は悪天候のため最終ラウンドが中止となり、通算7アンダーの首位で並んでいた2人のプレーオフのみが行われた。結果は松山茉生(まお、福井工大福井高)が、日本女子ツアー2年連続女王、山下美夢有の弟でもある山下勝将(近大)を2ホール目で破って史上最年少優勝を挙げた。ドライバーの飛距離300ヤード超の飛ばし屋の勝因は、廣野対策でウェッジの本数を増やしたことにあった。
勝因は得意のドライバーではなくウェッジだった!
同じ廣野GCで開催された2015年大会で金谷拓実が作った「17歳51日」の最年少V記録を大きく更新(15歳344日)した松山は身長180センチで体重80キロの堂々とした体格。まだ成長中の高校1年生は、一度の食事でから揚げ30〜40個に白米3合を平らげたこともあるそうです。
「得意クラブはドライバー」と言うだけにキャリーで300ヤードを超えるビッグドライブで他の選手を圧倒しました。ですが廣野で勝てた要因はドライバーではなくウェッジにあったのです。
松山のセッティングはドライバーの下は2Uで、フェアウェイウッド(FW)が入っていません。実は今週は普段入っているFWを抜いていました。その代わりに増やしたのがウェッジです。普段はPWの下が52&58度の2本なのを、50 、 54 と 58度の3本に。
この変更を提案したのは自身もトップアマで松山を子供の頃から指導。今大会はキャディを務めた父親の阜司(あつし)さんでした。
2度の練習ラウンドで飛距離とコースの長さを照らし合わせると、FWを抜いてでも2打目で使うウェッジのバリエーションを増やした方がいい。さらにグリーン周りからのアプローチでも距離や弾道の繊細な打ち分けがしやすくなると判断しての作戦でした。
ドライバーを多用したからこそウェッジが重要だった
好きな選手はブルックス・ケプカ。ケプカが優勝した試合で、リードして迎えた狭い最終ホールでのプレーを見た際に「あまりドライバーを持つ必要がない、という状況でもドライバーを振り切ってしっかりフェアウェイキープして優勝したところに惚れました」と言います。
その影響からドライバーの飛距離にはこだわり、今大会もティショットを刻むことはあまりしなかったというだけに、2打目でウェッジを使う機会も多かったはずです。
出場した選手の何人もが「廣野のグリーンはピンポイントで限られたエリアにボールを置かないとバーディチャンスにならない」と話していました。
そのためにはウェッジを増やして「飛距離の階段」を増やす。グリーンを外した時もウェッジのロフトのバリエーションが増えれば、打てる球筋も増えます。
松山は「今大会は父がキャディをしてくれたおかげで自分の思うようにプレーできた」と話しました。ウェッジ増量作戦を提案した本人が常にそばにいてサポートしてくれるのですから、まさに鬼に金棒でした。
2Uでも270ヤード!の若き王者を一般アマも参考にできる
270ヤード飛ばす2Uのヘッドが割れてしまったこともあるという若きビッグな チャンピオン。普通のアマチュアが参考にできることは一見なさそうですが、長いクラブで番手間の飛距離にあまり差がない。あるいは苦手でほとんど使わないといった場合はそのクラブを抜いて代わりにウェッジを増やすとショートゲームの精度が上がってスコアアップにつながる可能性は十分にあります。
日本で一番強いアマチュアがやったことを真似しない手はないはずです。
(取材・文/森伊知郎)
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