松山英樹のダウンスイング時の胸の向きに注目!アマチュアは胸が開くタイミングが早すぎる!?
一流プロのドライバーのマネどころ
松山英樹 まつやま・ひでき/1992年2月25日生まれ。2011年に日本人初となるマスターズでのローアマを獲得。2013年にプロ転向すると1年目で日本ツアーの賞金王。2014年からPGAツアーに参戦して同ツアー通算10勝。2021年に「マスターズ」で日本人初優勝、2024年はパリ五輪で銅メダルを獲得。プレーオフ初戦の「フェデックス・セントジュード選手権」ではPGAツアー通算10勝目を達成した。
パリ五輪での銅メダル獲得に続き、PGAツアーのプレーオフ初戦でツアー10勝目を飾った松山英樹。今回は「世界の松山」の最新スイングを分析してみた。
GOLF TODAY本誌 No.628 12~15ぺージより
プレッシャーがかかっても曲げない理由は、胸を右に向けたまま腕を体から離すから入射角が変わらない
トップよりもダウンスイングの方が右を向いている
松山選手のスイングは、世界ランキングトップ10に入っている選手と比較しても完成度がさらに高いですし、理想的なスイングだと思います。
一番、アマチュアゴルファーにマネしてほしいのは手首を使う動きが一切ないこと。手首ではなくて、腕をしっかり動かすことで力強いスイングになっています。
特に素晴らしいのはダウンスイングです。松山選手と言えば胸を右に向けているのが特徴的ですが、胸を右に向けたまま腕を体から引き離すことでヘッドの入射角が一定になり、打点が安定しています(写真04、05、06)。入射角、打点が安定しているからプレッシャーがかかる試合や優勝争いをしているときでもドライバーショットが安定しています。
アマチュアはどうしてもダウンスイングで胸が左を向くタイミングが早いので、体が開いてしまう。松山選手のダウンスイング(写真04)やインパクト(写真05)を見ると、トップよりも頭(帽子の向き)が右を向いています。ここまで頭・体を右に残すことで腕を左方向に力強く走らせることができるのです。
頭が一番右を向くのはフォロー
今シーズン好調の要因は右肩・右腰・右ヒザが高い位置にあるから超安定フェードが打てる
ダウンスイングで背中を丸めて沈み込む
松山選手の持ち球はフェードですが、フェードヒッターの生命線とも言えるのが右サイドの高さ。調子が悪くなると右サイドが低くなって、あおり打ちになってしまうタイプもいますが、松山選手は右肩・右腰・右ヒザを高い位置にキープしたままクラブを下ろすことができています。右サイドが高い位置にあることで、アウトサイド・イン軌道で安定したフェードボールが打てます。
右サイドを高くキープするためのポイントは右足です。松山選手はダウンスイング(写真04)からインパクト(写真07)にかけて右足をツマ先方向に踏み込んでいます。専門用語では底屈(ていくつ)と呼ばれる動きです。ツマ先方向に踏むことによって、右ヒザの高さがキープされて、右腰、右肩も下がらなくなります。アマチュアはこのタイミングでカカト体重になってしまうので右腰が下がってしまうタイプが多いです。
もう一つ、松山選手が素晴らしいのは前傾角度がしっかりキープできていること。そのポイントのひとつがダウンスイングでの沈み込み。トップ(写真03)からハーフウェイダウン(写真05)で背中を丸めて少し沈むことによって体が起き上がらない。それが前傾キープにつながっています。
手先を使わないのでヘッドが外側から上がる
カカト体重にならないから前傾角度をキープできる
ベルトを見ると左右の腰が同じ高さ
ダウンスイングでは右腰が下がったり、左腰が上がったりすることなく、両腰の高さを揃えている。
姿勢を変えずに腕だけが動いている
ハーフウェイダウン(写真05)からインパクト(写真07)にかけては、体の角度はほとんど変えずに腕だけが動いている。
ゆるやかにフェースターン
インパクトからフォローにかけても急激なフェースローテーションはせずに、体の動きに同調させてゆるやかにターンさせている。
解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。
松山英樹
まつやま・ひでき/1992年2月25日生まれ。2011年に日本人初となるマスターズでのローアマを獲得。2013年にプロ転向すると1年目で日本ツアーの賞金王。2014年からPGAツアーに参戦して同ツアー通算10勝。2021年に「マスターズ」で日本人初優勝、2024年はパリ五輪で銅メダルを獲得。プレーオフ初戦の「フェデックス・セントジュード選手権」ではPGAツアー通算10勝目を達成した。
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