近年のゴルフクラブの進化は目覚ましいものです。
その中でたくさんの方が恩恵を受けているものの一つが、可変式ホーゼル採用のクラブではないでしょうか? いわゆる、「カチャカチャ」ですね!
この「カチャカチャ」機能により、ロフト角やライ角が購入後に変化できたり、シャフトを刺し直すことなく、いろんなシャフトが試せたりと、様々な利点を共有できるようになりました。
ただし、一方で、その機能を活用しすぎてしまったり、その機能に期待しすぎてしまったりすることで、本来の狙いと違うことが起ってしまい、かえって使いにくくなることもあるのをご理解いただけたらと思います。
今日は、皆さんがそうならないためにも、フィッター目線で、この便利な機能をどのように使用していったらよいかを書いていきたいと思います。
「カチャカチャ」でできることは何?
まずは、その機能で何ができるのか? を把握しましょう。
これは、メーカーによって全然違いますので、そこを確認して行きましょう。
例えば、「タイトリスト」はライ角とロフト角が独立して変えることができます。
ライ角はそのままで、ロフト角を増減できるなど、ですね。
キャロウェイも同様にライ角、ロフト角が独立して動きますし、かつ、シャフトが回らなくて済むシステムになっていたりします。(タイトリストはシャフトが回る)
テーラーメイドやピンはライ角、ロフト角が独立して動くことは不可能で、ライ角を変更しようとすると、ロフト角も同時に変化するというシステムです。
いったいどんな仕組み?
上記したように、メーカーによってそのシステムは様々です。
このシステムの原理は、言葉で書くのは難しいのですが、簡単に言えば、シャフトがホーゼルに入る方向が変わることで、ロフト角や、ライ角などが変わるというものです。
シャフトが、上から見て(アドレスした時の目線)で、右から入ってくれば、ロフト角は立ちます。左から入ってくれば、ロフト角が増えます。
下から入ってくれば、フラットに、上から入ってくれば、アップライトになるということです。
シャフトを傾けてヘッドに装着させることで、シャフト軸に対してのヘッドの角度を変えるということになります。
これは、パーシモン時代からクラブを作っている方でしたら、よくわかる手法ですね!
シャフトの挿し方(挿す方向)で、微妙にロフト角やライ角を変更したり、フェースアングルを変更したりしていたテクニックでした!
それを、接着しなおすことなく、脱着可能なスリーブを付けて実現したのが、現代の「カチャカチャ」システム ということになります。
ロフトとともにフェースアングルが変わる
ここで、一つ一つ振り返ってみますと、まず、この手法はその角度を「微妙」に変化させることができるということです!
もちろん、メーカーによっては、上下で3度近く変更できるものもありまが、そこまでできないメーカーもあります。
なので、メーカーによって、どういう方向で変化できるか?を知ることと、加えて、どのくらいの変化をさせられるか? をよく確認した方が良いです。
それから、ライ角、ロフト角という話を中心にしてきましたが、実は変化するのはそれだけではなく、フェースアングル=フェースの向きが変化します。
メタル系の場合、ロフト角を立てる(減らす)とフェースアングルはオープンに、つまりフェースが右を向き、ロフト角を寝かす(増やす)とフェースアングルはクローズに、つまりフェースが左を向きます。
フィッター目線で考えると、このフェースアングルの変化の方が、フィッティングでは重要になる場合が多いです。
球のつかまりをメインに考えてみると…
例えば、球が上がりすぎる人に、ロフト角を立てて調整して渡した場合、このフェースアングルの影響で右に行くようになってしまい、球は低くなったけど、つかまらないクラブになってしまうことがあります。
なので、逆にそのフェースアングルの変化をメインに考えて、ロフト角を増やす方向で調整する場合、球の上りを増加させる狙いよりも、クローズドフェースによって球のつかまりを確保するために、変化させるということをしたりします。
つまりは、打ち出し角やスピンの増減を期待して、ロフト角を変更しても、その通りにならないことも多く、その要因として、フェースアングルの変化量が影響しているということをご注意いただきたいと思います。
アップライトにするとヒールに当たる!?
ライ角方向も注意が必要なことがあります。
ライ角は方向性に影響を与えますので、右に行きやすい人はアップライトにすることも多いと思うのですが、ライ角は、もう一つ、打点にも影響しますから、アップライトにしたことでヒールに当たりやすくなります。
その結果、スライス回転が増えてしまい、結果として、より右に行ってしまうということも起こります。
このようにカチャカチャによる変化は、システムとしての狙い通りにならない場合もたくさんあり、そこをきちんと理解したうえで、変化させていく必要があることにご留意いただきたいと思います。
カチャカチャしすぎるとつながりが悪くなる!?
そして、ここからが重要です!
まずは、スタンダードポジションを基準にクラブを選んでいきましょう!
大きな理由の一つとして、やはり、それがメーカーの作った設計通りの使い方だからです。
その中心地にあるはずのポジションで、しっかりと、ロフト角や、クラブスペック(シャフト、長さなど)を決めておきましょう。
あとで、カチャカチャでどうにでもなるからと言って、あいまいに決めてしまうと、あとでその変化を狙ってみたけど、結果通りにならないことは多々ありますし、もしかしたら、そのクラブだけは良くなるかもしれませんが、特殊なクラブになってしまい、これまで再三申しあげている、他のクラブとのつながりが悪くなることが多いです。
各ポジションで別物のクラブになる……
それはどういうこと起こっているかというと、この「カチャカチャ」機能による変更によって、振り感も変わってしまうからなんです。
微妙ですが、重心距離も変わりますし、シャフトの装着角度が変わるわけですから、しなり感も変わると言っていいでしょう。
実際に、フィッティング中にそういったことを期待して、このカチャカチャ機能を利用することもあります。
例えばですが、少し取り回しにくい、ヘッドを重く感じる、という方にアップライトにすることで、振り感を軽く感じてもらうなんてことをすることもあります。
振り感というのは、そういった繊細なものなので、最初から「カチャカチャ」があるからシャフトや球筋はそれなりに~で選んでしまうと、ポジションを変えて振り感が変わりすぎてしまって、球筋も意図しないものになる、なんてことが大いにあり得ます。
また、上記のフェースアングルの変化などで、見え方が変わることによる反応もあります。
カブって見えれば、逃がす動きが出やすかったり、ロフトが立って見えたりすれば上げる動きがスイング中に発生する方も多いです。
そうなると、フェースをクローズにしたのにつかまらなかったり、ロフトを立てたのに余計に上がってしまったりということも発生するでしょう。
そうならないためにも、繰り返しになりますが、まずはスタンダードポジションで振りやすいもの、球筋の結果の良いものをしっかりと選ぶことを強くオススメいたします。
スタンダードポジションでフィッティングが完了させるくらい時間をかけた方が良いでしょう。
このように、このカチャカチャ機能は数値にすると微妙な変化ではありますが、フィッター目線で考えると、1つでもポジション変更させたら、大きな変化と考えています。
大げさかもしれませんが、別物のクラブと思ってお渡していることもあります。
便利な機能ではありますし、誰でも気軽にできる操作ですし、目に見えて変化も感じられることでしょう。
しかしながら、性能としてはかなり変わるものですので、変化をさせる時は慎重にしていただければと思います。
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。




