ゴルフクラブのヘッドとシャフトに相性があるって本当!? 今どきのヘッドにマッチするシャフトとは?
鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第42回

「同じタイプのヘッドとシャフトを組み合わせたほうがミスを減らせるんじゃないの」「違うタイプのヘッドとシャフトをセットしたほうがバランスが良さそう」「ヘッドとシャフトの“黄金比(スペック)”があるんだって」――。そんなギア論が飛び交っている。カリスマフィッターの鹿又さん、この辺りを交通整理してもらえませんか?
ヘッドのMOIが大きくなり、先がしっかりしたシャフトが増えた
シンプルに「ヘッドとシャフトの相性はあるのか? ないのか?」というテーマで考えると、基本的にはあります。ただ、今どきのヘッド開発の方向性というのは寛容性を高めるほうに向いていて、良いところで打ったときと打点がブレたときの差が少ないヘッドが多いので「差が起こりにくい」という背景があります。
もう一つの背景としては、ヘッドの慣性モーメントが大きくなってきたので、全体的にシャフトのチップ剛性が高くなる傾向にあります。つまり、シャフトの先側がしっかりしているということです。ヘッドをコントロールしやすくするために、チップ剛性が高くなってきました。そういう流れがあって「先調子」と言われるシャフトが減っている現状があります。
打ち手との相性か? クラブ単体としてのパフォーマンスか?
そういう現状を踏まえて「ヘッドとシャフトの相性って何か?」となったときに大事になるのが「プレーヤーとの相性」なのか「クラブとしてのパフォーマンスだけを追求した相性」なのか、ということがあります。そこの視点が人それぞれで違うから「こういう組み合わせがいい」という論争のようなものが巷で起こるのではないでしょうか。
「プレーヤーとの相性」を考えていくと、打ち手によって合うシャフトや振りやすいシャフトが違うし、インパクト条件が変わるので、良いパフォーマンスが出せるシャフトも変わってきます。ヘッドも然り。それを無視した状態で、クラブのパフォーマンスだけで飛ばそうとしたら、それはそれで「こういうヘッドやシャフトがいいよね」という話になるでしょう。
つまり、自分がどっちを求めているのかによって、このテーマの答えは変わるということ。自分との相性を求めるのか、クラブ単体としてのパフォーマンスを求めるのか、ということです。
ベストなヘッドとシャフトの黄金比(スペック)は一人ひとり異なる
一つの例を挙げてお話ししましょう。今どきドライバーのヘッドは低スピン化しているので、打ち出し角を高くしたいところです。ロースピンのヘッドで適正な打ち出し角を作ろうとしたときに、ロフトを増やすとスピンが増えてしまいます。
ロフトを増やさずに適正な打ち出し角にするには、物性的に見れば、先端が少し動くシャフトが効果的になります。とはいえ、プレーヤー自身が、先のほうが軟らかい=手元側の剛性が高いシャフトが振りにくいタイプだった場合は、どっちを取るのか? という選択を迫られるでしょう。
結論として、ヘッドとシャフトの組み合わせっていうのは個々によって違うし、もっと言えば、ベストなスペックが変わってくると思ってください。言い換えれば「これが答え」ということはないし「こうじゃなきゃダメ」ということもありません。先入観に捉われることなく、自分に合うクラブ、求めていることを達成できるクラブを探してもらいたいですね。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。

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