ゴルフクラブ選びはシャフトも重要! 「インパクトに正しく導いてくれないとヘッドはその真価を発揮できない」
世界で唯一! シャフトを自社で生産する本間ゴルフ酒田工場を関浩太郎がリポートVol.1【特集HONMA】
世界にゴルフクラブメーカーは数あれど、ヘッドとシャフトをパッケージングで開発、自社工場でシャフトまで生産しているのは、いまや本間ゴルフだけ。とりわけドライバーのシャフトは開発、製造に手間がかかり品質管理も大変なためアウトソーシングが普通になっている。ここでは常日頃からシャフトの重要性を力説するゴルフコーチとクラブフィッターの二刀流・関浩太郎が、本間ゴルフの心臓部・山形県の酒田工場を訪問。本間のシャフトへのこだわりと、その実力をリポートした模様をお送りする。
撮影/相田克己
ヘッドはシャフトがあってのもの。もっとシャフトに目を向けるべき
関 『ゴルフクラブはヘッド、シャフト、グリップ、3つのパーツからできています。車のパーツに例えるなら、順にエンジン、足回り、タイヤだと僕は考えます。一見エンジンが重要に思えますが、エンジンが良くてもパワーやスピードを生かせる足回りがなければ宝の持ち腐れです。
ここでちょっと考えてみてください。クラブのフェース面は広くても左右10数センチ、上下7~8センチほど。有効打点はさらに狭く上下左右とも3センチ程度ですが、実はここに当たるか当たらないかを決めているのがシャフトなのです。
つまり、シャフトはボールに当たる前のヘッドの動きを決めるもの。ヘッドはボールに当たった瞬間から、それ以降のボールの動きを決めます。誰もが芯を食うことを目指してヘッドの動きばかり考えますが、その前にシャフトがヘッドを正しく導いてくれないとヘッドはその威力を発揮できません。ゴルファーはもっとそこに目を向けるべき。それだけシャフトが大事だということです』
とシャフトの重要さを説く関。これを前提に、まずは本間ゴルフのシャフトのこだわりについて、製品開発本部ディレクターの佐藤巧さんに聞いた。
関 『今回は本間ゴルフさんのシャフトへのこだわりを、聞いて、見て、体感したいと思っていますが、仕事柄、気になるのは新作なので、まずはTW767のシャフトについて教えてください』
佐藤 『はい。TW767には、Z、P、C、Aの4タイプのシャフトを用意しました。個性の異なる3つのヘッドがあるのでバリエーションを増やし、様々な重さやロフトに合うようラインナップしてあります。かつてはもっと多くの種類を揃えた時代もありましたが、幅を広げすぎるとかえって焦点がボヤけてしまい、お客様にとって選びにくいものになるので、あえて4タイプに絞り70~80%のゴルファーをカバーできるようにしました』
株式会社本間ゴルフ 酒田工場 製品開発部 佐藤 巧さん
関 『4タイプは具体的には、どのような特性を持たせて振り分けられているのでしょう』
佐藤 『簡単に言うと、Zは手元調子で粘りを感じながら叩けるシャフト。Pは中手元調子でやや粘り感があり、Cは4タイプの基準となる中調子。Aは先調子の弾き系で俊敏に動くタイプです。3種類のヘッドとの組み合わせで、お客様がいまのスイングを変えずに使えることを考慮して揃えました』
関 『開発はどんな手順で行われたのですか?』
佐藤 『このモデルに限ったことではありませんが、まず設計開発で試作図面を作り、それを製造部、生産部の順に送り、各部で問題点を挙げてフィードバックします。基本的にはこのコミュニケーションを何度も繰り返し、テストを重ねてラインナップを決定しています』
関 『バリエーションは4つですが、重さやフレックスが変わるとかなりの数になりますよね。それを1本1本作るって、気の遠くなるような作業じゃないですか』
佐藤 『そうですね。シャフトはヘッドより先に作りますし、おっしゃる通り1本1本設計してスペックも多いですからシャフトの製作スタッフは一番忙しい。最初に動きはじめて最後まで働くのがシャフト担当ですね。ただ、作業は大変でも苦ではありません。本間ゴルフでは様々なシャフトを作ってきた経験豊富な“匠”が各所に配属されています。最初にカーボンシャフトを作った当時を知る職人が匠となり、いまも技術を伝承していますから、側から見たら大変そうかもしれませんが作業自体は当たり前のことなんです』
聞き手:関浩太郎
関 『匠とはどんな人なんですか?』
佐藤 『クラブ製作の各工程に在籍する社内試験で認定された専門の職人です。シャフトの場合、巻き、塗装、組み立て、それぞれの工程に匠がいます』
関 『佐藤さんも匠の一人ですね』
佐藤 『はい、そうです』
関 『とはいえ、匠といえども難しい工程はありますよね』
佐藤 『高度な匠の技が必要、というところで言うと、剛性の高いカーボンは巻きづらいので経験を積まないとできません。あとはスペックの誤差を限りなく少なくして、基本設計通りの製品をお客様に届けることでしょうか。シャフトはわずかな差が出るだけで重量もバランスも崩れてしまいますから極力公差を少なくする。設計に対して公差が少ない状態でヘッドに装着できれば基本設計から外れませんから。製品誤差を極力なくすには、やはり自社でシャフトを作る他にありません。匠をはじめ仕事に携わる全員がそれを理解していて、もはやそうしないと気が済まない域にあるのだと思います』
関 『個人的には、いかにシャフトを真円に近づけるのか。また、いかに重量誤差をなくすのか。といったところにとても興味があるのですが、そのあたりはいかがですか?』
佐藤 『そうですね、もちろん私の口からも説明することはできますが、せっかくお越しいただいたのですから、実際に工場で作業をご覧になり、担当の匠から直接話を聞いてみてください。その方がリアルにおわかりいただけると思いますから』
関 『え? シャフトの生産工程を全て見せていただけるんですか?』
佐藤 『もちろん。包み隠さずお見せしますよ』
関 『ありがとうございます。拝見するのがとても楽しみになりました』
ということで、次回は関がシャフトの生産工場に潜入。こだわりの作業現場や作業工程をつまびらかにする。
聞き手:関浩太郎
せき・こうたろう。1974年生まれ。茨城県出身。15歳でゴルフを始め、関東国際CCでプロ研修生として修行後渡米、カリフォルニアのミニツアーを転戦しつつ最新のスイング、クラブ、トレーニング、メンタル理論を学ぶ。帰国後は有名クラブ職人に弟子入りし、フィッティング理論、クラフト技術を学んだ。現在はプロコーチ、クラフトマンとしてアマチュアゴルファーの悩みを解決中。『SEKI GOLF CLUB 目黒』主宰。
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