イップスという忌々しい言葉ありますね。
ゴルファーならできれば避けて通りたい症状でしょう。
一般的には、精神的な要因と考えられていることが多いですが、起因としては、技術的な要素が強いと考えています。
ミスには必ずその要因となるものがあり、そのミスの積み重ねから自信がなくなり、ここ一番で手が動かなくなるという方も多いでしょう。
どこかで大きなミスをしてしまい、それがトラウマのように残ってしまい、イップスになったということを言われる方も多いです。
そう考えていくと、その起因、きっかけとなった技術的な原因があると考えていただき、かつ、その技術的要因が、もしかしたらクラブにあるのでは?と考えていただけたらと思っています。当方のフィッティングにもパッティング・ショートゲームからドライバーのイップスまで様々な方がお見えになり、その要因の探求にご協力させていただいております。
その中で、ある一定の結論が見えてまいりましたので、こちらに書かせていただこうと思いました。
ただし、イップスにも様々な要因があるのも確かですので、これは断定できるものではなく、今回は、当方の考える、一考察と思って、読んでいただけると嬉しいです。
現代では、クラブごとにイップスがあるので、まずは、それを一つ一つ考察していきましょう。
1.パッティングイップス
手が動いていないではなく、ヘッドが動いていない
イップスというと、このパッティングイップスの比率が一番高いと考えています。また、昔からよく聞く言葉でもあります。
それはやはり、ゴルフの中でパッティングが一番難しいと考えてらっしゃる方も多いからでしょう。
また、パッティングの良し悪しによってスコアの良し悪しに直結しますから、どうしても精神的に追い込まれる方もいらっしゃると思います。
緊張すると体がこわばってしまい、思った通りに動かない、というのは良くある話ですし、それが極端に出てしまうのがイップスということになると思います。考えすぎれば過ぎるほど、手が動かない、なんて話をよく聞きますよね?
そう聞くと、やはり精神的なもの? と考えがちですが、自信をもって臨むことができれば、それなりの結果にはなるはずで、それだけでは、大きなミスを呼ぶほどの物ではないと考えていただければ嬉しいです。
では、その自信はどこから来るのか? それはやはり成功体験と練習量に他なりません。それなら、たくさん練習すればイップスは回避できるのか? というとそうもいかないのも実状です。
まずは技術的な要素から、イップスの要因を紐解いていきましょう。
「パッティングに型なし」と言われるように、様々な打ち方をされる方もいらっしゃいますし、それでいてすごく入る(結果の良い)方もいらっしゃいますので、何でもいいから入ればいいというような流れになっていると考えています。
しかしながら、ミスにも要因があるように、ナイスショット、良いストローク、入るストロークにも要因があります。
それはラインに対してまっすぐに打っているということだけじゃなく、ストロークはすこしクセがあるけど、それをうまく調整して入るようにしている、という方も少なくありません。
そして、その良く入るストロークの中にも蓄積していくと病気になる要因というのもが含まれていたりします。
そうなんです!
イップスというと、突然発症するように考えてらっしゃる方も少なくないのですが、ほぼすべてのイップスの要因が、何かの積み重ねによって起こっていると考えてほしいと思っています。
例えば、インサイドアウトに振っているけど、うまくクローズドフェースにしていて、出球をコントロールしていたり、パッティングではそこまでフェースの向きによる出球はコントロールできないので、その分左を向いて右に打ち出していたり、微妙な調整をしている人をたくさん見たことがあります。
そういった方は、そのクセの調整がうまく行っている時は入りますが、急に善意のアドバイスをもらったりして、自分のクセを治そうとして、イップスになった、という方もたくさん見てきています。
だからといって、クセが合った方が良いか? というとそういうことでもなく、これらは他のクラブのスイングの影響も出てきますので、これは後述させていただきます。
始動の違和感
パッティングストロークの動作で一番難しい瞬間はいつだと思いますか?
当方は、「始動の時」と考えています。
理由は以下のように考えています。
実はこの「始動の時」はパッティングだけではなく、ゴルフスイングの最も重要な部分であり、最も難しい部分だと考えています。
物体には慣性の法則が働き、静止しているものを動かそうとするには、その質量以上に大きな力が必要です。
例えば、300gの物体を動かすには、地面の摩擦などがあり300gの力をかけただけでは動かないです。クラブなら長さやシャフトの重さなども加味しなければなりませんので、正確な数値ではありませんが、310gとか350gなどの力をかけないと物体は動かないと考えていただけると嬉しいです。
簡単に言えば、止まっているヘッドを動かし始めるには、自身が思っている以上により力をかけているということになります。
パターのヘッド重量は14本の中で最も重いものになっている方がほとんどでしょう。その上で、パッティングストロークのヘッドスピードは一番遅いものとなります。
一番飛ばしたくない場面で使用すると言ったらよいでしょうか?
そして、様々な距離を打たなければなりませんので、ヘッドをかなり繊細に動かさなければならないことは容易にご理解いただけると思います。
下りのパットなどは、かなり、そぅーっと動かさないといけないですよね?
なので、ある程度はヘッド重量が重い方がそういった動きをしやすいともいえるのですが、始動だけは、そのヘッド重量が要因で、他のクラブよりも力が必要になります。
つまり、パターというのは、その繊細に動かさなければならない状況で、かつ少し力を入れて動かさないと動き始めません。
力を入れる=ヘッドスピードも生まれやすいです。
なので、逆に言うと、力を入れて、動かし始めているというより、力を入れてヘッドが動きすぎない(ゆっくり動く)ようにしていると考えてもいいかもしれませんね。
つまりは、ゴルフスイングの中で一番難しいとされている始動が、最も難しいのがパッティング(パター)と言えるでしょう。
なので、イップスという病気になると、どのくらいヘッドに力を加えていいかがわからないので、動かせなくなる、という現象が起きてしまいます。
そうなんです!冒頭に挙げましたように、イップスというと手が動かないというお話が多いですが、実は、ヘッドが動かなくなってくることから始まると考えていただけると嬉しいです。
ストロークというのは、バックスイングして、切り返して、ダウンスイングをしてインパクトを迎えます。
その際に、バックスイングを取ることでその反動を利用することができ、ダウンスイングはかなりスムーズに行えると考えています。
トップの位置からそのまま降ろせば、始動の難しさが取れるかというと、そういうことではなく、反動を活用することで、ヘッド動きがスムーズになりやすいと考えていただけると嬉しいです。(トップからいきなり下ろすことは、同じく、力やスピードのコントロールが難しいです。)
であれば、せっかくバックスイングをするのであれば、しっかりとそれを活用して、繊細なタッチが出るようにダウンスイングができるようにしてはいかがでしょうか?
ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。




