ロフト9度と10.5度、ウェイトの位置も変えてじっくり試打
2004年発売の『G2』から始まった『G』シリーズは20年間、一貫してブレない飛びを追求してきたが、新たに発売された『G440』シリーズは、飛びの新境地に挑戦している。
『G440』のドライバーは3種類である。今回取り上げる『G440 SFT ドライバー』はドローバイアスがあるやさしいドライバー。そして『G440 MAX ドライバー』はオールマイティなスタンダード、『G440 LST ドライバー』は低スピンのツアーユースモデルとなっている。(MAXとSFTには、軽量化したHLモデルもある)
『G440 SFT ドライバー』のキャッチコピーは“「飛び重心」で高弾道。つかまえて飛ばせるドロー設計”だ。ピンが理想とする重心ラインに近づいた「飛び重心」設計で、ヒール寄りの重心設計をしたのが『G440 SFT ドライバー』なのである。
テクノロジーで最初に注目するのは、「新カーボンフライ・ラップ・テクノロジー」だ。クラウンにカーボンを採用することで生まれた余剰重量をヘッド下部に再配置し、新設計の「フリーホーゼルデザイン」により、ピン史上最も低い重心のヘッドにすることが可能になった。高打ち出し、低スピンで飛距離を出すことが狙いだ。
そして、フェースは前モデルよりさらに薄く設計し、飛距離性能を向上している。
『G440 SFT ドライバー』では、ロフト9度がラインアップしているのにも注目である。スピン量が多く、飛距離をロスしているゴルファーを助けるのが狙いであろう。
「新フリーホーゼルデザイン」で、ヘッド内部のホーゼルを軽量化して、余剰重量を更に低重心化に使った。ヒール側のミスヒット時に飛距離ロスが小さくなるようだ。
テクノロジーを確認すればするほど、また、クラブを実際に手にしてみても、『G440 SFT ドライバー』は、ブレるどころか、ピンらしいドライバーだと感心した。
ピンの最新のクラブは、毎回、打つのが楽しみになる。
普段は調整機能やシャフト違いなどはデフォルトのまま試打するが、今回は、興味があったので、ロフト違い、シャフト違い、ウェイトポジション違いを突き詰めて、何を選択したら良いのか? という点に集中して試打ラウンドに突入した。
試打した『G440 SFT ドライバー』は、ロフト9度、ウェイトポジション・ニュートラル、シャフト・PING TOUR 2.0 CHROME 65 Sフレックス、長さ45.25インチというややハードなストレート仕様の1本と、ロフト10.5度、ウェイトポジション・ドロー、シャフト・ALTA J CB BLUE Sフレックス、長さ46インチというハイドロー狙い仕様の1本。
便宜上、『G440 SFT ドライバー 9度』と『G440 SFT ドライバー 10.5度』と呼ぶことにする。
試打した日は、気温3℃〜8℃で、曇り、微風。
ボールは打ち慣れていてクラブだけの影響に集中出来る『TOUR B X』を使用した。
9度と10.5度では全く違うG440 SFT ドライバーの飛びにビックリ!!
『G440 SFT ドライバー』を使用してラウンドし、わかったことを挙げる。
打音打感/
音量はやや大きめ、硬質系がやや強い鞭系とのミックス音。
打ち応えは軽い。手応えは敏感で芯感はクリア。
弾道スピン/
9度は低めの高弾道。ややフェードが自然と出て曲げに敏感。
10度は超高弾道の軽いドロー。同じボールを打ち続けるのが得意。
飛距離/
9度は平均235ヤード。最長飛距離ホール245ヤード。
10.5度は平均230ヤード。最長飛距離ホール240ヤード。
『G440 SFT ドライバー 9度』は、完璧で、大好きなドライバーだった。
少しとらえる挙動があるけど、邪魔にはならず、構えた通りに飛んでいく。ボールは軽いフェードが自然に打てて、ランもよく出る。
そのままバッグに入れて、エースドライバーにしたいというレベルに大好き。
『G440 SFT ドライバー 10.5度』は、一瞬ボールを見失うほど打ち出しから高く、更に伸びながらドローをするボールしか打てない。ドロー幅は15〜20ヤード。ランはほとんどないキャリーでの飛距離なので、キャリーで比較するとこちらのほうが飛距離は出ている。
2本を打ち比べて、まず、アドレスビューから別物で、打つと、もっと別のドライバーに仕上がっていることに驚いた。自分の予想の倍以上違った。
同じベクトルの手前と先という違いを考えていたが、全く路線が違うのだ。言われなければ、2本が同じ『G440 SFT ドライバー』とは感じないと思った。
試打しながら考えた。“SFTは、ストレート・フライト・テクノロジーの略。ストレートに飛んでもよいのである”
とにかく、『G440 SFT ドライバー 9度』は、ややとらえる挙動に敏感なだけで、ストレートに打ちたい、フェードを打ちたいゴルファーにオススメだったのだ。
とはいえ、強調すべきは『G440 SFT ドライバー10.5度』のほうなのだ。
ドローバイアスによって、ハイドローを打てます、というセールストークのドライバーはゴロゴロしていているが、残念ながらほとんどは、そういう傾向の大小を比較する程度である。しかし、『G440 SFT ドライバー 10.5度』は、とにかく、実際にハイドローなのである。
大袈裟ではなく、超高弾道、空中で伸びながらドローして飛んでいくボールをひたすら連発するしかないのだ。46インチという長さが、小細工を許さないので、オートマチックに打っていくのだが、超高弾道でボールは転がらないことが途中から安心材料になっていくことに気がついた。転がらないほうが良いというツアープロの話を聞いたことがあるが、初めて実感した。
スライスに悩み、右にすっぽ抜けるのに苦しんでいるゴルファーに『G440 SFT ドライバー 10.5度』が向いているかというと、ちょっと疑問が残るのである。46インチの長さが、スライスやすっぽ抜けを増やしてしまう可能性があるからだ。
基本的に、長尺のドライバーでもある程度ミートできて、振り切れるゴルファーで、ハイドローを連発したい場合に、『G440 SFT ドライバー 10.5度』はオススメである。
2本のドライバーは、シャフトを変えたり、ウェイトポジションを変えたり、弾道調整を変えることで、自分好みに調整できることを証明してくれた。
『G440 SFT ドライバー 9度』のヘッドは敏感で、それを利用することで曲げるボールも打てる。
『G440 SFT ドライバー 10.5度』のヘッドは敏感だが、ドロー寄りに敏感になっている。
同じブランドの名称のドライバーだが、ロフトによって全く違うことは、時々ある。
『G440 SFT ドライバー』は、その辺りからじっくりと検討できる面白さを大事にしたくなるドライバーである。
ちょっと打てば、どちらが良いかはすぐにわかるはずだから、試打して欲しい。
ドライバーとしての底力が優秀で、自分用を意識して選べる『G440 SFT ドライバー』は、ブレない性能を引き出す面白さを堪能できるのである。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。




