今週はスイングウエイト(バランス)のお話に行きましょう。

現在、各メーカーのゴルフクラブは、品質管理として、長さとスイングウエイトを活用しています。もちろん、公差というのがあり、その中で管理されています。
メーカー側とすれば、ベストなスイングウエイトは人それぞれで違うということがわかっていても、どうしても平均的なところで製品を作ることになりますので、なにか特別はコンセプトとして打ち出さない限り、ほぼ、このD0~D3くらいの間に収めることを目指しています

このスイングウエイトで使われている「D0」や「D3」といった記号と数値の組み合わせがメーカーの基準になっているので、軽いか重いかのイメージや、振り重さの基準を、このスイングウエイトで感じられる方が多いのはそういう状況が影響していると考えています。
これまでのゴルフクラブの歴史を振り返っても、長く主流として、このスイングエイトが活用されているので、なじみのある判断基準が他にはない、ということも言えるかもしれません。

ところが、現状では、あまりかけ離れたスイングウエイトで販売されているクラブが少なく、ほぼD0~D3くらいが多いので、その中での小さい範囲での重いか軽いかの判断をするしかなく、それから外れてしまうと、イメージが難しいという方も少なくないでしょう

スイングウエイトにこだわりすぎてしまうと…

このような現在の状況から、どうしてもそこから外れたものを受け入れにくい環境であるというのを理解しています。

かく言う当方も、メーカーに入った当初は、スイングウエイト至上主義で、スイングウエイトを合わせることが振り感をそろえることであり、スイングウエイトが変わらないような微調整は、ほぼ振り感には影響がないと考えていました。

その後、これまで、いろいろな体験をしてきたり、様々な実験をしてきたりした結果、スイングウエイトを軽視するわけではないのですが、スイングウエイトは一つの参考になる数値でしかなく、この数値にこだわりすぎてしまうと、かえって振り感を損なうことがあるということがわかってきました。

そのあたりを踏まえていただき、スイングウエイトの話を続けさせていただければ嬉しいです。

鉛0.5gでも明らかに振り感は変わる

当方のフィッティングでは、クラブの細かい調整や調律を行っていきます。
1本1本打っていただき、振り感の差があるものをなるべく近づけていく、ということをやっていきます。
その際に一番やるのが細かい鉛での調整です
本当にそのくらいで変わるの? という方もいらっしゃいますが、実際に打ってみると、本当に「0.数グラム」の鉛で変化をします。
まだ、感覚的なものでしかないですが、確実に変わることは実感できます。

たとえば、グリップ下に0.5gくらい鉛を貼ってみるとわかるのですが、振った感じは確実に変わります。感覚としてわからないという方でも、結果が変わります
そして、この状態でスイングウエイトを測っても、鉛を貼る前と貼った後の数値はほぼ変わらないでしょう。

なので、まずは、スイングウエイトだけでは推し量れない、振り感の差がクラブにはある、ということをご理解いただければ嬉しいです。
本当に細かく計測できるようになれば、違いが出るとは思いますが、現状の計測器ではそこまでの差にはならないということになります。

そのため、例えば、アイアンセットを当方のやり方で調整していくと、上の番手から下の番手まで、スイングウエイトが誤差なくそろうことの方が少ないです。
もちろん、近い数値にはなっていたりしますが、数値だけを見るとバラバラになっていると感じる方もいるかもしれませんが、実際の振り感はそろっているように感じる方が多いです。

そもそも、形も違う、それぞれ誤差があるパーツを組み立てているので…

それでは、それはなぜ起きるのか?
というと、ゴルフクラブは大まかに言って3つのパーツ(ヘッド、シャフト、グリップ)でできていますので、その一つ一つに工業製品であることによる公差がありますから、組み上げる際にそもそもバラバラになりやすいものです。

メーカーは、そこからスイングウエイトが揃うように組み立てしますが、そこにも公差がありますし、上記しましたように、そもそもスイングウエイトをそろえても、各パーツのバラつきの方を感じてしまうことが多くなってしまいます。

もちろん、それでも普通に使うことができる方も少なくないですが、そういう方でも、使っていくうちに、得手不得手の番手が出てきたりすることが多いです。

例えば、上記しましたようにアイアンセットで見てみましょう。
アイアンセットで、同じモデルのシャフトで上から下まで揃えたとしても、実は、シャフト自体が番手設計なので、厳密に言うと、各番手で違うシャフトが入っています。
そして、長さも番手ごとに変わります。
ヘッドの形も、大きさもライ角も、ロフト角も違いますので、同じ振り感にする方が難しい状況にあり、それをスイングウエイト(=クラブの重心位置)だけをそろえたところで、同じように振れるようになるか? と言われても、イメージがわかないのではないでしょうか?

「振り感」というのは、主にやはりフィーリングの部分ですから、フィーリングの差が出やすいことから調整していく、ということを目指していくと、グリップの下の持っている手に近いところの重量の変化をさせることが良い、と考えています。
そして、手元から遠いところほど、クラブの変化が大きいですから、ヘッドに鉛を貼るとフィーリングの差が出にくいのに、振り感には相当大きな影響が出ると考えていただければ嬉しいです。

スイングウエイトの話ではありますが、スイングウエイトからいったん離れていただき、フィーリング重視にて調整することをオススメいたします
その上で、最終の確認で、スイングウエイトを計測しておくのは良いと思います!
0.5gくらいの鉛でも、シャフト重量が10gくらい変わったと感じる方もいるくらい大きな変化があります!

続いて、では、「ドライバーとアイアンなどでは、どうしたらよいのか?」というお話にしましょう。
なぜかというと、ドライバーとアイアンでは、その長さがが大きく違いますし、また、シャフトの重さも大きく違う場合が多いです。
メーカーの標準スペックでも、ドライバーのシャフトは50g台が多く、アイアンは90g台くらいが多いとみています。

そうなると、すでにシャフト重量だけで40gも差があるわけで、かつ、長さも、ドライバーと7番アイアンでは、8インチ(20センチ以上)も違います。
これを同じスイングウエイトで比較するのは、なかなか難しいということをまずはご理解いただけると嬉しいです。

基本的に言えば、スイングウエイトは総重量が重くなれば、重い数値になり、軽くなれば、軽い数値になります

ドライバーと7番アイアンの総重量の差は、100gにもなることがあり、本来はスイングウエイトも大きく変わってくるはずですが、メーカーの基準では、どちらも「D0」近辺に設定されていることが多いです。
そのため、たいていの場合、ドライバーはすでに振り重い可能性があることを考えていただければ嬉しいです。

当方のフィッティングでも、アイアンを打っていただいた直後にドライバーを打っていただくとダフる方が多く、ドライバーを打っていただいた直後にアイアンを打っていただくとトップしたりする方が多いのは、この影響です。
ドライバーの方がアイアンよりも振り重い、と感じている証拠となります。


振り重いドライバーを調整するには?

こうなった場合に、調整する方法としては、2つ考えられます。
ドライバーを軽くしていく、もしくは、アイアンを重くしていく、ということです。
基本的には調子のよい方に合わせていくのが良い場合が多いですが、コースでの使用状況から考えて、アイアンを中心に考えて行きたいので、アイアンの重量をしっかりと合わせていき、振りやすくしたうえで、そのアイアンにドライバーを合わせていくことが良いでしょう。

となると、たいていの場合で、ドライバーを軽くしていくことが多くなります
では、どのくらい軽くしていくのか?という話に移っていきましょう。

そこで、上記しましたように、D0~D3くらいの狭い範囲から一度離れて欲しいというお話になってきます。

例えば、数値だけのお話をすると、総重量10gでスイングウエイトは1ポイント変わります
つまり、もし、アイアンとドライバーで総重量の差が100gということであれば、10ポイント変わっても数値上はおかしくない、ということになります。

簡単に言えば、総重量が400gの7番アイアンの振り感が「D0」で良くて合わせたい、となった時に300gのドライバーのスイングウエイトは「C0」くらいから考えて行った方が数値的には良い可能性があります。
「C0」!と聞くと、「軽すぎる!」と反応する方がいらっしゃいますが、そのスイングウエイトで実際に打たれたことがある方は少ないと思います。

もちろん、どういった構成で「C0」にするのかによっても振り感は変わりますので、スイングウエイトだけで語るのは難しいのですが、当方が考えている「C0」は、ヘッドのウエイトを下げて行って、かつ、44インチくらいに短くしたドライバーという感じでご理解いただけると嬉しいです。

実際のフィッティングの際に、本当によくあるパターンとして、もちろん、まずは、ドライバーに悩んでいる方という前提でフィッティングに来られた際に、よくあるパターンは、

ドライバー:B8~9
アイアン:C6~7

みたいになります。

この時のシャフトは、ドライバーで60g台、アイアンで120g前後、といういう感じです

おそらく、見たことのない数値に感じる方も多いでしょう。

少し極端には述べていますが、このようにしたことで、結果が良くなっていることが多いので、このくらいやってみてからいろいろと試していくことをお勧めしたいと考えております。

よく、ヘッドを軽くすると飛ばなくなるのでは? と聞かれる方が多いです。
もちろん、物理の現象では軽いヘッドはボールに与えるエネルギーが減るのは間違いないのですが、これまでの実験結果から、ドライバーのヘッド重量は180g以上あれば、そこまで大きな影響は出ない、と考えています。

それよりも振りやすくなって、確実にボールを捉えられるようなる方が先決ですし、ヘッドを軽くしていって、振りやすくなるとヘッドスピード自体が上がるので、当フィッティングにて飛距離が落ちたという方はいないと言っても良いでしょう。

スイングウエイトを軽視した方が良いということではなく、スイングウエイトも一つの数値であり、参考にはしても良いのですが、それだけに頼るのは危険ということで、いくつかの例を挙げさせていただきました。

狭い範囲で軽い、重いを決めつけず、幅広くお試しいただくことで、自身の最適なスイングウエイトも見つかると思います。
お試しいただけますと嬉しいです。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。