ウェッジのバンス角|ハイバンスとローバンスの違いを利用シーン別に解説

ウェッジのバンスについて、皆さんはしっかりと意識されていますか?
アプローチでトップやダフリが多い方や、バンカーから上手く出なくて悩んでいる方は、もしかしたらその原因がバンスにあるかもしれない
バンスの効果やハイバンスとローバンスのショットに与える違いなど、編集者あいりがクラフトマンのおぐさんに聞いてみました。
ウェッジのバンス角とは?

ウェッジのバンス角とは、ソール面に沿ったラインと地面に平行なラインでできる角度のこと。
あいり:ウェッジのバンス角って何ですか?
おぐさん:バンスは分かっているよね。
あいり:ソールの出っ張りのことですよね。
おぐさん:そのとおり!クラブのシャフトを垂直にした時にリーディングエッジからソールの張り出した部分を表しているのがバンス角。
あいりちゃんはアプローチやバンカーショットは得意?
あいり:いや、苦手です(笑)
おぐさん:だったら、バンス角が大きい(ハイバンス)ウェッジがオススメだね。アプローチでダフリが多い人やバンカーが苦手な人はバンス角が大きいサンドウェッジを使うことでミスを減らせるんだ。
一方で中上級者にはバンス角が小さい(ローバンス)ウェッジを好む人も多いんだ。バンス角が小さい方が、高い球や低い球の打ち分けや、スピンをかけたりするなど微妙なコントロールがしやすいからなんだ。
ウェッジ選びでバンス角が重要な理由
あいり:バンスの役割ももっと詳しく教えてもらえますか?
おぐさん:もちろん!
このバンスの役割は、インパクト前後でクラブが必要以上に地面に潜らないようにするためのもの。バンス角がないとヘッドが接地した際、リーディングエッジだけが地面に当たるので刺さってしまうんだ。いわゆるざっくり。
バンス角が大きいとリーディングエッジから接地した時に、ほぼ同時ぐらいにソールのバンス部分が接地しやすくなるので刺さり過ぎを防ぎ、ソールが滑るように動いてくれる。だからざっくりになりにくくなるんだよ。
-
【ハイバンス】地面に刺さる前にバンスが滑り刺さりづらいが、テクニックは使いにくい。
-
【ローバンス】柴の薄い厳しいライでもボールを直接打ちやすいが、少しでもダフると地面に刺さりやすい。
クラブが短くヘッドの入射角がきつくなるウェッジは、少しでもボールの手前から入るとヘッドが刺さってしまう。それを防ぐためにバンス角が存在し、その大きさによって滑り具合が変わるのである程度大きい方がミスの軽減率は高い。
あいり:そしたら、腕前関係なくバンス角が大きいほど良いってこと?
おぐさん:良い質問だね。上級者は、難しい状況から、良い結果を出さなければならない。そんな状況だと、バンスが地面に当たってしまうことがあるからね。
あいり:だからプロはバンスの小さいモデルを使っている人が多いんですね!
おぐさん:そういうこと。最近は、バンスが小さくてもソール幅を広く設計して、結果的に刺さらないようにしたモデルもある。バンスが大きいモデルに違和感がある人は、使ってみるといいかもね!
あいり:アマチュアはどのバンスを選ぶと良いんですか?
おぐさん:サンドウェッジなら10度以上あった方が良いね。芝の薄いところじゃない限り、普通に打つには最適だと思うよ。
あいり:ざっくりで悩んでいる友達に早速教えてあげようっと。
おぐさん:ちなみにあいりちゃんはバンス角いくつのを使っているんだい?
あいり:わからないです……。
おぐさん:悩んでないならそれでも良いかな(笑)
ウェッジのハイバンス・ローバンスの違いを比較
あいりちゃんとおぐさんの会話の内容、ご理解いただけましたか?ウェッジのバンス角にはハイバンス(バンス角が大きい)とローバンス(バンス角が小さい)があり、一般的にハイバンスはバンス角12〜16度、8度以下をローバンスという。
技術レベルやアプローチの打ち方などによって選ぶべきバンス角は異なるが、あいりちゃんとおぐさんの会話の内容をまとめてみたので参考にして欲しい。
ハイバンスのウェッジの特徴とおすすめの人
ハイバンスはソールが出っ張っているので、地面と当たったときにバンスが跳ねてくれるため、ヘッドが少し手前から入っても地面に刺さりづらく、ソールが滑ってくれる。
また、バンスがあるとインパクト時にロフトが立つので、クラブがボールの下を潜ってボールが飛ばなくなるというミスが起こりにくい。

さらに、ハンドファーストで構えたり、ボールを右足寄り置く方で、ダウンブローに打つ方にもオススメ。バンス角が大きいと地面に刺さりづらくなるのでミスを防げるからだ。
また、バンスのないウェッジでバンカーショットをするとクラブが砂に潜ってしまいがちだが、バンスあるとソールが地面から跳ねる勢いで砂が爆発することで、いわゆるエクスプロージョンショットが打てて脱出しやすくなる。
ハイバンスのウェッジの特徴
- ヘッドが地面に刺さりにくくなり、ソールが滑りやすくなる。
- インパクトでロフトが立ちやすい。
- バンカーで砂を爆発させるエクスプロージョンショットが打ちやすい。
ハイバンスのウェッジはどんなシーンに向いているか
- ダフリのミスをしたくない。
- ウェッジでもしっかりと距離を出したい。
- バンカーからやさしく出したい。
ハイバンスのウェッジがおすすめの人
- 初心者から中級者ぐらいまでのアプローチで安定した結果を得たい方。
- ハンドファーストで構える方や、ボールを右足寄りに置きたい方。
- 初心者から中級者ぐらいまでのバンカーで安定した結果を得たい方。
ローバンスのウェッジの特徴とおすすめの人
ローバンスはバンス角が小さいため、ソールが滑ってくれなくなるが、ボールに直接コンタクトする必要がある時には使いやすい。例えばボールが沈んでいたりベアグラウンドのようなボールの下に隙間がない場合だ。ボールが沈んでいる状態でバンスがあると、バンスが邪魔になりコントロールがしずらくなるからだ。
また、ハンドファーストが弱い構えの方や、ダウンブローにボールを打たない方にもオススメ。ボールを左足寄りに置いて低く長いインパクトをするような方は、ローバンスでも十分にソールが滑ってくれる。逆にこういう打ち方の方がハイバンスを使うと、バンスの抵抗でトップが出るというようなミスが起こりやすい。
また、バンカーではローバンスはソールが滑りにくく難しくなる。どうしてもローバンスを使いたいという方は、バンカーではハンドファーストの度合いを弱めて、ボールを中央へ置いて構えてみよう。リーディングエッジが砂に刺さりずらくソールが滑りやすくなり、バンカーショットが安定するはずだ。
ローバンスのウェッジの特徴
- ボールに直接コンタクトがしやすい。
- 様々なテクニックが使いやすい。
ローバンスのウェッジはどんなシーンに向いているか
- 沈んだライやベアグランドからのアプローチ。
- 様々なテクニックを駆使してアプローチを行いたい時。
ローバンスのウェッジがおすすめの人
- テクニックを色々と使いたい中上級者。
- ハンドファーストに構えない方や、ダウンブローに打たない方。
ウェッジのバンスは自分に合った角度を選ぼう
ハイバンスとローバンスの違いとどんな方に合うかはご理解いただけただろうか?
ハイバンスはバンス角12〜16度、8度以下をローバンスというと書いたが、当然ハイバンスの中でもバンス角が大きいものほどバンスの効果は大きくなり、ローバンスでもバンス3度とバンス8度では性能はまったく異なる。
まずは自分が目指したいアプローチのスタイル、またはミスの傾向を考慮してハイバンスかローバンスを選んで欲しい。
最終的に自分がどのバンス角度が合うかに関しては、様々なバンス角度のウェッジを実際に打ってみて判断することが大切だ。
GOLF TODAY本誌 No.548 78ページ(一部、追記・再編集)
関連記事