ドライバーの飛距離アップを目指すならアッパーが肝心!飛ばし屋女子プロが伝授!
ドライバーで誰よりも飛距離を出したい!そんな、“ここぞ!の時”こそ肝心なのがアッパーです。今回は、女子プロの中でも飛ばしが得意な葭葉ルミと柏原明日架の2人に、ここぞ!の時にアマチュアゴルファーにオススメしたい飛ばしの秘訣をレッスンしてもらいました。
《2人の飛ばし屋女子プロが伝授》
葭葉ルミ(富士住建)
ドライビングディスタンス※…259.42ヤード
柏原明日架(富士通)
ドライビングディスタンス※…249.30ヤード
※上記記録は、2018年3月31日時点のものです。
【解説:森守洋(もりもりひろ)】
1977年2月27日生まれ。静岡県出身。4年間、米国でゴルフに打ち込み、帰国後は陳清波プロに師事し、2002年よりレッスン活動を開始。現在では、原江里菜をはじめとした日本女子ツアーのシード選手などのプロコーチとしても活躍中。
ドライバーで飛距離が出せない人は間違ったアッパー軌道になっているかも!
ロフトを増やさずアッパーに打つ。
ドライバーはアッパー軌道で打つと、アマチュアの場合、からだが右に傾きすぎてしまい、インパクトでフェースが開きます。そうすると、 フェースが右を向くだけでなく、リリースが早いので上にも向きやすく、実際のロフト以上にフェースが寝てしまうため、芯に当たらず、当たっても右に右に曲がるか、上がり過ぎて飛ばなくなってしまうのです。これはアマチュアの方が勘違いしている、偽のアッパーなのです。
女子プロのアッパーはヘッドの軌道に対してクラブのロフトが変わらないでヘッドがフォローへと抜けていきます。体が右に傾きすぎずに、 アッパー軌道でボールをとらえた時、フェースが必要以上に上向きにならないので普段以上の飛距離を発揮できます。さらにエネルギー効率も良くなるので、ミート率の向上にも繋がり、さらなる飛距離を期待できるでしょう。イメージ的には、右に傾きすぎず、ロフトをそのままにしながら打っているのです。
『ヘッドの軌道に対してクラブのロフトが変わらない』これが正しいアッパーです。
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アマチュアはフェースを開いてアッパーに打つので、ヘッド軌道と一緒にロフト角も上向きになっていく。これだとフェースが開いてインパクトしてしまうので、右に行きやすくなる。
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上記イラストのように、黄色い線のヘッド軌道はインパクトからフォローに向けて徐々に上がっていくが、インパクト手前からフォローまでロフト角が変わらない。このイメージを持つことが大切。
アッパーにつながる!ヘッドを素早く上げて簡単ヘッドスピードアップ!
まずは飛ばしクイーンの葭葉のアッパー実現法。アッパーに打つために、まずはヘッドを素早く上げること!?これがアッパー打法につながるんだ!
高速バックスイングで、ダウンスイングへの勢いをつける
私は常にアッパーでドライバーを打ちたいと思っています。アッパー に打つには、まずヘッドがインパクト直前でボールの下から入ってこなければなりません。
そのために私はバックスイングで手が腰の位置に来るまでヘッドを素早く上げるイメージを持ちます。これだけでもダウンスイングのヘッドスピードが上がるので、ここぞ!の時にオススメなのですが、素早く上げることでトップで体が普段のスイングよりも捻れる感覚を体感するができると思います。これが、アッパーに打つために大事なポイントなのです。
素早く上げる準備、ティは高めにし、リキまず構える。
腕やカラダにチカラが入ると、素早く上げることができない!
素早く上げるのは、手が腰のラインに来るまで。
素早く上げるのは、体やクラブではなくヘッドだけ。体全体を使って素早く上げてしまうと、体の軸が大きくブレてしまう原因になり、スイングが安定しない。
【注意1】トップまで素早くはダメ!
トップまで素早く!と思うと、どうしてもそこからクラブヘッドの重みや体の勢いがあるので、オーバースイングになってしま います。
【注意2】動きを止めない
素早く上げた所でピタッと体の動きを止めてしまうと、ヘッドは上から叩きつけるような軌道になってアッパーに打つことは出来ません。
トップまでは、素早く上げた惰性でまわす。
トップまで素早く上げる意識は持たない。手が腰のラインに来るまで素早くヘッドを上げることができたら、そのヘッドの勢いでトップまでヘッドを持っていく。
素早く上げて捻れアップ!これで“アッパー”に打ちやすく!
捻れを利用してヘッドを大きく動かす
先ほどのヘッドを素早く上げるのは、トップで体を大きく捻れさせるためだったのです。ヘッドを上から叩きつけるような軌道では、絶対にアッパーに打つことは出来ません。
バックスイングを素早く上げることで、体の捻れを最大限に利用します。 体が捻れるとトップからヘッドをタテではなく横に大きく動かす力を利用することができるので、ダウンスイングで大きな半弧を描けるようになるのです。そうすることで、インパクトでボールの下からヘッドが来て、自然とアッパー軌道のスイングができるようになります。
ただ、トップでの捻れや、半弧を描く意識を持ちすぎると、逆に体がリキんでしまいがちなので、まずは、 バックスイングでヘッドを素早く上げるように実践してみてください。 それだけで、ここぞ!という時に大きな飛距離を発揮することができますよ。
《私は常にアッパーで打ちたいから、ティアップを高めにしてます。》
葭葉のドライバーのティアップは、他の選手と比べると明らかに高め。構えた時にヘッドからボールが飛び出ていて、ヘッドが下から入りやすい軌道を自ら作っている。
トップから、自分の右側にお大きな半円を描くように。
素早く上げた勢いで、体がググッと捻れるのを体感できたら、そこからヘッドで半弧を描くように下ろしてくる。このイメージを持つと持たないでは、アッパー軌道に大きな違いをもたらす。
捻れが浅いと、クラブをタテに下ろすしか道が無くなる。
体の捻れが浅いと、ヘッドは大きな弧を描けず、上から極端に下りて来るしかなくなってしまう。そうならない為にも体をしっかり捻れさすことは大切。
ドライビングディスタンス1位!女子プロNo.1の飛ばしスイング
POINT 1
オーバースイングにならない高い手の位置に注目!クラブヘッドは上を向いている。
POINT 2
ヒザが流れたり、割れたりしない下半身の粘りが大事。
POINT 3
インパクト後もまだ頭が同じ位置をキープ。
POINT 4
変わらないヒザの間隔が安定感のヒミツ。
基本が大事!まず“アドレス”から“アッパー”を作らないと!
ここぞ!って時にはどんな打ち方をする?という編集部の質問に「アッパーでしょ!」と即答する柏原。 そんなアッパーはどうイメージするべきか、教えてもらった。
極端に変えるのはダメ。気持ち程度が大事。
アッパー軌道に打つために、アドレスで体重配分を考えて右側に大きく体重を持って来る人は多いと思います。ただ、その体重配分が自分が思っているよりもやり過ぎになっていることはありませんか?
私が皆さんにお伝えしたいのは、アドレスの体重配分はイメージするだけでも良いということです。ゴルフは繊細なスポーツなので、些細なことで大きな動きの違いがたくさん出てきてしまいます。
スイング中にヘッドの軌道をアッパーにするのは、私たちでもとても難しいです。ですので、まずはアドレスで7:3の体重配分を意識したら後は下からヘッドを入れましょう。カチ上げてアッパーにしようとは考えずに、いつも通りのスイングを心がけてみてください。
アドレスを決めたら後は無理に配分を意識しない。
アドレスで体重配分を決めたら、後は迷わずに振り抜くこと。アッパー打つためにもっと右に体重を乗せなければ…などとは考える必要はまったくない。
気持ち「右寄り体重かな?」で十分
体を大きく右に傾ける必要はない。あくまでも自分の中での7:3を見つける。
《意識しすぎると、スイングに影響が出てきます。》
アッパーを打つための準備をしているように見えて、このアドレスでは逆にアッパー軌道に打ちづらくしている。
《右足に体重を乗せすぎると、体の軸がブレやすくなります。》
最初から右側に体重を乗せすぎると、バックスイングで体が大きく右にブレてしまい、軌道が安定しなくなる。
アドレスで確認!アッパーは目線からも作れます!
アッパー軌道を作るためにはアドレスにこだわる柏原。体重配分と同時にアドレス時に行いたいのが、目線でアッパーを作ることだという。
スイングを大きく 変える必要はない。 変えるのは、 自分のイメージだけ。
アドレス時からアッパー軌道 を作るためにもう一つポイント になるのが、ボールへの目線です。普段のスイングだったら、 ボールとフェースが重なり合うところに目線を置くのが普通だと思うのですが、今回はアッパー軌道でここぞ!の時に飛 ばしたい場合。
先ほども言ったように、スイ ング中にアッパー軌道を作ることは至難の技なので、逆にミスが多くなってしまいます。ですので、アドレスで構えた時点で 目線をボールの右斜め下、自分の目では見えない所に目線を集中してみましょう。
実際にインパクトするのはボールの真横になりますが、意識を実際には見えないボールの下の方に集中させることがアッパーにつながります。
正しいアドレスでのアッパー目線
私の考える正しい目線はこれ!アッパーに打ちたいんだったら目線はやりすぎでもいいんです。
ドライビングディスタンス3位!スケールの大きい柏原のスイング
POINT 1
アッパーを意識しすぎて体を右に乗せすぎない!
POINT 2
体重配分の意識は7:3でも中心軸は一定。
POINT 3
アッパー軌道を無理に作らず、ボールの下を見るイメージ。
POINT 4
アドレスと目線で、無理なくアッパー軌道になるのがベスト。
POINT 5
いわゆる明治の大砲にならないように最後は左に体重を乗せて振り切る。
GOLF TODAY本誌 No.551 28〜37ページより
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