PGAツアー選手のスイング背面連続写真|飛ぶ秘密は軸ブレゼロ打法にあり!
ZOZOチャンピオンシップで総力取材!
ゴルフ雑誌でよく見かける連続写真は体の正面、飛球線の後方からのパターンが多い。しかし、今回はあえて背中側から世界のトップ選手のスイングを撮影。すると、PGAツアー選手の軸がブレない理由がわかった!
解説
石井 忍
1974年8月27日生まれ。1998年にプロに転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、赤坂、神保町に展開する。
背面連続写真で学ぶ軸ブレゼロ打法:トップオブスイング
右肩を上げる意識はNG!
背中側から見たときに、最もわかりやすいのは一流プロは下半身は回っていないのに、上半身がしっかり回転していること。これが本当の捻転です。背中側からトップを見たときに、松山選手もお尻付近のロゴは見えますが、背中は目標を向いているのでほとんど見えません。
このトップができれば軸がブレないスイングができます。そのポイントは右肩です。右肩が頭の後ろまでしっかり回せているので、上半身が捻転できます。ただし、バックスイングで右肩を上げようとするのはNG!松山選手もアドレスからの写真を見ると右肩が高く上がっているのがわかると思いますが、これは右肩を上げているわけではありません。アドレスで前傾しているので、背中を中心に回転できれば右肩が自然と高くなっているだけです。
アマチュアは頑張って右肩を回そうとしたときに、バックスイングで体全体が右サイドに流れてしまう人が多いです。その姿勢になると、右肩は逆に回りにくくなります。頭を動かさずに、前傾角度をキープして、背中で回転することが大切です。
正面からの写真だと右肩が見えなかった……
正面からの連続写真だと、トップでどこまで右肩が回っているのかがわかりにくかった。
右の肩甲骨を後ろに引いて、 バックスイングすると右肩は回りやすい!
頭が右に動くと、肩は回らない!
体全体が右にスライドしてしまうと右肩は回らない。テークバックでは少し右肩の肩甲骨を後ろに引く感じでクラブを上げると右肩を回しやすくなる。
前傾キープで肩を回せば、右肩はアドレスより高くなる
トミー・ フリートウッドのスイング写真
肩の回転でトップを作ればフリートウッドのように右の手首は体の右にある。腕でクラブを上げるアマチュアはオーバースイングになって手首が体の左に。
アダム・ スコットのスイング写真
教科書のようなスイングのアダム・スコットは、トップでも下半身の形がほとんど変わらないので軸がブレない。
ジョーダン・ スピースのスイング写真
キャップが隠れるくらい右肩が高い位置で回転しているスピース。これは前傾角度をキープしている証でもある。
背面連続で学ぶ軸ブレゼロ打法:切り返し
沈み込みができないと体が開いてしまう!
切り返しからダウンスイングに入るところで注目してほしいのは両足の間です。タイガーも切り返しから、足を広げるように沈み込んでからクラブを下ろしていますが、この沈み込む動きがあることで、ダウンスイングで左にスエーすることがなくなります。それと一瞬の沈み込みがあることで体が開きにくくなります。アマチュアは沈み込みがなく、トップからすぐに体を回してしまうので、体が開いたりしてスライスの原因になってしまうのです。
沈み込むときには少し頭を下げるようなイメージでもOKです。頭が左右に動きやすい人は特に少し頭を下げると、軸も安定します。
今年は『マスターズ』や『ZOZOチャンピオンシップ』でも優勝したタイガーですが、若い頃はもっと左右に体重移動するような打ち方でしたが、今は背中側から見ても体重移動ではなくて、回転するスイングになっている。だから左右の軸ブレもなくなって40代で復活できたと思います。
タイガー・ ウッズのスイング
現在はコーチをつけていないタイガー・ウッズだが、石井忍は「特にダウンスイング以降の左方向への体重移動が小さくなって、しなやかで美しいスイングになったと思います」と語る。
ハーフウェイバックですでに右肩は頭の後ろ!
頭が全く動かないタイガーはハーフウェイバックで、すでに右肩が頭の後ろまで回っている。この柔軟性と捻転があるから、40歳を超えても300ヤード飛ばせる。
ヒザ下はほとんど動いていない!
アマチュアはトップで左ヒザが右を向く人が多いが、タイガーは両ヒザともほとんど動かないことで下半身が安定して、上半身だけを捻転できる。
左足を踏み込んで捻転差をプラス!
トップと比較すると切り返しでは両足のスペースが広がっている。この瞬間に少し左足を踏み込むことで、下半身が少し回転して、上半身と下半身の捻転差をさらにプラスしている。
右ヒザは正面を向けたまま!ヒザが目標を向くと、体が流れやすい!
沈み込みのときは股間部分を少し広げるようにすると下半身が安定して、上半身が回転しやすくなる。そのときにヒザが正面を向いていることがポイント。
ケガに苦しんだ10年前は、棒立ちだった!
ヒザや背中の怪我に苦しんでいた頃のタイガーはヒザが正面をキープできず、沈み込みが小さくなっていた。
背面連続で学ぶ軸ブレゼロ打法:ダウンスイング
ローリー・マキロイのスイング
上半身に一体感があるマキロイは左足を斜めにしたまま、上半身全体のパワーをボールにぶつけることで、PGAツアーでもトップクラスの飛距離を誇る。
ジャスティン・トーマスのスイング
下半身の動きが大きく、カカトが浮くくらいジャンプするのが特徴のトーマスだが、左足が斜めになっているので左足の角度はアドレスに近い。
ザンダー・シャウフェレのスイング
頭の位置もほとんど動かず、左足もしっかり斜めになっているザンダーは、理想的なビハインドザボールの姿勢になっている。
左足が垂直になるとスエーにつながる
「左足はアドレスと同じような角度に」
左足を垂直に伸ばそうとすると、ヘッドの動きとともに、さらに左方向(目標方向)に力が動くのでスエーしやすくなる。
左足の踏み込みは、体重移動ではなく回転するため!
インパクトでは「左の壁」とか「左足を伸ばす」とか言われていましたが、左足は地面と垂直に一直線に伸ばすわけではありません。PGAツアーの選手を見ても、いろんなスイングの選手がいますが、インパクト前後では左足は斜めになっています。
この斜めになっているのは、アドレスしたときの左足の角度に近い。アドレスしたとき左足の角度のままで打っているので軸がブレないのです。逆に地面から垂直に左足を伸ばそうとすると、体は絶対に左に動いていることになりますから、軸がブレてしまうことになります。体が突っ込みやすい人は、そうなっている可能性が高いです。
左足が斜めになっているか、地面から垂直になっているかは、回転運動で打てているか、体重移動で打っているかの違いです。
特にジャスティン・トーマス選手はジャンプするように左足を踏み込んでいますが、左足が斜めになっているので上半身が回転力アップにつながります。左足が斜めの角度をキープできていれば、頭の位置も右サイドになりますから、「ビハインド・ザ・ボール」の姿勢になって、ヘッドスピードを上げることにもつながります。
左股関節はヨコではなく、 お尻側に回す!
インパクト前後で左腰を真横に動かそうとすると、左足が地面と垂直になりやすくなる。左腰の動きとしては、左股関節をお尻側に回そうとすれば、左腰のヨコ移動がなくなるので、左足を斜めにキープできる。
インパクト前に左股関節をお尻側に回すと、ハンドファーストでボールを打てるようになる。
GOLF TODAY本誌 No.571 32〜39ページより
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