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男子ツアープロのドライバースイング連続写真に見る飛ばせる下半身の使い方

2020/02/13 ゴルフサプリ編集部

2019年話題になった男子ツアープロのドライバースイング連続写真を紹介。2019年、「日本プロゴルフ選手権」で3季ぶりの復活優勝を果たし、「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」「ゴルフ日本シリーズJTカップ」でも優勝した石川遼。2年連続の賞金王に輝いた今平周吾、日本ツアーに初参戦し、圧倒的な飛距離を披露したキャメロン・チャンプなど今年注目された男子ツアープロたちの“下半身使い”に注目した。

解説 吉田洋一郎
ゴルフスイングコンサルタント。デビッド・レッドベターを始め、多くの海外インストラクターから直接指導を受け、世界の最新スイング理論に精通する。

石川遼のドライバースイング連続写真

2019年は3勝!! 復活の選手会長

石川遼
(CASIO)
2019シーズン、2連勝を含む3勝を挙げてついに復活。ツアー通算17勝。1991年9月17日生まれ。埼玉県出身。

横方向のスライドが減ってより飛んで、曲がらなくなった

昨シーズンのパナソニックあたりから、スイングが良くなってきたと思いました。トレーニングとスイング改造の成果もあって、下半身の横方向のスライドが減ったのと、足の伸展がバランスよく噛み合っています。そして、フェースをシャットに使って、インパクトで腰が目標方向を向くくらいの下半身リードでフェースを返さずに低く振り抜いています。全体的にバランスが良くなったことで、曲がりも少なく、飛距離が伸びました。

①バックスイングではフェースを開かず、シャットに上げていく。

②切り返しからの左方向へのスライドが少なくなった。
③フェースターンが抑えられ、体の回転でインパクトしている。

④トレーニングで体の裏側を鍛え、下半身の伸展が強化された。

石川遼のドライバースイングを分析【連続写真つき】

松山英樹のドライバースイング連続写真

やっぱり強い、ZOZO選手権2位!

松山英樹
(レクサス)
日本ツアー8 勝、米ツアー5勝、欧州ツアー2勝を誇る日本人最強ゴルファー。1992年2月25日生まれ。愛媛県出身。

下半身の鋭い踏み込みがうまく回転力に変換されている

力感に溢れ、上半身の強さが際立つスイング。ですが、下半身の使い方もとてもパワフルかつテクニカルです。まず、切り返し直前の左足の踏み込み、そしてダウンスイングにおける右足の蹴り。これらをすべて回転力に変換しています。踏み込みによる反力を左サイドに逃がすことなく、効率的に回転力とパワーに変換できる技術は賞賛に値します。

①トップに到達する前に左足の踏み込みが始まり、捻転差が作られる。
②トップにおける「間」が少なくなり、スイングの流れが良くなった。

③クラブと腕を真下に落下させるダウンスイングでクラブを加速させる。
④右足の蹴りによって生じた反力を回転力につなげている。

松山英樹のドライバースイングを分析【連続写真つき】

今平周吾のドライバースイング連続写真

安定感抜群、2年連続賞金王

今平周吾
(フリー)
19年は2勝するとともに一度の予選落ちもなく、抜群の安定感で2年連続の賞金王に輝いた。1992年10月2日生まれ。埼玉県出身。

左ヒザが始点となった安定感抜群の下半身リード

もともと左サイドをきっかけに下半身リードをしていましたが、昨シーズンは素振りの際に左ヒザを大げさに開く動作を取り入れていました。理由は、飛距離アップのために下半身をより積極的に使おうと考えた結果だそうです。この左ヒザを始点とする下半身リードの動きは、捻転差の増大を生むので飛距離アップには適しています。シーズン後半も、ショットの安定感に変化がなかったことから、試みは順調のようです。

①テークバックでコッキングは早め。
②左ヒザを始点に切り返し、ダウンスイングが行われる。

③左サイドへの下半身の踏み込みがパワーとして伝わっている。

④左足はフィニッシュまで地面から一切離れない。

キャメロン・チャンプのドライバースイング連続写真

米ツアーで一番飛ばす男

キャメロン・チャンプ
(米国)
平均飛距離340ヤードを超える米ツアーで最も飛ばす若手プレーヤー。ツアー通算2勝。1995年6月15日生まれ。

ヘッドから一番遠い場所にある左足が「力点」となったスイング

「タメの角度をしっかり作って、それをインパクトゾーンで解放させる」というのがチャンプの理想。そして、そのタメを生み出しているのが、切り返しの前から始まる左足の踏み込みです。下半身を先行させることで、上半身との捻転差をしっかり作っています。また、軽く振っているように見えるのは、それだけ自然な動きでスイングできているからです。

①ダウンスイングは左足を始点に、一番遠くにあるヘッドを加速させていく。

②下半身→上半身→腕→クラブという順序の動きで、深いタメを作っている。
③タメ(パワー)を一気にインパクトで解放することで大きな飛距離を出している。

④力任せに振っているように見えないのは、それだけ動きの順番が整っているから。

ゲーリー・ウッドランドのドライバースイング連続写真

2019年全米オープン覇者

ゲーリー・ウッドランド
(米国)
米ツアー屈指の“曲がりの少ない飛ばし屋”。19年の全米オープンでメジャー初制覇を遂げた。1984年5月21日生まれ。

ハーフスイングのような安定感を重視した下半身使い

数年前までは体重移動を積極的に使っていたウッドランドですが、近年は方向性とコントロール性を重視した“アプローチのようなスイング”に変わりました。そのため、もともと飛ばすほうでしたが、曲がらず飛ぶようになっています。ハーフスイングまたはアプローチのような安定感のあるスイングです。インパクト時の左足のめくれ具合からもわかるように、下半身はもちろん使っていますが、そこまで顕著ではありません。

①若干アップライトなバックスイングからトップはコンパクトに。

②体と腕・クラブの動きを同調させて、体を使って振り遅れないように振っている。

③ダウンスイングからフォロースイングまで、しっかりと体を使っていく。

池田勇太のドライバースイング連続写真

ツアー通算21勝・2016年賞金王

池田勇太
(フリー)
史上最年少の31歳で生涯獲得賞金10億円を突破。19年も1勝し、11年連続で勝利している。1985年12月22日生まれ。千葉県出身。

クラブの動きを一切阻害しないナチュラルな下半身使い

よく「手打ちのように見える」と言われますが、そう見えるのはクラブの挙動を阻害せず、それでいて体と腕、クラブの動きのバランスがいいからです。どの動きを取って見ても、ナチュラルかつ柔軟さを感じさせます。体と腕の動きのバランスが絶妙なので、まるでクラブが自由になって暴れているようにも見えます。ですが、その実態はとても理に適った理想的なゴルフスイングだということです。

①バックスイングはアウトサイド気味に右ヒジを能動的にたたまず、体で上げていく。
②上半身は微動だにせず、下半身がリードして切り返すため、捻転差がしっかり作られている。

③力感はあるが、リラックスした印象も与える柔らかい下半身使い。

④体に巻き付くようなフィニッシュは、クラブの動きをまったく妨げていない証拠。

チャン・キムのドライバースイング連続写真

日本男子ツアー・平均飛距離No.1

チャン・キム
(米国)
韓国生まれのハワイ育ち。15年から日本ツアーに参戦し、19年は日本オープンで優勝して通算勝利数を4つに伸ばした。1990年3月24日生まれ。

切り返しからの沈み込みと伸展によって効率よく力を伝える

切り返しからインパクトまでの下半身の踏み込みを見れば、日本ツアーで最も忠実にGGスイングを実践している選手だということがわかるはずです。体の強さを前面に出しているスイングであり、飛ぶけど曲がる人が曲げないためのスイングでもあります。彼くらい身長と筋力があれば、それでも十分な飛距離が出せます。

①両ヒザを曲げて沈み込むようにして切り返す。
②反力を受けたヒザの伸展から体の回転につなげて力を伝える。

コリン・モリカワのドライバースイング連続写真

米ツアー期待の黄金世代

コリン・モリカワ
(米国)
カリフォルニア出身の日系米国人。19年にプロへ転向し、「バラクーダ選手権」でさっそく初優勝を飾った。1997年2月6日生まれ。

若い選手特有の柔軟性とバネが活かされている

スイング自体は、ウッドランドのような安定感と方向性を感じさせるものです。ですが、そこに若者特有の柔軟性やバネの強さが加わり、躍動的な印象を受けることでしょう。バランスのいい下半身使いで、縦・横両方の反力を使って、回転力とインパクト効率を向上させています。

①安定感と強さを感じさせるバックスイングから切り返しまでの下半身。

②ダウンスイングによる縦の反力と右足の蹴りによる横の反力を上手に使っている。

撮影トーナメント/ダンロップ フェニックス、ゴルフ日本シリーズJTカップ

GOLF TODAY本誌 No.572 128〜143ページより

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